7. 学校いじめ防止基本方針
田辺市立新庄第二小学校
平成26年3月作成
平成28年4月改訂
1 はじめに
いじめは、いじめを受けた児童の人権を著しく侵害し、児童の心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、将来にわたって、いじめを受けた児童を苦しめるばかりか、人間の尊厳を侵害し、生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれのある絶対に許されない行為であり、本校でも起こり得るとの認識をもって取り組まなければならない。
そのためには、常に、保護者や地域住民、関係機関等との連携を図りつつ、学校全体で組織的にいじめの防止及び早期発見に努めるとともに、児童がいじめを受けていると思われるときは、いじめの被害者の安全を守ることを最優先とし、組織として迅速かつ適切に対処し、さらにその再発防止に努める。
2 いじめの定義
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、法に定められた定義に基づき行うものとする。その際、いじめられた児童の立場に立つことを基本とし、表面的、形式的に判断するのではなく、本人がいじめの存在を否定することも多々あることなど、いじめには様々な態様があることを踏まえ、児童の言動をきめ細かく観察するものとする。
また、いじめの認知については、次の項目に留意する。
◆「一定の人的関係」とは、学校の内外を問わず、同じ学校・学級の児童や、塾・スポーツクラブ等当該児童が関わっている仲間や集団(グループ)など、当該児童と何らかの人的関係を指す。
◆「物理的な影響」とは、身体的な影響だけでなく、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことをさせられたりすることや、インターネット上での誹謗中傷なども含まれている。
外見的に、けんかのように見えることでも、事実の全容をしっかりと見極め、児童が感じる被害性に着目し、いじめかどうかを判断する。
インターネット上で悪口を書かれた児童が、そのことを知らず、心身の苦痛を感じていない場合についても、加害行為を行った児童が判明した場合は、いじめと判断して適切な対応をとる。
3 いじめの理解
いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。いじめに気づくためには、「いじめは、見ようとしないと見えない」との認識に立ち、いじめに見られる集団構造やいじめの態様についてしっかりと理解する。
(1)いじめに見られる集団構造
いじめは、加害・被害という二者関係だけの問題ではない。周りではやし立てたり面白がったりする「観衆」や、見て見ぬ振りをし、暗黙の了解を与えている「傍観者」も、いじめを助長する存在である。
また、一見、仲が良い集団においても、集団内に上下関係があり、上位の者が下位の者に他者へのいじめを強要しているケースもあるなど、周囲の者からは見えにくい構造もある。
さらに、直接の接点がないと思われる集団においても、いじめが発生する可能性があり、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNSという。)でのやりとりの中でつくられている関係についても留意する。
(2)いじめの態様
いじめは、冷やかしやからかい、悪口等、見た目にはいじめと認知しにくいものがあるほか、暴力を伴わない脅しや強要等がある。たとえ、冷やかしやからかい等、一見、仲間同士の悪ふざけに見えるような行為であっても、何度も繰り返されたり、多くの者から集中的に行われたりすることで、深刻な苦痛を伴うものになり得る。
特に、遊びのふりをして軽く叩く、蹴るなどは、周囲の者がいじめと認知しにくい場合もあることから、いじめを受けた児童生徒の心情を踏まえて適切に認知する。
本校では、いじめを認知する際の具体的な態様として、次のような例を参考にしながら判断するものとする。
(暴力を伴うもの)
○軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする等
○ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする等
(暴力を伴わないもの)
○冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる
○落書きなどによる誹謗中傷
○仲間はずれ、集団による無視をされる
○金品をたかられる
○貸した物を返してもらえない
○金品・持ち物を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
○嫌なことやはずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする
○パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる等
4 いじめの防止等の学校の取り組み
(1)いじめの防止等の対策のための組織
ア いじめの防止等に組織的に対応するために、学校長が任命した構成員からなる、学校対策組織としての「いじめ対策委員会」を設置する。
イ いじめ対策委員会の構成員は次の通りとする。
校長、教頭、生徒指導主任、教務主任、養護教諭、スクールカウンセラー
(いじめに係る事案が発生した場合は当該児童の担任も加わる)
ウ いじめ対策委員会は次のような役割を担う。
(ア)学校基本方針が、学校の実情に即してきちんと機能しているかを点検し、必要に応じて見直すというPDCAサイク ルの検証の中核となる役割
(イ)いじめの相談・通報の窓口としての役割
(ウ)いじめの疑いに関する情報や児童の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有を行う 役割
(エ)いじめの疑いに係る情報があったとき、緊急に会議を開いて、いじめの情報の迅速な 共有、関係のある児童への事実
関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護 者との連携といった対応を組織的に実施するための中核とし
ての役割
(オ)重大事態発生時の外部関係機関との連携に関わる役割
(カ)いじめ解決に向けて、長期的な支援体制の確立に関わる役割
エ 校長は、必要に応じて、次の関係機関に相談したり、いじめ対策委員会へ担当者の派遣 を依頼したりする。
(2)未然防止
いじめ問題を克服するために、本校の教育活動全体を通じて、全ての児童を対象にいじめの未然防止の取組を行う。特に、全ての児童に「いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である」との理解を促し、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を行う。また、児童の豊かな情操や道徳心、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重し合える態度等、よりよい人間関係を構築する能力を養う。
ア 道徳教育及び体験活動の充実
いじめ予防を目的とした授業の実施や、教育活動全体を通じて、児童に、かけがえのない自 他の生命や人権を尊重する心と態度を醸成するため、道徳教育の充実を図る。また、ボランテ ィア活動、異年齢集団での活動等、他者と深く関わる体験を重ね、児童の豊かな情操と道徳心 を培い、よりよい人間関係を構築する能力の素地を養う。
イ 「命の教育」の推進
人の命も自分の命も大切にする心を育て、いじめによる自殺を防止するために、命の教育を 推進する。
ウ 学級活動・児童会活動の活性化
学級活動等で、自分の意見や考えを交流したり、集団として合意形成したことを実行に移し、 問題の解決や改善を図ったりする機会を設けることによって、児童のコミュニケーション能力 や自己有用感等を高め社会に参画する態度や自主的・実践的な態度を醸成する。また、児童が 自らの力で問題を解決し、自治的な能力を身に付けられるよう、児童による自主活動や主体的 な活動をあらゆる機会を通じて行う。
エ 児童の人権意識の向上
いじめは人権を侵害する絶対に許されない行為である。このことをしっかりと受け止め、「田 辺市『人を大切にする教育』の基本方針」を踏まえて、児童に人権や人権擁護に関する基本的 な知識を確実に身に付けさせ、自分とともに他の人の大切さを認めようとする意欲や態度、行 動力を育成する。また、児童一人ひとりが大切にされ、安心・安全が確保される環境づくりに 努める。
オ 授業づくりの改善と工夫
授業においては、児童に授業規律を徹底させるとともに、児童にわかる、できる喜びや実感 を与えられるよう、日頃から教材研究や授業研究を行うなど指導方法の工夫・改善に努める。
カ 児童理解の深化
日頃より、児童が気軽に教職員に相談できる雰囲気作りや相談体制の構築に努める。児童の 様子については、職員会議等を通じて全教職員が情報を共有し、対応できる体制を整えておく。 また、特別支援教育を充実させ、児童一人ひとりの教育的ニーズを踏まえた適切な指導及び必 要な支援を行っていく。
キ 学社融合の推進
本校が取り組むいじめ防止について、保護者への理解を促すとともに、育友会と定期的に情 報交換したり、新庄地域学社融合推進協議会を活用したりするなど、いじめ防止のために家庭 ・地域が積極的に相互協力できる関係づくりを進める。
ク インターネット上のいじめの防止
児童にSNS等を含むインターネット上の不適切な書き込み等が重大な人権侵害行為である ことをしっかりと指導するとともに、授業だけではなく、外部の専門家等を招き、児童にイン ターネットの利用のマナーやモラルについて学習させる。
また、保護者に対して、フィルタリングの設定やインターネットの利用についてそれぞれの 家庭でのルールづくり等を周知徹底する。
(3)対応
【早期発見・早期対応】
○ 早期発見
いじめの発見の遅れは、早期解決を困難にさせ、問題の複雑化、深刻化につながることがあ るため、日頃から児童の見守りや信頼関係の構築等に努め、児童が示す変化や危険信号を見逃 さないよう意識を高く保つとともに、教育相談体制を整え、いじめを積極的に認知することに 努める。
l 情報交換の充実
職員会議等で、教職員相互に児童の情報を出し合い情報を共有し、全職員で全児童を見守る。
l こころのアンケートの実施
こころのアンケートを原則として年間5回(5月・7月・10月・12月・2月)実施する。 これ以外にも、必要と認められる状況が生じた場合は適宜実施する。
実施にあたっては、児童が素直に自分の心情を吐露しやすい環境をつくる。(回答の時間を十 分に確保し、回収する際は、秘密が守られるように用紙を提出させるなどの配慮を行う。)
学級担任は、いじめアンケートの結果について気になることがあれば、校長、教頭、関係職 員に直ちに報告し相談する。
また、日常取り組んでいる生活ノート等、教職員と児童の間で交わされる日記等も活用する。
l 教育相談体制の充実
定期的に学級懇談会や保護者面談を実施し、児童や保護者の声に耳を傾け、いじめ等の訴 えがあった場合、児童の思いや不安・悩みを十分受け止める。また、スクールカウンセラー やスクールソーシャルワーカー等を活用しながら、いじめを訴えやすい環境を整える。
○ 早期対応
(ア)いじめの認知
・児童や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。
・いじめは気付きにくく、判断しにくい形で行われることが多いことを認識し、ささいな兆 候であっても最悪の事態を想定しつつ、いじめを積極的に認知する。そのために、児童の 示す変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高くしておく。なお、いじめられた児童 やいじめを知らせてきた児童の安全を確保する。
・発見・通報を受けた教職員は、一人で抱え込まず、いじめ対策委員会に直ちに報告する。 その後は、いじめ対策委員会が中心となり、速やかに関係児童から事情を聞き取るなどし て、いじめの事実の有無の確認を行う。
・いじめられた児童から事実関係の聞き取りを行う場合、いじめられている児童にも責任が あるという考え方はあってはならない。「あなたが悪いのではない」ことをはっきり伝える など、自尊感情を高めるよう留意する。
・いじめの疑いがあるものの、被害者児童が否定する場合も考えに入れ、児童の表情・様子 をきめ細かく観察し、組織全体で判断する。
・いじめたとされる児童からも事実関係の聞き取り調査を行う。
(イ)指導・支援・助言
いじめがあったことが確認された場合は、直ちにいじめをやめさせる。その再発を防止す るため、スクールカウンセラー等の協力を得ながら、複数の教職員等によって、いじめを受 けた児童やその保護者を支援し、いじめを行った児童への指導又はその保護者への助言を継 続的に行う。また、その際、対応したことを記録として残しておく。
(ウ)情報提供
いじめの早期解決を図るため、事実関係が明確になった情報を、いじめを受けた児童の保 護者やいじめを行った児童の保護者に必要に応じて提供する。ただし、情報提供については、
プライバシー保護に配慮する。
【中期対応】
○ 被害児童への対応
被害児童の継続的な見守りを行い、安全を確保する。また、被害者にとって信頼のできる 教職員(担任等)が対応し、被害児童に寄り添い支える体制をつくる。そのために、心のケア や登下校、教室、休み時間の見回りなど安心して学校生活を送るための具体的な取組を教職 員で分担する。
○ 加害児童への対応
加害児童に対して聞き取りを行った内容について再度確認し、動機やその時の気持ちを徹 底的に聞き取り、いじめの全体像を把握する。相手の心の痛みを理解させ、自分の取った言 動について反省できるよう導く。
○ 傍観者・観衆への対応
傍観者に対しても、自分の問題として捉えさせる。たとえ、いじめをやめさせることがで きなくても、誰かに知らせる勇気を持つよう指導する。また、観衆に対しては、その行為は いじめに荷担する行為であることを理解させる。なお、学級全体で話し合うなどして、いじ めは絶対許されない行為であり、根絶しようとする態度を身に付けさせる。
【長期対応】
・ 被害児童については、継続的な心のケアに努め、自己有用感が回復できるよう支援を続け る。
・ 加害児童については、いじめの背景にある原因やストレスなどを取り除くよう支援すると ともに、相手を思いやる感情や規範意識が向上できるよう指導を続ける。
・ 当該児童の保護者と常に連絡を取り合い、家庭での様子や言動を継続的に把握する。
※ 関係機関との連携
いじめが、犯罪行為として取り扱われるべきものであると認められる場合は、教育的な配 慮や被害児童に配慮のうえで、早期に警察に相談し、適切に援助を求める。なかでも、児童 の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合は、直ちに警察に通報し、連携した 対応をとる。
なお、児童の安全確保及び犯罪被害の未然防止のため、警察署との連携が必要と認められ る事案については、県の「きのくに学校警察相互連絡制度」に基づいて適時・適切に連絡す る。また、児童相談所や青少年センター等関係機関との情報交換を適宜行う。
※ インターネット上のいじめへの対応
インターネット上に不適切な書き込み等を行っているとの連絡を受けた場合、そのサイト 等を確認し、デジタルカメラ等で記録したうえで、当該児童及びその保護者に了解をとり、 不適切な書き込み等のあるプロバイダに連絡し、削除を要請する。なお、不適切な書き込み 等が犯罪行為と認められる場合は、削除要請を依頼する前に警察に通報・相談する。
(4)教職員の資質能力の向上
「いじめはどの子どもにも、どの学校でも起こり得る問題である。」という基本認識に立ち、 全ての教職員が児童としっかり向き合い、いじめの防止等に取り組める資質能力を身につけ られるよう、和歌山県教育委員会が作成している「いじめ問題対応マニュアル」や「いじめ 問題対応ハンドブック」などを活用し、年1回以上、校内研修を行う。
(5)家庭・地域との連携
保護者や地域住民との信頼関係を構築し、児童の家庭や地域での様子を気軽に相談できる 体制を整備する。また、いじめの防止等の取組について、保護者に理解を得て、学級懇談会 や個人面談等の機会に情報交換を行う。さらに、地域住民の学校行事への参加を促したり、 連携して街頭指導を実施したりして、校外での児童の様子を把握する。
(6)取組内容の点検・評価
いじめ防止等について、具体的な取組状況や達成状況を学校評価等を利用して確認すると ともに、いじめ対策委員会を中心に学校基本方針を点検し、必要に応じて見直しを行う。
5 重大事態への対処
(1)重大事態の判断・報告
次のような事態(以下、「重大事態」という。)が発生した際、文部科学省で定めて いる重大事態対応フロー図(次ページ参照)をもとに、直ちに適切な対処を行う。
1 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が
生じた疑いがあると認めるとき。
2 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余
儀なくされている疑いがあると認めるとき。留意点
◆「生命、心身又は財産に重大な被害」については、次のようないじめを受けた児童の状況に着目して判断する。
○ 児童が自殺を企図した場合
○ 身体に重大な傷害を負った場合
○ 金品等に重大な被害を負った場合
○ 精神性の疾患を発症した場合
◆「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、児童がいじめにより一定期間、連続して欠席しているような場合には、欠席30日になる前から、教育委員会に相談しつつ、児童への聴き取りに着手するとともに、直ちに適切な対処を行う。
(2)重大事態の調査の実施と結果の提供
¡ 児童の学校復帰への支援と再発防止が主な目的である。
¡ 重大事態が発生した場合、直ちに教育委員会に報告する。
¡ いじめ対策委員会が中心となって、事実内容を明確にするための調査にあたる。
調査の際、アンケートを実施する場合は、その旨を調査対象の児童やその保護者に説明するなどの措置を行う。
調査により明らかになった事実関係について、情報を適時・適切な方法でいじめを受けた児童及びその保護者に対して提供する。
¡ 個人状況・学校対応状況シートを活用し支援する。
対象児童とその保護者へ情報提供するとともに、いじめた児童とその保護者へも情報提供し、家庭と連携して指導を行う。ただし、情報提供については、プライバシー保護に配慮する。