社会工学の多摩大学の研究者として、先端的なAI・自動運転・メタバース等の科学イノベーションと共存できる社会を創るため、先端技術に付随する倫理的、法律的、社会的課題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)について、社会科学、人文科学及び数理科学の学際的な学問領域の専門家が連携し、研究を行います。
我々多摩大学ELSI研究センターでは、科学技術を正しく「運転」するための研究を行い、ブレーキにもハンドルにもなれるよう、科学と対峙していきます。たとえば、自動運転、chatGPT等の生成AI、ビッグデータ、電動キックボード、医療、ゲノムなどの先端的な技術分野に対し、各人の研究分野からのアプローチと、学際的なディスカッションの協働により、社会課題の解決を目指します。
現在、Chat GPT等の生成AIや自動運転、ゲノム解析など、我々の社会に先端的な科学技術が革新をもたらそうとしています。科学技術の発展が社会を幸福にするためには、正しく責任をもって研究をすることが必要です。これが、RRI(Responsible Research and Innovation: 責任ある研究・イノベーション)の考え方です。さらに、責任ある研究を進める中で、避けて通れないのが、ELSI(Ethical, Legal and Social Issues: 倫理的・法的・社会的課題)です。
科学技術に内在する倫理的・法的・社会的課題を研究するELSIの観点は、まさに現代社会の発展に欠かせません。新しい技術に対して「危険だ」、「有用だ」と現状を論評すること(=Sein)に終始せず、科学技術の「在るべき姿(Sollen)」を示す本質的な研究が望まれます。
たとえば、自動運転では、AIがトロッコ問題を代表するジレンマ状況に対してどのように挙動すべきか、議論が絶えませんし、2023年夏には、自動運転のAI倫理指針がISOの国際規格(39003)として発行されています。企業活動においても、各社がAI倫理指針を策定していますし、行政(総務省、内閣府)も動き出しています。何より、世界に目を向ければ、ヨーロッパでは、とりわけ、EUによるAI Actも凄まじい勢いで世界を席巻し始めています。
倫理的な問題をAIにどう判断させるか?これに答えるためにには、我々の中に技術を理解したうえでの倫理的思考が存在しなくてはなりません。しかし、一分野だけでは足りません。歴史、政治、文化、法律、経済、国際情勢、テクノロジーを横断的に繋げて理解し、変化する社会構造を捉える「全体知」が必要です。各分野の学者が、学際的に、横断的にELSIに立ち向かう必要があります。
多摩大学は、2学部しかありませんが、幸い、ざまざまな分野の教員が揃っており、横断的研究ができる素地が整っています。そして、我々は社会的課題を解決する大学を標榜しています。我々多摩大学の教員一丸となり、ELSI研究を深化させ、成果を社会に還元していきたいと考えています。
経営情報学部 専任講師
ELSIセンター長
最新ニュース JST RISTEX RInCAプロジェクトに採択!
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2024年8月23日 ELSIイベントを共催
主催: 明治大学先端科学ELSI研究所 共催: 多摩大学ELSIセンター 新潟大学ELSIセンター 東京大学生産技術研究所 大阪大学社会技術共創研究センター
本学から、樋笠准教授と田中専任講師が登壇します。