論文・レポートの書き方がわかる本（図書紹介）

小笠原喜康『最新版　大学生のためのレポート・論文術』

初めてレポートや論文を書く人向けの本です。レポート・論文を書く時に迷いがちなレポート・論文の基本的なルールや資料の探し方が具体的に書かれています。

• 引用・参考文献表をどう表記するのか

• レポート作成に必要な情報や資料をどのデータベースで集めるのか

• レポートにはどんなことを書くか

• 調査した内容をどうまとめるか

• 卒業論文を作成するにはどうスケジュールを組むのか

など、具体的な方法や型が書かれているので、すぐに論文やレポート作成に取り掛かることができます。

文献情報

小笠原喜康著. 2018. 大学生のためのレポート・論文術（講談社現代新書2498）. 最新版. 東京: 講談社. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00483212.

木下是雄『理科系の作文技術』

論理的な文章を書くうえで大切な、文章の構造やパラグラフライティングが学べる本。タイトルに「理科系」とありますが、他の分野を学んでいる人でも参考になります。

文章には構造があり、文章全体において記述する順番（重点となる内容を先行させる、序論・本論・結びの流れで書く）があります。パラグラフ（段落）においては、段落を概論的に述べた文（トピックセンテンス）を段落の先頭に置き、その他の文はトピックセンテンスを具体的に詳しく説明し、他の段落とのつながりを示す文を配置します。

論文やレポートでは他の文献を引用することが多くあります。これまでの研究の流れを説明したり、自分の主張を明確にするのに引用は有効です。しかし、本や論文に書かれていることをそのまま書き写すと、他の人が読んだとき、自分の説と引用した説の区別がつかず、他人のアイデアを盗んだ疑い（剽窃の疑い）をかけられてしまいます。

引用の意義と作法を知り、引用を適切に行えるようにしましょう。

引用の方法については、「論文やレポートを書くときには」も参考にしてください。

佐渡島紗織 [ほか] 著 『レポート・論文をさらによくする「引用」ガイド』（816.5/Sad）

引用する意義と作法について説明した本。引用する文献の探し方、剽窃とみなされない引用の書き方、参考文献リストの作成方法を具体的な書式（APA、MLA、シカゴ（Chicago）、IEEE）などを解説します。電子書籍の引用、映像資料からの引用、絵画の引用など、引用の詳細が分かります。

まず「引用する文献の選択」（p.15-17）で、論文・レポートに引用する資料をどのように選択するかを理解し、以降の引用の具体的な方法論を読んでいくと、論文・レポートをさらによくできます。

論文やレポートの引用や参考文献を書くには一定の様式があります。引用や参考文献は提出先や投稿先の規定で決まっています。具体的な引用・参考文献の書き方は、「論文やレポートを書くときには」を参考にしてください。

ここでは、代表的な書き方についての文献を紹介します。

APA

American Psychological Association （米国心理学会）が編纂・出版する学術論文執筆、投稿のためのガイドライン。心理学、教育学、社会福祉学、経営学、行動科学、社会科学などの幅広い分野で使用されています。

APAに関する文献・サイト

• アメリカ心理学会(APA)著. 2011. APA論文作成マニュアル . 第2版. 東京: 医学書院. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00358837.

• "APA Style." https://apastyle.apa.org., accessed Nov 10, 2021, https://apastyle.apa.org.

Chicago Style

シカゴ大学出版局より刊行された執筆・出版の包括的かつ網羅的ガイドライン。人文科学系（特に歴史学専攻）に多く用いられています。

シカゴ・スタイルでは、2種類の引用・文献リスト作成方法が紹介されています。（『シカゴ・スタイル研究論文執筆マニュアル』第16章～第19章を参照）

1. 注記式参考文献目録方式（notes-bibliography style）：人文科学系や一部の社会科学で一般的

2. カッコ入り出典―参照リスト方式（parenthetical citations-reference list style）：大部分の社会科学、および自然科学と物理学で一般的

Chicago Styleに関する文献・サイト

• The Chicago Manual of Style 2017. 17th ed ed. Vol. : hbk. Chicago: University of Chicago Press. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00464411.

• "The Chicago Manual of Style, 17th Edition." The Chicago Manual of Style Online., accessed Nov 10, 2021, https://www.chicagomanualofstyle.org.

• ケイト・Ｌ・トゥラビアン著, ウエイン・C・ブース 改訂, グレゴリー・G・コロンブ 改訂, ジョセフ・M・ウィリアムズ 改訂, 沼口 隆 訳, 沼口 好雄 訳. 2012. シカゴ・スタイル研究論文執筆マニュアル. 東京: 慶応義塾大学出版会. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00346191.

MLA

Modern Language Association （米国近代言語文学協会）が編纂・出版する論文作成マニュアル。人文科学の分野で用いられています。

MLAに関する文献

• ジョゼフ・ジバルディ. 2005. MLA英語論文の手引. 第6版. 東京: 北星堂書店. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00212772.

• "MLA Style Center | MLA Style Center, the Only Authorized Web Site on MLA Style, Provides Free Resources on Research, Writing, and Documentation." MLA Style Center., accessed Nov 10, 2021, https://style.mla.org/.

• Modern Language Association of America. 2016. MLA Handbook. MLA Handbook for Writers of Research Papers. 8th ed ed. Vol. : pbk. New York: Modern Language Association of America. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00464804.

SIST（科学技術情報流通技術基準）

科学技術情報流通技術基準（SIST：Standards for Information of Science and Technology）は、科学技術振興機構が設けた、科学技術情報の流通を円滑にするための基準です。

SISTに関する文献・サイト

• "SIST 科学技術情報流通技術基準." SIST 科学技術情報流通技術基準., accessed Nov 10, 2021, https://jipsti.jst.go.jp/sist/.

• 科学技術振興機構. 2012. SIST : 科学技術情報流通技術基準 / 科学技術振興機構編. 東京: 科学技術振興機構. https://lib.swu.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?ID=B00345521.

参考文献

M.J.アドラー, C.V.ドーレン著 ; 槙未知子, 外山滋比古訳『本を読む本』

本の読み方について書いた本です。読書にはレベルがあり、そのレベルに合わせて読書法を変えます。ことばの意味を理解する「初級読書」、本にざっと目を通す「点検読書」、本をより深く理解する「分析読書」、複数の本を同時に読んで自分の意見を形成する「シントピカル読書」です。

ここでは、論文・レポートの作成に特に大切な、「分析読書」と「シントピカル読書」について紹介します。

分析読書（おおよその手順）

1. 本のアウトラインを把握する

2. 著者の使っているキー・ワードを理解する

3. キー・センテンスを探し、その意味（命題）と論証を見つけ、著者がどの問題を解決したかを確認する

4. その主張に賛成か反対かを判断する

シントピカル読書　※準備として、文献の目録や一覧表などを参考に、文献表を作成しておく

1. 各資料をざっと読み、関連箇所を見つける

2. 読者のほうでキー・ワードを設定する（著者によりキー・ワード定義が異なるため）

3. 問題を解決してくれそうな質問をつくり、本（著者）から回答を得る

4. 著者の論点を定める

5. 論考・分析する

詳細は『本を読む本』を読んでみましょう。紹介した「分析読書」「シントピカル読書」以外も、辞書や事典論文・レポート執筆のための本の読み方のヒントが得られます。

川喜田二郎『発想法：創造性開発のために』

情報整理の過程から新しい着想を得るKJ法という発想法についての本です。KJ法はデータに語らせるために情報をまとめアイデアを得る方法で、著者の川喜田次郎が自身の野外科学の研究から考案したものです。

KJ法では記録を名刺大の紙片に書き、分類・まとめることで、アイデアを出します。手法はブレーンストーミングに似ていますが、きちんと構造や手順を考えるところに違いがあります。

KJ法では、情報を書いた紙片をグループ編成し、グループ内の意味のつながりを図解し、文章化します。文章化のときにうまく叙述できないとき、新しい発見があります。具体的な方法は「III　発想をうながすKJ法」に書かれています。情報整理の方法、新しいアイデアの出し方に興味があるかたは、この本を手に取ってみましょう。

以上、ざっと、論文・レポート作成のための文献を紹介しました。

昭和女子大学図書館には、このほかにも資料があります。資料の探し方のポイントをお伝えします。

1．蔵書検索の高機能検索で「件名」を選択して「論文作法」と入力し、検索する

※蔵書検索の高機能検索については、資料の探し方- 図書 – STEP1 蔵書検索- 高機能検索を参考にしてください