千原桜の紹介

 千原桜は熊本の固有種で、ヤマザクラの変種であり、ソメイヨシノよりも一週間ほど遅れて満開になり花弁が少し大きく、やや青みがかった純白色をしています。

 千原桜はかつて熊本市西区島崎の千原台の地域に原木があり、まとまった群生地であったことから、その名前がつきました。樹齢200年は経つと思われた老大木の原木は大正14年道路拡張の犠牲となって伐採されました。


熊本市立城西小学校そばにある石碑

 熊本市立城西小学校の正門付近には、原木を偲んで石碑が建てられています。石碑には次のように記されています。 

千原桜の由来

 ここに名花千原桜の原木があった。一重八重の咲き分けて、花綸が大きく白地にやや青味を帯びて、一種独特の風姿を誇っていた。陽春爛漫の候には、市内は勿論、遠くは八代玉名方面からまで観客が続き、この付近には各種の露天が並び芝居小屋まで出来てなかなかの賑わいを呈していたが、惜しむべく大正十四年道路改修の犠牲となって姿を消した。だが、現在も城西小学校には、昭和九年この千原台に新校舎がたてられたときに植えられた樹齢七十年の古木を含めて、五十本以上の千原桜が現在で、春には清楚な花を咲かせて、私たちの目を楽しませてくれている。(石碑より)

 千原桜は育てるのが大変難しく、近年巨大化する台風等の自然災害により倒木し、その数を減らしてきています。そのため、千原桜保存会の方々を中心に接ぎ木をして千原桜の育成管理、植樹活動に力を入れて取り組まれています。

 熊本市千原台の地域には、今もなお多くの千原桜が残っており、一般家庭の庭先や道路脇にもありますので、春になると至るところで白い花を咲かせて、私たちの目を楽しませてくれています。

 ちなみに千原台高校の校章は、千原桜がモチーフになっています。