新しい「ナメクジ捜査網」へ

マダラコウラナメクジの分布を調べる目的で始まった「ナメクジ捜査網」は、開始から約2年が経過しました。

最初は小さな活動でしたが、おかげさまで徐々にナメクジに注目してくださる方も増え、現在(2018年4月27日現在)では400件近くの目撃情報が寄せられています。

これらの目撃情報の多くは在来種のヤマナメクジ、またはその一種です。これは「マダラコウラナメクジ=巨大なナメクジ」と多く報道されたものの、

同じくらい大きくなる在来種のナメクジの認知がとても低いこと、また、そもそもナメクジの種を見分けることが簡単ではないためと考えられます。

ナメクジの分類は簡単ではないので、似たようなナメクジをご覧の際にはいつでもご連絡いただければ、と思うのですが、現在のようにメールで連絡して頂く

という手法では2回・3回と重ねて報告して頂くのは負担が大きいと想像します。また、探している種を限定していることにより、「間違えていたらどうしよう」

と不安に思われる場合もあるでしょう。さらに、ヤマナメクジを含めた在来種の分布や、他の外来種の分布(チャコウラナメクジ以外)も実はよく分かっていませんし、

時々、まったく予想もしない種のナメクジの写真が届くこともあります。

以上のことから、ナメクジの目撃情報を「マダラコウラナメクジ」に限定せず、あらゆる種のナメクジに広げるほうがより多く、そして細かな

ナメクジの分布や種の構成を明らかにすることに繋がるでしょう。ただ、その場合、現在のやり方でたくさんの方から情報を御寄せ頂くと、

処理が大変遅くなったり、情報を見逃すことにもなるので、情報提供者の方の利便性も考慮した新しいウェブサイトシステムを作りたいと考えています。

そのためにはプログラムの構築やデータ保存のためのシステムが必要になりますが、これらの研究資金では実現が難しいテーマです。

そこで、現在、クラウドファンディングによりこのシステム構築のための支援を募集しています。

詳しいプロジェクト内容はこちらのサイト・動画も参照ください→こちら

academist(アカデミスト)日本初の研究に特化したクラウドファンディング・プラットフォームです。これまでに生物学だけでなく、文理問わず多数の

研究がここで資金を得、研究テーマの発展に繋げてきました。ナメクジ捜査網もさらに新しい形へ進んでいけるよう、努力してきます。

宇高寛子

2017年4月27日編集