TK&Rの器機

器機について

〜おうちラボ完成まで〜

福島第一原子力発電事故後、一時的にアメリカに避難していた我が家が、2011年５月、東京に帰ってきて即購入したのはQuarta-Rad RADEX RD=1706です。このガイガーカウンタは小さな素晴らしいマシンで、非常に正確です。初期TK&Rでの環境の放射線測定や除染の際に大活躍しました。

が、RADEX RD-1706の限界を感じて、6月にRadiation Measurement Technologies製1インチ(2.6cm) NaI(Tl)シンチレーションプローブとEberline RM19 サーベイメータを購入。7月にアメリカより届き、より早くより多くのマイクロホットスポットを発見することと、より正確な空間線量を測ることが可能になりました。

NaI(Tl)シンチレーションカウンタの性能にとても満足し、かねてから一番の関心事だった「食品の測定」へも適用できないか、と考えました。そのために、1インチ(2.6cm)から格上げして、2インチ(5.1cm)のNaI(Tl)シンチレーションプローブの購入を決意しました。同時に、Ludlums Rate Meters (CPM)とよりポータブル性の高いLudlumsのサーベイメータを買いました。（ひと家族のポケットマネーにとって非常に痛い出費でしたが、情熱の向かうまま、とにかく必死で器機を揃えました）加えて、facebook運営コミュニティ上でつながったSteven Sesselman氏が発明した GS1100A(オーストラリア Bee Research製)を購入。その頃には、μSvやBqについてみな知識が増えてきました。

食品測定への情熱と想いを胸に、何日も何ヶ月もの眠らずに研究をしました。地元発ち上げた「杉並あんしんプロジェクト」での活動（代表を勤める)もあり、仕事と家事・活動で、同じ屋根の下にいても息子たちときちんと話すこともなく時間が過ぎていきました。(幼いながら、活動を理解し応援してくれた息子たちには本当に感謝しています。彼らや彼らの世代のためだからこそ、ここまでの力を注げました)

放射能と最新技術を理解し、食品測定を可能にすることは、とても困難なことでした。汚染された食品による内部被ばくから自分たちの子どもを守るための測定が、限られた予算でも可能だと信じ、それを証明したかったのです。

同年12月、11mmの厚さの鉛の囲いをつくり、バックグラウンドからの影響は7800 cpmから780cpmに激減しました。サウンドカードもCreative Sound Blaster 96khz 24bitに格上げ、より鮮明にピークが分かるようにもなりました。セシウム137の検出限界を26.4Bq/kgにもできました。

3.11以来、「安いガイガーカウンタは不正確」などの話がメディアにも出ています。が、その意見を信じるのは不正確な値を信じることと同様に大きなリスクにつながると思います。私たちは、同じように市民測定所をつくったり、おうちラボをつくる人たちが今後も増えるだろうと希望を持っています。潜在的な健康へのリスクがあり得るのに「安全」と言われることを疑問に思い、放射線測定をして「見える化」することが非常に大切だと思います。それを実行する自由と権利は私たちにあり、また、実施することが今大人に課せられている役割であると信じます。