第11回勉強会

投稿日: 2018/09/22 1:37:59

日時:2018年9月28日 (金) 17:00〜

場所:国立情報学研究所(NII) 1208室 (12階)

発表者:

谷中瞳 (東京大学)

タイトル:

自然言語処理と形式意味論の融合による、含意関係と意味的類似度の計算

概要:

文と文とがどのような意味的関係にあるかという文間の関連性の計算は、文書分類、質問応答などの自然言語処理の基盤を築く重要な技術である。文の意味をベクトルや数値で表現する手法は未だ発展途上であり、自然言語処理分野においては、様々な機械学習による手法が活発に研究されている。これらの手法では、文字や単語を単位としたベクトルを入力として、それらの表層的な出現パターンとその振る舞いを学習することで、文ベクトルを獲得している。しかし、等位接続構文や否定表現を含む文など、文の構造的・論理的な意味を表現できているかは自明ではない。一方で、形式意味論においては、表現力の高い高階論理に基づいて意味の分析を行う研究が発展しており、 含意関係認識をはじめとして、様々な自然言語処理タスクへの応用が期待されている。しかし、論理推論では、文間類似度のような、連続的な意味的関係を扱うことが困難である。本発表では、機械学習と論理推論という二つのアプローチの利点を組み合わせて文間の含意関係と類似度を計算する研究について、関連研究も交えて紹介する。

発表者:吉川将司 (NAIST)

タイトル:

深層学習とA*アルゴリズムによる高速なCCG解析

概要:

組み合わせ範疇文法(CCG)を用いて文の構造を表現することにより、並列句などの複雑な文構造をきれいにモデル化できたり、またCCGカテゴリと意味表現の型の間の透過な関係を用いて、後続の意味解析に応用することができる(同じ回発表の谷中さんの研究などに繋げられる)。近年、文に対してCCGに基づく文構造を予測するCCG解析では、深層学習との組み合わせにより、高精度かつ高速な解析が可能となり、より一層CCGに基づいた言語処理が可能となってきている。今回の発表では、これまでの研究を交えながら、発表者によるA*アルゴリズムに基づく高速なCCG解析の手法について紹介する。