ホームステイマニュアル受入編

how to host

受 入 編

Ⅰ ホームステイとは

ホームスティは「おもてなし」のこころで

ホームスティは、ボランティア(無償)です。ただ、ボランティアだからといって「世話をしてやる」という態度をとったり、あるいは、例えば「外国語を覚えるよい機会だから」といった功利的な理由でホームスティを引き受けたりするのはよくありません。

ホームスティはあくまでも、人と人との交流の場、ふれあいの場です。外国のお友達に日本の生活や習慣を知ってもらうと同時に、外国のいろいろ異なった文化を学び、相互の理解を深めることがホームスティの大きな目的の一つです。

外国のお友達を家族の一員としてむかえてあげましょう。

まずやってみよう

「我が家みたいなところでもホームスティができるのかしら?」としりごみしている方が多いようです。しかし、ホームスティを経験された方は「ホームスティして本当によかった」と思っておられる方も多いようです。

ホームスティは「まずやってみること」これが一番肝心だといえます。ほんのチョットの勇気で、本当に貴重な体験ができます。さあ、“Let‘s Try !”

Ⅱ 受入れの心構え

〈1〉事前の準備

ホームスティは、日本人の普段の生活を、外国のお友達に経験してもらい、知ってもらうものですから、お客さま扱いすることはありませんし、特別何かを準備しなければならないこともありません。

ただし、事前に相手の国のこと、自分の国のことを勉強しておくと、話題がどんどん広がり、より楽しいホームスティができるでしょう。また、招く側、招かれる側両方が気持ちよく過ごせるよう、家庭環境等、前もって相手方に話しておくとよいでしょう。

ホストファミリーは、派遣学生の氏名が分かったら直ちに、学生、その両親と文通を始めるとよいでしょう。

≪受入れ側の家庭環境≫

○ 家族構成

○ 個室はあるか、ない場合は誰と同室か

○ ベッドかふとんか……畳の部屋もよい

○ シャワーはあるか

○ トイレは洋式か和式か

○ 外国語は話せるか

○ ペットについて

≪相手方について≫

○ 来日の目的

○ 宗教は何か……食事に関係する

○ アレルギーはあるか

○ 食べられない食べ物はあるか

○ ペットはだいじょうぶか

○ ハンディキャップはあるか

実行委員会では、派遣生のプロフィールが届いたら、どの子どものホストになっていただくか決め、ホストファミリーにそれをお渡しします。その中には、子どもの家庭環境、生活習慣、アレルギー、宗教上の問題点、食べ物などについて紹介されています。今後のホームスティの参考にしてください。

この他、派遣生があなたの家族と暮らす上で守らなければならない家庭のきまりを考えておくのも役立つでしょう。

〈2〉住宅の環境

ホームスティに積極的になれない理由の一つに住宅の環境があげられると思いますが、これも日本人が心配するほど、外国の方は気にしていません。

○ 大きな家でなくてもだいじょうぶです。

○ マンションやアパートでもだいじょうぶです。

○ ベッドがなくても構いません。

○ シャワーがなくても構いません。

○ トイレは洋式でなくても構いません。

日本の普通の家庭生活を経験してもらえばいいのです。

この他に、聞きたいことがあれば、実行委員会のほうに問い合わせてください。経験談を話してもらうこともできます。

〈3〉ホストファミリーのスタンス

「小さな子どもがいるから・・」「夫婦共働きで、家にいないから・・」「お年寄りがいるから・・」と、ホストをしてみたいんだけどと、迷っている方もみえると思います。いままでにも、そういった家庭環境の方もホストをしていただいています。

大切なことは、家族構成ではなく、家族全員が外国の人を招いて楽しく過ごそう、日本を知ってもらおう、相手の国のことを知りたい、そういう気持ちをもっているかどうかです。家族の中に、ホームスティに賛成でない方がいますと、相手にさびしい思いをさせてしまうこともあります。

ホームスティ(外国の人を受入れるということ、歓迎するということ)について、家族でよく話し合い、家族全員の気持ちが一致していることが、大切です。

〈4〉ことばの問題

ホームスティするにあたって最大の不安はやはり、言葉でしょう。もちろん相手の国のことばが話せることにこしたことはありませんが、ことばが話せないからホームスティはできないということは決してありません。

ことばや生活習慣等に違いはあっても、「うれしい」「かなしい」「ありがとう」「ごめんなさい」…そういう人間としての感情は同じです。

「相手に自分の気持ちを伝えよう、相手の言っていることに耳をかたむけよう」という気持ちをもっていればだいじょうぶです。

身振り手振りで話したり、辞書を片手にメモを書いたり……、お互いに相手を一生懸命理解しようとすることでかえって仲良くなれるのです。

多少のくいちがいも、異文化に触れる楽しい経験のひとつです。ホームスティを通して、今まで全然知らなかったことばや文化に興味を持てたとしたら、それだけでもあなたの国際感覚は大いに向上したことであり、「ホームスティをしてよかった」と言えるでしょう。

コミュニケーションをとるために必要な英語力は、基本的には、中学終了程度で十分だと思います。むずかしい表現を使う必要はありません。落ち着いて、自分の意思をつたえましょう。

簡単な、日常会話の文例を載せました。参考までにどうぞ。

〈5〉意志表示は明確に

たとえ英語が話せなくても、「YES」、「NO」の意志表示は、はっきりしてあげなくてはいけません。

例えば、お金に関することや、やってはいけないこと注意したりするのは言いにくく、ついあいまいにしがちですが、あいまいにしているとかえって大きな誤解を招き、感情的に気まずくなってしまいます。また初めてのことだからと大目にみて、その次の時に注意するのもトラブルのもとです。

ダメなことは、理由をきちんと説明して最初にはっきりダメと言い、納得させましょう。

〈6〉スケジュールのつくり方

せっかくきてくれた派遣生のために、あれもこれもスケジュールをたてるのは、お互いにしんどいものです。臨機応変に対応できる柔軟なスケジュールを立てたほうがよいでしょう。

また、実行委員会も企画をお手伝いさせていただきますので、そのスケジュールを参考にして下さい。

Ⅲ 受入れからお別れまで

〈1〉出迎えと紹介

実行委員会、ホストファミリーと共に、セントレア空港又は常滑駅で、派遣団の出迎えをします。

いよいよ初対面です。何よりもまず緊張している子どもが、くつろげる雰囲気で出迎えてあげてください。みんなで歓迎しましょう。

到着したばかりの学生は、非常に疲れていて、「時差ボケ」から回復する時間が必要なことを念頭に置いて下さい。

特別なお客さま扱いよりも、家族の一員として迎えてあげることが最高のもてなしです。

実行委員会では、ウェルカムパーティを予定しています。このようなパーティの目的は、派遣学生がこれから接する地域社会の人々やホストファミリーの友人たちを紹介することです。お互いの交流の場を広げましょう。

〈2〉あいさつ

かたぐるしく考えることはありません。「ようこそいらっしゃいました。楽しく過ごしましょう。」そんな気持ちを表してあげれば、子どもも安心するでしょう。

その際、片言でも相手の国のことばであいさつできれば緊張を解きほぐし、雰囲気も和らぐことでしょう。握手は相手に求められたときだけにしましょう。

〈3〉家族の紹介

家族の一員として、早く慣れてもらうためにも、家族全員の呼び名、学年や勤務先等、紹介してあげましょう。

逆に、相手のニックネームも聞いてみましょう。そこからどんどん楽しい会話が広がっていくことでしょう。

〈4〉家の中の案内

泊まってもらう部屋、トイレと洗面所、風呂場、食事する部屋、居間・・等、使ってもらう部屋を案内しましょう。

このとき、例えば風呂の使い方、布団の敷き方、上げ方等、部屋の使い方を簡単に説明してあげてください。とくに、夜間の照明、スイッチは気をつけて教えてあげましょう。

〈5〉家のルールの説明

家の中を案内しながら、家庭でのルールも説明してあげてください

○ 食事は大体、何時ごろ。

○ 門限は大体、何時ごろ。

○ 入浴時間は大体、何時ごろ。

○ 寝る時間は大体何時ごろだけど、眠くなったら先に寝ていいですよ。

○ お腹がすいたら、これは食べていいですよ。

○ 喉が乾いたら、この水(お茶)は自由に飲んでもいいですよ。等々

慣れないうちは、どうしてもお互いに遠慮して眠くても起きていたり、自分の部屋に戻りたくても我慢してみんなに付き合っていたりしがちですが、それでは長続きしません。

受け入れる側も、普段のままの生活をすればいいですし、相手の子どもにも、何もかもこうしなさいと指示するのではなく、選択の余地を与えてあげましょう。

ただ、何も言わずに、めいめいが好きなことをしていると、疎外されているようで、どうしていいか困ってしまいますから、例えば、「何時ごろ食事にするけれど、それまでは自由にしていなさい」とか、「今から買い物に行くけど、一緒に行きますか?」などと、一声かけてあげるといいでしょう。要は、思いやりの心使いが大切です。

もし、その家庭のルールにあわせられないことがあれば、お互いに我慢せずに、話し合って決めましょう。その場合、日本の習慣に反することは、きちんと理由を説明した上で、はっきりダメと言いましょう。

〈6〉食事

普段のままで十分です。特別な料理を作ろうとすると、精神的にも経済的にも長続きしません。ただ、次のことがありますので、相手のプロフィールや、事前に手紙等で確認しておくことが必要です。

○ 宗教上、或いは嗜好上、食べられないものはないか(特に刺身などのなまものには注意)

○ 食べ物に関するアレルギーはないか

<準備・後片付け>

お客さま扱いすることはありません。本人が手伝うと言えば、気軽に

手伝ってもらいましょう。

また、料理なども一緒につくってみるというのも楽しいでしょう。

<たばこ>

家族に吸われる方がいり場合、事前に言っておくか、吸う前に一言断った方が

いいでしょう。

〈7〉トイレ

必ずしも洋式でなくてもだいじょうぶです。ただ扱い方だけは教えてあげてください。

〈8〉風呂

入浴方法は、はっきり説明してあげましょう。

日本のお風呂は、単に汚れをおとすだけではなく、温まってくつろぎ、疲れをとるために入るということ、家族が順番に同じお湯に入るので、身体は浴槽の外で洗うこと、従ってでるときは、お湯をぬかないこと(ただ、お湯の上に浮いているゴミ、毛髪等はすくいとっておくこと)等、話しておきましょう。

<シャワー>

シャワーは、必ずしもなくても結構です。ない場合は、そのことを話し、

日本のお風呂を楽しんでいただきましょう。

<入浴の時間>

外国の人の中には、朝、入浴する習慣の人もいます。朝は入れないとか、

シャワーだけとか、夜の何時ごろまでに入浴しなさいといった入浴時間も

言っておきましょう。

〈9〉就寝

「外国人はベッド」と思いがちですが、ベッドがなくても結構です。ふとんと畳は日本式生活の象徴であり、かえって、日本の「ふとん」というものに一度寝てみたいと思っている外国人も多いようです。ふとんの敷き方やあげ方も説明してあげてください。

〈10〉プライベートな時間

気を遣いすぎて四六時中、側に付いているというのは行き過ぎです。時には手紙を書いたり、本を読んだり、あるいは一人で散歩をしたりするような、プライベートタイムを大切にしてあげることも必要です。

〈11〉電話

電話は、ホームスティの趣旨から、最初の1週間は、かけないことにしています。

ついつい、派遣生の気持ちをくみ、相手の家庭に電話を進める気持ちはあるでしょうが、

そうしますと、甘えがでてきます。もし、相手の家庭に無事に到着したことや、子どもの

様子を知らせたかったら、内緒で連絡するようにしてください。

また、電話をかけた場合、遠距離ですので、電話料金が高額となります。電話料金は後から請求がきますので、帰ってから請求書をみてびっくりということになりがちです。

トラブルのもとになりやすいので、できるだけ公衆電話かコレクトコール(料金先払い)で、かけてもらうようにしましょう。

公衆電話の位置、ダイヤルの仕方テレホンカードのことも教えておいてください。

国際電話を許可する前に、誰が料金を支払うのかを確認して下さい。

最近は、インターネットの無料電話Skypeを使用している方もいます。

〈12〉見学とショッピング

結構、楽しみなのが、見学とショッピングです。

日本の文化に触れたり、お土産を買ったり、気分転換にもなります。

<スケジュール>

ついつい欲張った計画をたててしまいがちです。あまり綿密な計画は、

たてないほうがよいと思います。

<費 用>

とにかくお金に関することは言い出しにくく、ついうやむやになりが

ちですが、最初に、はっきりルールを決めておいた方がお互いに気まず

い思いをせずにすみます。

観光や買い物の費用まで負担することはありません。

「個人的にかかったお金は自分で払おうね」と一言、最初に言っておきましょう。

「もしも、迷ってしまったら・・」

迷ったとき、どうすればいいか説明し、自宅の電話番号のメモを渡しておきましょう。

その他、次のようなカードを渡しておくのも一つの方法です。

私は、○○○○です。

迷子になってしまいました。

下の番号に電話して、私の現在の

位置を説明して下さい。

TEL ○○○ 名前 ○○○

〈13〉おみやげ

おみやげに関する考え方も、各国様々です。日本と同様、たくさんのおみやげをもってくる国の方もいれば、感謝の気持ちを物にかえるのは失礼と考える国の方もいます。

一生懸命もてなしをし、楽しんでもらえたら、とくにおみやげを渡す必要はありませんが、迷う場合は、相手からいただいたものを基準にして、大体同じくらいのものを渡すようにするのも一つの方法です。

手作りのものや家族の写真等、いい思い出になり、大変喜ばれます。

14〉病気やケガの時

外国人は、健康保険に加入していません。もし、病気やけがをしてしまった時はかならず、実行委員会または、学校のほうへ連絡し、適切な指示を受けてください。実行委員会で写真入の派遣団の一覧表を作成し、来日前に常滑市民病院に提出しておきます。

診療等にかかった場合、領収書を受け取っておきましょう。医療費は旅行保険で全額支払われます。ただし、既往症の場合は、保険でカバーされないこともあります。

また、突然病気やけがになってあわてないよう、休日も診療している病院等、前もって調べておきましょう。

<来日団が医療機関等を利用した場合の対応について>

来訪児童或いは引率者が医療機関にかかった場合は、まず、健康保険や国民健康保険等に加入していない者として扱われます。実費を払うわけですが、支払い及び帰国後の保険請求に必要な手続きに関しては、すべて訪問団の引率者に任せるようにして下さい。

ホストファミリーや実行委員会が支払い或いは立て替えをする必要は全くありません。但し、通訳が必要な場合、また医療費が高額な場合などは、事務局(TSIE)まで早急にご連絡下さい。

〈15〉トラブル

ささいなトラブルが、あとで重大なことになることもあります。

気がついたことや、困ったときは、自分だけで悩まず、相談してください。

帰国前に、できるだけ解決しましょう。

〈16〉別れたあとの付き合い

ホームスティを通して、外国の人とともだちになり、楽しいときを過ごしても、お別れをしてそれっきりというのでは残念です。お互いに、住所やメールアドレスを交換して、手紙を出し合ったり、クリスマスカードを送ったり・・どんどん交流を広げていってください。

Ⅳ 受入れの予備知識

〈1〉派遣生への対応

派遣生に気を遣って世話をやきすぎる事や、また放任のしすぎもよくありません。

それから、留学生は意外と疲れているので無理に多くの場所へ連れていく必要はありません。休息が欲しいと思っている場合もあります。時には一人になれる時間も与えてあげて学校生活への適応上の困難深刻なホームシックに直面した場合、実行委員会、学校、TSIEに必ず、報告してください。

〈2〉ホームシック

言語に問題がある場合、ホームシックの状態になることがよくあります。

たいていの派遣生は、大なかれ少なかれ、ホームシックになると思っていてください。

ホームシックになったからといってすぐに、派遣生の母国の家庭に電話をかけることは、厳禁です。長い目でみてあげてください。

ホームシックの治療法としては、学生の母国語を話す人に接することや、充実した活動プログラムなどがあります。また趣味(ゲーム、TV、映画、ビデオ、スポーツ、ショッピングなど)や、小旅行やちょっとした社交行事が役立つこともあります。

しばらく、様子をみることも大切な治療のひとつです。

ホームシックになったと思われる場合、実行委員、学校、TSIEが力になる事が出来ますので、放任せず、相談してください。

たいせつなのは、派遣生に関して興味を持ち、色々質問してあげることです。

〈3〉お互いに確認しておきたいこと

○ 家庭のルールを説明してあげて下さい。

○ 派遣生に、して欲しくないことは、言い にくくても最初に言っておいて下さい。

○ 日本での滞在中にしたいことなどを聞いてあげて下さい。

○ 食べ物の好き嫌いや、国の事情によって食べてはいけないものがあるかどうか尋ねてあげて下さい。

○ お小遣いは支給されているもので、まかなうようにさせて下さい。

〈4〉日常生活、生活習慣について

お互いの習慣や考え方の違いがあるのは当然です。派遣生の行動で納得できない事があれば自国での様子をよく聞き、日本の生活の仕方を教えてあげて下さい。

家族の一員として普通に生活すれば良いと、安心させてあげて下さい。

派遣学生が加わったことにより、家族関係が微妙に変化する可能性がありますので御配慮下さい。(ホストシスター、ブラザー等の嫉妬等)その為にも、派遣生にでも出来ると思われる手伝いは兄弟、姉妹と同じように、させて下さい。

〈5〉病気、ケガ、その他のトラブル

常に派遣生が自分の子供だったらどうするかを考えて対処して下さい。

些細なことでも、実行委員または学校に、まず連絡して下さい。

〈6〉異文化体験

何度も言いますように、派遣生は日本の文化や習慣を学ぶために留学してきます。ですから、わざわざ皆様の生活を西洋風に改める必要はありません。

日本に来る派遣生は日本食を当然ながら食べます。派遣生は日本式のトイレ・お風呂も体験しなければなりません。

派遣生の習慣、例えば日本の生活習慣ですと、家に入るときは靴を脱ぐとか、箸の使い方、お風呂の使い方などは、一週間もあれば慣れます。しかし、遠い日本の国の習慣を、しかもトイレのドアー云々の習慣まで、ホストファミリーにしても留学生にしても、全てを把握して派遣生を受け入れたりというのはとても不可能です。特に、日本と同じ習慣や文化をもっている国は少なく、日本の習慣について教えられる人は、なかなかいません。ですから派遣生をホストしていて「何でこんな事を不思議がるのだろうか?」とかいう事が沢山出てきます。

〈7〉外国の常識・日本の非常識

どの留学生にとっても、最初のホームステイ先への第一歩はとても緊張するものです。それは、日本の文化へ触れる初めての瞬間でもあります。

「家の中に入る時は靴を脱ぐこと」この習慣を彼はしっかりと覚えてきました。ホストファミリーの家に向かう車の中で、彼は何回も頭の中で繰り返しました「靴を脱ぐこと・・・靴を脱ぐこと・・・」と。留学生としては、靴を脱ぐのを忘れたまま家に入り、「なんてマナーの悪い留学生だ」と、ホストファミリーに思われたくなかったのです。家に着いた彼は、ちゃんと靴を脱ぐのに成功した。ところが、玄関にはスリッパがっ置いてあって、それを履いたらいいのかどうか迷ってしまったのです。出迎えてくれたホストファミリ-の足下を見たら、皆スリッパを履いているので自分も履いた。そこまでは問題ないけど、畳の部屋に入るとき、そのスリッパを脱いだらいいのか、履いたままでいいのか瞬間的に判断できなくて、そのまま履いて畳の部屋に入ったら、ホストマザーに怒られてしまった。ある留学生の失敗談です。

留学生の後にお風呂に入ろうとしたら、お湯が全部無くなっていたとか、泡だらけだったとか、スリッパで畳の上を歩いているとか、布団の上をジーパン姿で寝ころがっていたとか、和式トイレの使い方が分からず、トンデモナイ格好で用を足していた等々ハプニングの連続です。彼等が玄関で靴を脱ぐ様子を、よく観察してみて下さい。違いを発見できるかも。

こういったことは、後で考えてみると楽しいエピソードとして、いい思い出になるはずの出来事なのです。一つ一つ気が付いた度に、日本の文化や習慣を教えてあげて下さい。決して怒らないで優しく教えて下さい。必ず理解してくれます。

〈8〉早く寝て!

「寝るとき以外は出来るだけ、ホストファミリーと一緒に過ごすように」これは、ホームスティの約束みたいなものです。

ある日ホストファミリーから電話が入りまして留学生に早く寝るように言ってくれ、と言うんです。話を聞くと、その家庭は普段は10時過ぎに全員寝るのだそうですが留学生がなかなか寝ないので、毎晩12時過ぎまで全員で起きている。これでは、もう体が持たないと言うのです。

早速、留学生に電話したら「え…っ!自分も本当は普段10時頃には寝るのだが、オリエンテーションでホストファミリーと寝るまで過ごせと言われて、眠いのを我慢してみんなが寝るまで起きていた」というのです。ホストファミリーに話したら大笑いでした。何時になったら寝るという約束も必要ですね。

〈9〉国際交流は心の交流

国際交流、それは「心の交流」だと思います。言葉も通じなく、文化も習慣も違う人間が交流し合うには、相手を思いやる心がなくては、成功するわけがありません。留学生の育った環境や習慣、文化を理解しながら、日本の文化や習慣を少しずつ体験させていく、こんな思いやりも必要なのかもしれませんね。

まず「留学生を歓迎する心」そして、「寛容な心」、さらに留学生を家族の一員として迎える「心を開くこと!」それが、ホストファミリーが疲れないで、成功する一番の秘訣のような気がします。

〈10〉成功の秘訣

ホストファミリー成功の秘訣を経験者に一言ずつ話してもらいました。

「神経質にならないこと」、「こまかいことを気にしないこと」、「こんなもんだと諦める」、「留学生に期待しない」、「一緒に遊ぶ・一緒に楽しむ」、「特別扱いをしない・お客さん扱いをしない」、「留学生を理解し、愛情を持って接する」、「友だちの感覚で」等々でした。

ほとんどの留学生にとって、最初の1週間はとても辛い時期です。ホストファミリーにとっても、辛いものがあります。でも、残りの期間に、いろいろな壁を乗り越え、国際交流のプログラムの素晴らしいゴールへと歩み始めます。

このプログラムが成功に終わった、満足感を得るのは、決して留学生だけではありません。関係した我々実行委員、学校の先生方、そして何より一番苦労したホストファミリーの方々が、留学生と同じ喜びを味わうことが出来ることと思います。

留学が無事終了した時、日本は留学生にとって第2の故郷になります。彼らは日本での生活や、ホストファミリーの皆さんの御恩を生涯忘れることはありません。ホストファミリーの皆さんは、留学生にとって永遠に日本のお父さん、お母さん、そして彼らは皆さんの息子や娘になるのです。

ホストファミリーの皆さんにお願いすることは、たった一つしかないような気がします。

それは「自分の子供と同じように扱って下さい」ということです。

「自分の子供のように愛し、自分の子供のように叱り、自分の子供のように許す。」

大きな夢と期待を膨らませ、そして自分の本当の家族から離れて暮らすという不安を胸に、留学生たちはやってきます。

もし世界中、言葉も文化も習慣も同じだったら、このプログラムは必要ありません。どうぞ、ホストファミリーになることを"楽しんで"下さい。

Ⅴ 国による習慣の違い

「ところ変われば品かわる」というように国によって風俗、習慣はいろいろ違いますが、

外国の習慣を知ること、日本の習慣を外国の人に知ってもらうことが、ホームスティの

大きな目的の一つですから、それほど、神経質になる必要はありません。

ただ、宗教的な規則は尊重し、政治や宗教等に関する批判は避けてください。

次に、一般的に注意した方がよいと思われることを列挙しましたが、これも国・地域・

個人によってそれぞれ異なりますので、一つ一つ確認した方がいいでしょう。

(1)肉料理には注意!

(個人によって差があります。)

○ 仏教徒の一部及びヒンズー教徒……牛肉を食べない。

○ イスラム教徒……豚肉を食べない(ハム、ソーセージ、ラード等加工品も同様)

ハラルミートでなければならない人もいます。

○ ユダヤ教徒(個人によってかなり差があります)……豚肉を食べない、肉類と

乳製品は同じに食べない。

○ 菜食主義者(ベジタリアン)……肉類を食べない。

その他、宗教心の強いユダヤ人の中には、エビ、イカ等の骨やウロコのない魚介類

を食べない人もいる。

(2) 左手は汚い?

イスラム教国、インド、タイ等では、左手は不浄なものとされているので、握手や

物の受け渡し等、右手で行ったほうがいいでしょう。

(3) 子どもの頭をむやみになでない

イスラム教国、インド、タイ等では、「子どもの頭には聖霊が宿っている」と信じ

られ、頭をなでられることを嫌います。

(4) お祈りの時間は静かに!

例えば、熱心なイスラム教徒は1日に5回お祈りをします。同じ宗教でも、お祈り

する人、しない人、いろいろですが、お祈りをしているときは、そっとしておいてく

ださい。

(5)失礼な仕草あれこれ!

○ マレーシアでは、ひとさし指で人を指すのは失礼になります。ラオスでも指で人を

指すのは、敵対行為と受け取られます。

○ 足や足先で方向を示したり、指示するのもあまり好まれません。

○ タイでは、足を組むのも尊敬の念がないと受け取られるようです。

一般に、むやみに身体に触れたり、指さしたり、じろじろ見たりするのは失礼に

あたります。

Ⅵ チョット chat 英会話

(1) はじめまして

It was a long flight, wasn’t it ?

Aren’t you tired ?

Here we are. This is our house.

長い空の旅でしたね。

疲れていませんか?

さあ着いた。ここが我が家だよ。

(2)家族に会って

Let me introduce my family.

Let’s be friends and have fun.

Ask me anything you like about the

house.

ぼくの家族を紹介するね。

楽しくやりましょうね。

家の中ことは何でも聞いてね。

(3)家の中へ

(4)食事

(5)おふろ、トイレ、洗濯

This door is for the toilet.

The bathroom is over there.

They are separate.

このドアがトイレだよ。

おふろはむこうだよ。

別々になっているんだ。

Turn the lever to the left for hot

water and to the right for cold water.

Bring something that need washing

and put them in the basket in the

bathroom.

I will wash them for you.

熱いお湯が必要なときはレバーを左に、冷たい

水が必要なら右にまわしてね。

洗いたいものがあれば、持ってきて、バスルーム

にあるバスケットにいれてね。洗ってあげます

よ。

(6)団らん

(7)おやすみ・おはよう

(8)質問

I’ll explain it again.

What’s the matter with you ?

もう一度説明します。

どうしたの。

(9)誘う

Shall we eat out today ?

Let’s go to the video rental shop ?

今日は、外食しませんか?

ビデオショップにいきましょう。

(10)話す

How many members are there in

your family ?

Do you have any brothers or

sisters ?

What does your father do ?

What do you do when you have

free time ?

What are your hobbies ?

What are you interested in ?

あなたは何人家族ですか。

兄弟姉妹はいますか。

お父さんの仕事は何ですか。

時間のあるときは何をしているの。

あなたの趣味は何。

どんなことに興味がありますか。

(11)お別れ

受け入れたゲストと一緒に楽しみましょう。

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