09 覆土秘匿前のトーチカの姿を米軍空中写真で見る

米軍による1949年4月26日撮影1万6千分の1空中写真を拡大実体視して戦争遺跡について分析を行いました。

分析に用いた空中写真の1枚

国土地理院より入手した印画紙印刷空中写真を1200dpiでスキャンし、それを6400%に拡大して、パソコン画面上で実体視して構造物の状況を把握しました。赤枠内の拡大図を次に示します。

米軍空中写真の実体視により把握した構造物

最近現場で発見した軽便鉄道の西岸橋台とトーチカ監視塔の外、軽便鉄道橋脚2基、東岸橋台、トーチカ監視塔上部、トーチカ本体を確認できました。

トーチカ本体の空中から見る姿は想像していた以上に複雑で、かつ攻撃的な構造を有していることが判明しました。トーチカですから当然ですが。

また、1949年時点では地表に露出していて、それ以降に土で埋められたことがこの空中写真から判明しました。

さらに、現存する監視塔は下部であり、その上部に小さい塔の存在が確認できました(上部小塔は現存しない)。

これまで、この構造物がトーチカではなく、防空軍事倉庫等である可能性を排除できないと考えていましたが、米軍空中写真判読によりその可能性は消えました。

米軍空中写真の実体視により把握した監視塔とトーチカ本体の構造に関する情報

トーチカは花見川斜面を利用して築造され、3方向の砲口をもつ構造であると推察できました。

これまでに現場では次のような情報を得ています。

これまでに得られた現場の情報

これまでに得られた現場の情報に、米軍空中写真判読結果を、本来必要な各種補正をしないで便宜的仮作業として重ね合わせてみると、双方の情報をほぼ整合的に理解できることを感得しました。

現場で得られた情報と米軍空中写真判読の大ざっぱな重ね合わせ

米軍撮影空中写真を実体視している時、ふとタイムトラベルの空中飛行をしているような感覚に襲われました。なにしろ地下に埋もれていて空想するしかなかった構造物の立体形を3Dで見てしまったのですから。

2012.12.18 ブログ「花見川流域を歩く」記事