研究室について

研究分野

実験認知心理学・認知神経科学

研究室の目標

ヒトの認知の背景にあるメカニズムの解明

ヒトの認知機能の解明には、我々の行動や意識がどのように形成されるか、そしてその背後にある脳のメカニズムを理解することが重要です。どのような刺激や情報が脳に入力されどのように処理されるのか、また脳の状態によって外界の情報の処理過程がどのように変わるのかを明らかにする必要があります。

この研究室の目標は、さまざまな情報が脳内で処理され、意識となる過程を解明することです。そのために、行動実験や脳活動計測を使用して、特定の認知プロセスや脳領域の活動を観察し、分析します。行動実験では、綿密に計画された実験計画のもとで、特定の課題を実行する過程でのヒトの行動や反応時間、正確性などを評価し、認知プロセスに関連する行動パターンを明らかにします。一方、脳活動計測では、脳波(EEG)や脳磁図(MEG)などの計測手法を使用して、特定の認知プロセスに対応する神経基盤を特定します。

実験室での基礎的な知見から日常場面での行動を説明する

日常場面におけるヒトの認知や行動に着目しています。具体的には、自動車運転場面における視覚的注意の働きや、日本の犯罪捜査で用いられている隠匿情報検査における認知過程など、さまざまな現実の場面でのヒトの心理的プロセスに焦点を当てています。実験室で得られた基礎的な知見から、これらの日常的な場面におけるヒトの行動を説明するロジックを提供することを目指します。

メンバー

スタッフ

講師 川島朋也

学部

2024年度配属予定

実験設備

実験室


刺激呈示


携帯型脳波計


生体計測装置


眼球運動計測装置

研究室の運営

研究テーマの選択

研究テーマは学生一人ひとりの関心を聞きつつゼミで相談して決めます。認知心理学的現象(注意や記憶、高次認知など)に関わるテーマを設定します。現実場面におけるヒトの認知や行動(例えば交通事故など)に関心がある場合は、その基礎となる認知機能から現実社会にアプローチするテーマ設定を行います。

研究の進め方

本研究室ではヒトを対象とした心理実験を行います。まず行う研究は先行研究の直接的追試または概念的追試とします。追試研究を通して、先行研究の背景にある研究群体系的に理解し、実際の実験計画の基礎からデータ解析までを体験的に習得することを目指します。さらに、得られた結果が先行研究を追試しない場合は剰余変数を検討してさらなる実験を、新しい現象が確認された場合はその頑健性を確かめるためにさらなる実験を行うなど、心理実験を積み重ねて現象に迫ります。これらの理由から、脳波などの生体信号の計測を行う場合であっても、まずは行動実験に取り組むことを強く推奨します。

追試の対象とする論文は以下の雑誌に掲載されている論文を中心とします。

ゼミ活動

ゼミ配属後の3年次後学期では論文の輪読と実験作成の実習(PsychoPy)を行う予定です。研究倫理についても再確認します。

指導方針

「親しき仲にも礼儀あり」:教員と学生、学生同士、そして実験参加者の対応など、ヒトを対象とする研究を遂行するうえで協調的に行動する能力は非常に大切です。他者に対しても、そしてもちろん研究に対しても誠実であれるような環境を構築します。

「あたりまえを疑う」:認知心理学的現象という身近なテーマを扱うため、無意識的にも解釈に思い込みが入りやすい傾向があると思います。一歩引いて、客観的に現象を俯瞰し、「なぜ?」という誠実な問いを大切にする雰囲気を作ります。

「自信をつける」:一歩一歩着実に、地道に研究活動を進めていきます。例え小さいものであったとしても、その中での成功体験をお互いに尊重できる風土をつくります。学内外でできるだけ学ぶ機会を提供していきます。粘り強く取り組み、知的体力を付けていきます。

自主ゼミ

2023年度より有志で自主ゼミを開催しています。所属や学年に関係なく参加できます。

2023年度は統計検定2級に向けた統計学の基礎をテーマにしました。

研究室へのアクセス

メールやアクセス方法はこちらをご覧ください。