以下の通り,第7回研究会を開催いたしました.
日時: 2020年11月19日 (木) 15:30~18:00
場所: Zoom によるオンライン開催
参加者: 31名
[講演1]
講演者: 神山 直之 氏(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 / JST さきがけ)
題目: サイクルを含む選好を持つポピュラーマッチング問題
概要: 本発表では各点が接続する辺に対する選好を持つ二部グラフ上のポピュラーマッチング問題を考える。点による多数決で他のどのマッチングにも負けないとき、マッチングはポピュラーであると定義される。特に本発表では選好がサイクルを含む設定を考える。まず、片側の点のみが選好を持つ場合に対して、Abraham et al. の結果が拡張ができることを示す。さらに、両側の点が選好を持つ場合に対して、通常の選好の場合との違いを説明する。本研究は、JST、さきがけ、JPMJPR1753の支援を受けたものである。
[講演2]
講演者: 鍛冶 静雄 氏(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
題目: Nested Subspace Arrangement によるグラフの連続表現
概要: グラフ埋め込みは,SNSなどの巨大なグラフをユークリッド空間に埋め込むことで,解析の助けにする手法の総称である.埋め込まれた各頂点は座標を与えられ,離散構造が連続化されるため,機械学習の前処理として用いられる.これまでには,広範かつ効率的な埋め込みを探すために,ポアンカレ円盤など一般の距離空間への埋め込みを考えたり,有向グラフを表現するために各頂点を点ではなく円盤として埋め込むなどの拡張が考えられてきた.後者の方法では,有向辺を円盤の包含で表現することで,非対称性を巧妙に実現しているのだが,サイクルが表現できないという弱点がある.この講演では,頂点を部分集合族によって表現する Nested Subspace Arrangement を導入することでこの弱点を克服する.さらに,WordNet や Twitter network などの巨大なグラフが先行研究に比べてより効率的に埋め込めることを紹介する.この研究は,九州大学の秦希望氏,吉田明広氏,藤澤克樹氏との共同研究である.