組織安全研究所では、
これまで数多くの組織診断インタビューを実施してきましたが、
それぞれの組織が抱える問題には、
共通する部分が多いと感じています。
そのなかから典型的と思われる傾向を例示します。
【人が足りない】
・人を減らして収益を上げるという単純な発想
・操業安定時を基準に最少人員を配置。非常時の想定が不足
【人を入れない】
・ベテランの退職と同時に新卒を採用。心太式の人事
・チームの実力を頭数だけで判断。経験の有無を考慮せず
【経験する機会がない】
・プラントの新設や大規模なプロセス改造は非常に稀
・連続運転を実現した結果、定期修理の頻度が減少
【安全優先の閾値がそろわない】
・人員体制や作業工程の実態に関し、管理者と現場に認識差が存在
・上司の言動の背後にみえる生産優先の意識を現場は敏感に察知
【安易に禁止する】
・トラブルが発生すると、当該行為を即座に禁止
・禁止行為の横行が技能低下を招来。現場の納得感も喪失
【手順書を使わない】
・現場の実態と手順書の中身が違うので、手順書を使用せず
・経験に裏打ちされた自らのやり方を過信し、手順書を使用せず
【現場に出られない】
・繁忙な机上業務が現場巡視を阻害
・悪しき紙様信仰
【昇進したがらない】
・交替勤務の班長やラインの係長に登用されることを敬遠
・管理職の仕事の中身に魅力が皆無
【落下傘の管理職が横行する】
・研究部門から現場の製造課長へ横すべり。プラントの理解が伴わず
・横すべりの製造課長を教育する仕組みも欠落
【陰の職場が存在する】
・事業の将来性が乏しく、人員や予算が縮小均衡
・周縁で簡単な仕事を行う職場を軽視。見方を変えれば既得権
【始めたことはやめられない】
・なんでもかんでも一方的に業務が降ってくるとの現場の悲鳴
・いつのまにか仕事が自己増殖し、組織も肥大化
【自分たちで決められない】
・現場の意向を尊重せず、上意下達でルールを決定
・仏作って魂入れず。表面的・形式的な帳尻合わせが頻発
【設計思想が伝わらない】
・プラント建設当時の技術資料が散逸
・変更管理が追い着かず、P&IDと現場の実態が乖離
【運転と保全がつながらない】
・当直の引継日誌などの運転情報が工務へ届かず
・設備の検査記録などの保全情報が製造へ届かず
【安全環境部門が味方にならない】
・検査立会や申請書類作成など、規制行政への対応で手一杯
・安全活動の指導や旗振りなど、現場支援に手が回らず
【全体が見えない】
・職位に見合わない一段下の仕事に従事
・能力不足を想定外と換言
みなさまの職場にもあてはまる事項はありませんか?
組織の強化改善は、このような問題点をつかむことから始まります。