予備知識 :高校程度の数学知識. たとえば, 松坂(著)数学読本の1巻から5巻程度の知識があれば十分です.
ただし, 第3章§5を読むためには, 群, ベクトル空間などの初歩的知識が必要ですが, 本論から独立した節となっています.
内容到達度 :大学で集合・位相を学ぶのに十分な内容を網羅しています. ただし, 他の数学分野でよく扱われる商位相については記述がありません.
読者対象 :高校数学程度の素養と現代数学に興味をもつ人. 特に数学をある程度体系的に学び, 大学院を目指す人. 集合論は現代数学の基礎をなしており, 他の数学分野の本を読む場合この範囲の知識は必須となります.
特徴 :文章の記述に論理的ギャップが少なく, 数学の内容を論理式ではなく平易な文章で書いている. その反面, 数学的記述に慣れた人にはその記述が冗長, もしくはくどく感じられる. 本の内容と演習問題が教育的に配置されており, 前から順をおって理解し, 解くことができるようにされている. 数学科の学生を対象に書かれた本の中では最も丁寧な部類に属する. 集合を素朴な立場(素朴集合論)で扱っており, この後さらに高度な集合論を学ぼうという人は公理的集合論の本を読むとよい
読了期間 : 個人的な経験からいうと, 全演習問題を解くことを含めて約9ヶ月要しました. 1つの演習問題に対して, 最も時間がかかったものでも3日から4日位.
備考 : この本では, 教育的見地からか, 空写像を扱っていないので, 他の本を参照するときなどは注意が必要である. しかし, 本質的なことには関係しないのでほぼ問題とはならない.
この本を読む際に参考にした本 : 彌永 昌吉 (著), 彌永 健一 (著)「集合・位相」
誤字・脱字など : 309頁の第3章§4問題10の解答において間違いがあります。正しい証明のためには修正、もしくは書き換える必要があります。