研究協力のお願い

「傷ついた癒し手」と修正感情体験に関するインタビュー調査

研究者

中村香理(お茶の水女子大学 基幹研究院)

岩壁茂(立命館大学 総合心理学部)

Hadas Wiseman(ハイファ大学、イスラエル)

Sigal Zilcha-Mano(ハイファ大学、イスラエル)

現在、「傷ついた癒し手」としてのセラピストと、クライエントの修正感情体験に関するインタビュー調査の協力者を募集しております。下記の研究概要をご確認の上、ぜひご検討いただけましたら幸いです。

研究の目的

本研究の目的は、心理臨床家の個人的な傷つき体験と心理療法における修正感情体験の関連を、インタビュー調査によって検討することです。心理臨床家はなんらかの個人的な傷つき体験をもち、それについて苦しみ、そしてそれを修復することを通して心理的援助者の道を選ぶことが多いと言われています。実際に、精神分析の祖の一人であるカール・ユングは、心理の専門家の必須条件として「傷ついた癒し手(wounded healer)」であることを挙げています。

心理療法におけるクライエントの傷つきの修復は、修正感情体験という概念で説明されます。それは、クライエントが過去に受けた心理的傷とかかわる感情を、心理療法においてセラピストとのより好ましい治療関係のなかで体験することによって、過去の傷つきを修復することを指します。修正感情体験は、異なるアプローチの心理療法に共通する治療的メカニズムと考えられています。

心理臨床家は、特定の介入理論に基づいてクライエントとかかわります。しかし一方で、近年の効果研究のメタ分析は、介入アプローチによる効果の差は小さく、むしろセラピストによる差(セラピスト効果)のほうが大きいことを示しています。本研究は、このセラピスト効果の一つは、セラピスト自身が体験した傷つきとその解決にあると想定し、セラピストの個人的な傷つき体験と、そのセラピストが行う心理療法におけるクライエントの修正感情体験の関連を検討します。なお、共同研究者のHadas Wiseman氏とSigal Zilcha-Mano氏は同様の調査をイスラエルで行います。

ご協力をお願いしたい方

下記の条件に該当する方にご協力をお願いしております。心理療法のアプローチは問いません。インタビューにご協力いただいた方には、心ばかりではありますが、1回のインタビューにつき1万円の謝礼をさせていただきます。

臨床心理士または公認心理師の資格を持つ

臨床経験10年以上の経験を有する

本研究に協力することに関心をもち、個人的傷つきや、セラピーにおける体験について話すことに意欲がある

ご協力いただきたいこと

インタビューは、合計2回行います。1回につき120分程度です。1回目のインタビューでは、個人としての傷つき体験についてお伺いいたします。2回目のインタビューでは、協力者の皆様がセラピストとして促進した修正感情体験についてお尋ねいたします。このようにインタビューを2回行うのは、どちらも個人的な内容であり、さまざまな感情を喚起する可能性があり、2回に分けてお伺いするほうがそれぞれのトピックについて十分にお話を伺うことができると考えたためです。

インタビューを担当するのは、研究者あるいはお茶の水女子大学大学院に所属する大学院生です。インタビューは、協力者の皆様のご希望に合わせて、対面またはオンライン(Zoom)で行います。対面の場合、大学の研究室などプライバシーが守られる部屋を準備いたします。インタビューの内容はICレコーダー等で録音させていただきます。

なお、謝礼のお支払いは大学財務課を通して行われるため、マイナンバーカード等のコピーの提出が必要となります。ご了承くださいませ。

倫理的配慮について

本研究の実施に際し、以下のことを適切に履行いたします。

データの取り扱いとプライバシーの保護:インタビューの録音およびその逐語データは、米国HIPPA法に基づいて情報管理の基準を満たしたDropboxにおいて厳重に管理いたします。逐語化の際に、個人を特定しうる情報を全て記号化(仮名やアルファベットなどを挿入)し、協力者のプライバシーを守ります。大学の倫理規定に則り、録音データは研究終了後できるだけ速やかに廃棄し、匿名化した逐語データおよび本承諾書は研究成果の発表時点から10 年間保存後に廃棄いたします。

研究協力の取りやめ:研究協力の取りやめの願い出があったときには、ただちにどのような問題や要因があるのか話し合い、願い出を認めます。研究協力を途中で取りやめたい場合、下記の研究発表前までの間は、そうすることが可能です。それによる不利益を被ることはありません。その際、録音およびその逐語データは完全に消去いたします。

研究内容の発表:研究内容は、学会・学術論文・専門書において発表します。その際には、上記のプライバシーに十分配慮し、個人が特定されることがないようにマスキング(個人が特定されないように体験に直接関わらない情報を加工)いたします。

フォローアップ:協力者が本研究に対する協力からなんらかの心理的悪影響を受けた場合、適切なフォローアップが受けられるように配慮いたします。

※本研究は、お茶の水女子大学人文社会科学研究倫理審査委員会から承認を受けています。

フィードバックについて

協力者の皆様には、逐語データから個人とかかわる情報が削除されているかご確認をお願いいたします。また、データ分析終了後には、理解にずれがないかご確認いただくため、分析結果のご報告も行う予定です

ご協力いただける方へ

ご協力いただける方は、下記の研究者2名の連絡先までご連絡をいただけますと幸いです。また、本研究についてのご質問やご意見などがございましたら、遠慮なくご連絡くださいませ。何卒よろしくお願い申し上げます。

中村香理(お茶の水女子大学 基幹研究院 研究員)nakamura.kaori(アットマーク)ocha.ac.jp

岩壁茂(立命館大学 総合心理学部 教授)siwakabe(アットマーク)fc.ritsumei.ac.jp