コダック データブック

コダック データブック

(長瀬産業株式会社コダック製品事業部出版)

カラー写真の撮影

(スタジオ撮影法の屋内編と太陽光などの解説野外編)

ダークルーム データガイド(英語版と和文解説版)

スタジオライティング(ライティング技法)と眼で見る色と

写真の色(理論)

写真製版の基礎技術(線画と網掛け)と

色彩の基礎知識(色彩理論)

三基準点法による銀マスク法

(色分解の基礎編、透過原稿と反射原稿)

※解説(写真技術編)

アナログ写真時代の基礎技術・応用技術の教科書と言って良い

と思いますが、写真技術界の知の巨人、コダックデータブック

シリーズです。

こちらに紹介したのは、少しだけで我が家にはまだ有りますし、

上記は、撮影技術と製版技術解説シリーズの一部だけです。

他には、フォトフィニッシング(写真修正・現像)・レントゲン

写真技術・工業製図、図面複製・工業科学写真・モーション

ピクチャー・オーディオビジュアルなどの各種データブックが

あります。写真を使った仕事をする上で、誰もが必ず必要と

する技術書シリーズでした。

アナログ撮影時代には、失敗しない事が最優先事項であり、

時に全滅して成果0%という結果が現像後などに有り、仕事と

して写真に取り組むにはそれなりの基礎力が必要で、確実に

失敗しない保証と70%以上の質の完成度がなければなりません

でした。その対価としてのプロとしての報酬が頂けた事と、

その社会的評価と存在価値が有ったわけです。

所謂プロとは、職人・芸術家とは違い採算性が大前提の人の

意味で、100%や120%のみを目指す技術人・研究家ではあり

ませんが、デジタル時代に入り取り敢えず滅多に0%という

大失敗が殆ど無いので、(バックアップをとってない、

メディアデータを消去・破損しない限り。)

基礎力が無くても撮影現場での失敗の有無とクオリティー

確認を直ぐして納品できれば、自称プロカメラマンになれたり

します。ですのでデザイナーなどの人が撮影しても間に合ったり

しますので、結果的に報酬相場が下がり、社会的評価も低くなり

始たのです。だからこそ今このような基礎技術を改めて身に

つけなければならないと思います。

今回この記事を書くにあたりネット上で確認して驚いたのは、

日本語の検索結果が出て来ないことです。英語圏で、Kodak Data

 Book を検索すると出て来ますが、日本では既に忘れられた存在

なのかも知れません。しかし解説されているその技術は、今でも

基本的に変わらない内容ですし、今のカメラまかせの撮影技術

とは違う、難しさや楽しさを教えてくれます。家の奥にしまった

ままの方も、アナログ写真時代をご存知無い方も、その基礎技術

・応用技術の深さを再確認して下さい。

分野別コダックデータブック解説一覧リストと注文方法編

(各年度版)

※解説(製版色分解編)

写真撮影に限らず、あらゆる製作・創作・制作にも言えますが、

作業工程全体を見て最終工程方向から逆算し、最初の作業方法を

決めないと何も上手く行きません。それはもちろん撮影技術も

同じで、最終表現方法がプリントなのか印刷物なのか、また違う

種類の媒体なのかによって写真の撮影時の露出や機材選択が

変わるべきなのです。ところが職業的に写真撮影や編集企画に

携わる全ての人達が、この原則をあまり考慮に入れないで取り

敢えず無難な選択をして仕事をしています。印刷・刷版・製版・

画像処理・現像所・カメラ製作改造・広告写真撮影と、全行程を

余さず経験した私が思うには、アナログ時代の工程作業は、殆ど

製版屋さんにそのシワ寄せが来ていました。

印刷が表現可能なトーン領域の狭さを知らないカメラマン、見た

目と良さと製版作業に最良なトーンとの違いを知らない編集者や

デザイナーさん達、スピード重視で乾燥ムラやゴミの多い現像を

する現像所、結果責任を全て後ろに送り、製版・校正刷、刷版

工程で何とかさせている時代でした。

そしてデジタル時代になり、製版作業自体がカメラマンの自己流

なRAW現像に始まり、デザイナーの大胆?なカット・貼付け

指示をへて、トータルスキャナオペレーター(昔はレイアウト

スキャナと呼んでいましたが)の3段階工程に分割され、更に

最良の結果を出せる作業から遠くなりました。

(一応、アドビRGB・TIFF・8ビット、そしてCMYBkへなどの

ワークフローの原則は有りますが、形骸化しています。)

そんな今、この製版カメラ作業・マスクワーク三色分解の技術書を

読んでいると、デジタル時代でも基礎は何も変わっていないことを

思い知らされる内容です。特に印刷物を最終媒体にして仕事をして

いるカメラマン諸氏に読んで頂きたいシリーズですし、入手困難な

場合は、印刷入門書を購入して勉強して貰いたいです。

(印刷結果見本は、モニターでは分からないので、印刷出版書物を

直接見て比べて下さい。)作業がどんどん分業化され全行程を

見る機会も無く、最終形すら渡されず見ないこともある現代では

ありますが、より良い撮影をするために一度後ろから全行程に

おける自身の作業上の役割とレベルを見直して見る機会も必要

だと思います。

(コダック データブック・長瀬産業株式会社コダック製品事業部出版)

Kodak Data Book Series