麩は室町時代(1393~1573年)初期に中国に修行に行っていた僧侶が持ち帰り日本に伝来。肉食を断つ僧侶たちは、肉に代わるタンパク源を大豆やや小麦としていたが、小麦の作付は少ないため高価なものであったため麩は特別なときのみに食されていた。
桃山時代に入ると、‶ふのやき”と呼ばれるものが登場する。これは室町時代の麩を焼いたもので、食品ではなくお菓子として食された。千利休が茶会で‶ふのやき”を多く供していたことも、当時の「茶会記」に記されている。
江戸時代に入り、徳川幕府が西洋から小麦を輸入するようになり、それ以前の黒くきめの粗い粒子の小麦粉とは別の白くキメの細かい小麦粉が入ってき、それが麩の原料として使われるようになった。白くきめの細かい小麦粉で作る生地は滑らかで、鉄板の上で焼かれるようになる。これが焼き麩の始まり。
明治に入ると一般市民の食生活にも受け入れられ、この時代に焼き麩が麩の主流となった。
麩は、現在でも精進料理に用いられたり、茶席で麩菓子が供されるのもこのような歴史があるからであり、麩は単なる食材ではなく、長い伝統のある日本の食文化を語る上では欠かせない重要な歴史ある食べ物の一つなのです。
麩は、グルテンという小麦から抽出したタンパク質と小麦粉、水から作られます。グルテンは小麦に含まれるアミノ酸から出来ているタンパク質で、アミノ酸は私たちの体に必須の栄養素で、またグルテンに含まれるグルタミン酸は知能を高めてくれるとも言われています。その他、ミネラルも豊富で、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛が含まれています。このように、麩は豊富な栄養素を含み高タンパクで低カロリーな栄養価の高い食品で、消化も良いため、離乳食や介護食にもお使いいただけます。また、満腹感をえられますので、ダイエット中の方には強い味方の食材です。
麩の長期保存が可能です。もともと、車麩は寺院の僧侶の精進料理として使われていました。高タンパクであるということもその理由の一つですが、車麩が盛んに作られている新潟は冬場雪が多いことから、保存のきく車麩は冬場のタンパク源とされていました。
車麩は保存状態がよければ2年持ちます。また、調理しなくてもそのまま食べることができます。したがって、昨今地震などの天災が各地で頻発していますが、非常袋の中に車麩を常備していれば、いざという時の食糧にもなります。麩は高たんぱくですので、食糧が手に入りにくくなる非常時でも高い栄養価を得られる優れた食品です。
麩にはプロリンという成分が含まれています。このプロリンという成分は体内に吸収されたタンパク質アミノ酸からコラーゲンを合成を促進する機能を持ちます。プロリンが肌周辺にあればあるほど弾力のあるつやある肌になるそうです。美肌はコラーゲンだけでつくられるのではなく、プロリンがコラーゲンの合成を促進することで作られます。したがって、これらを同時に摂ることが美肌作りには重要ということですね。
プロリンとコラーゲンを同時に摂れる鍋料理‶モチモチ車麩でもっちり美肌鍋”是非お試しください!
車麩というと通常は赤焼麩のことです。赤焼麩は強力粉系の小麦粉を使って作られています。これに対し白焼麩は薄力粉系の粉を使って作られます。車麩の表面の焼き色が多少赤焼麩より白焼麩の方が白いのが外見上の特徴で、食感は赤焼麩より白焼麩の方が滑らかです。車麩は新潟県内のあちこちで生産されている特産品ですが、特に三条は車麩の生産がさかんで、四回巻が三条名物です。その中でも更に特産なのが白焼車麩という訳です。白焼麩は特に珍しい車麩ですので、新潟土産などに車麩を選ぶ場合は中越地方とりわけ三条で生産される四回巻白焼車麩を選ばれることをお進めします。
フライをしようと思ったら”あっパン粉がない!”なんてことありますよね。パンを小さくちぎってパン粉にする手もありますが、車麩を砕けばパン粉代わりにもなります。しかも、少し大き目の車麩の破片をつけると、揚がった時にその部分がカリカリでクリスピーな揚げ物になります。車麩でカリカリの食感と栄養価をプラスした美味しいフライが楽しめます。
また、パン粉に比べ油の吸い込みが少ないですので、パン粉で上げるより少しカロリーが控えられるという効果もあります。
車麩をサラダ油でただ揚げて、塩やはちみつをふれば、簡単にスナックに。砕いて、バターで炒めて、溶かしたチョコレートと混ぜて固めれば、簡単にサックサクのクリスピーチョコに。
車麩で美味しくてミネラルたっぷりのヘルシースナックやスウィーツが簡単にできるのです!
それぞれのレシピは、かんたん!煮て!焼いて!車麩レシピでご案内しています。