SAM前世療法の実際は、なによりクライアントの体験談が説得力を持つと思います。
SAMが机上の空論ではなく、臨床的事実である証拠の典型としてクライアントの体験記を紹介します。
一人は名古屋市在住の一流企業男性商社マンのものです。知性的、論理的な性格で、広汎な分野の情報量には驚嘆します。企業社会の最先端を行く、旺盛な現実志向の持ち主のセッション記録として選んでみました。
もう一人は神戸市在住の30代女性のものです。彼女はオーラソーマのサロンを経営する、その意味では霊的志向のある人物ですが、霊能者ではありません。彼女を選んだ理由はリピーターであり、一回目と二回目の過去世の内容の落差に注目するからです。また、催眠は学習であり、1回目より2回目のほうがよりスムーズに魂遡行状態が展開することを示す事例としても選んでみました。
3人目は霊的感受性のある主婦のものです。チャネリングを受けたことがあるということで、霊的関心が高いと思われる女性です。語った過去世を自己検証した事例です。4人目は、現役のヒプノセラピストでワイス式とSAMとの意識状態を比較してある体験記です。最後は、アンビリで紹介された真性異言「ラタラジューの事例」を語った里沙さんのものです。
事例1 ゆたさんと名乗る40代男性商社マンの体験記
6月の勉強会以来の再会となったinaさんは、相変わらずどっしりとした安心感と、話好きの人懐っこさが魅力的な、wizli名古屋の God Fatherという感じ。僕の緊張をほぐす意味もあったのでしょう。ご自身の催眠や前世に対する考え方、スタンスを丁寧に話をしていただきました。
少し、休憩をはさんで、さあ、いよいよ催眠初体験です。
術前に、inaさんが簡単なテストをしてくれます。
これは、僕が催眠にかかりやすい方なのかどうか、を判断するために実施するものだそうで。結果は「良好」。かなり素直な性格(←ここ重要!)の方だから、すっと催眠に入れると思う、とのコメントでした。そうです、まさに実際にその通りの結果となりました。 まず、呼吸と術者の言葉による暗示により体の力が抜けて行きます。その後、知覚催眠という、体の感覚が離れていく状態(たとえば、手を抓られても痛みを感じない状態。)へと徐々に導かれます。そして、自分の潜在意識に表に出てきてもらうよう誘導されます。 実際には、本当に不思議なんですが、頭ははっきりしています。顕在意識は健在なんですね。(寒いダジャレです。すみません。) 負けず嫌いの僕ですから、何とかして顕在意識は手足を動かしてやろう、と企んでいます。 でも、潜在意識が表に出ている催眠状態では、自分の手足が動かないんです。ただ、まったく怖くはありません。
さて、潜在意識が表に出ている状態ですが、術者とのコンタクトは指の動きで行います。術者の質問には、顕在意識とは全く無関係に、指が反応するんです。ここまで来ると、戸惑っていた顕在意識の僕も、流れに身を任せてみる気になりました。
ina:「いま、あなたの潜在意識は現世のものですか?」
指:無反応
ina:「では、過去世のものですか?」
指:ピクンと反応
ina:「あなたは、どちらに生きておられたのですか? アジア?アメリカ?ヨーロッパ?」
指:ヨーロッパに反応
ina:「いまから、ヨーロッパの国名を私が言います。あなたの国のとき、指で教えてくだ さい」
指:ギリシャで反応
という感じで、セッションが進められます。
術前のインタビューで、僕はinaさんに 「今の自分に一番影響を与えている過去世を知りたい。」と希望を出していました。
たぶん、そのことがすでに暗示になっていて、すっと過去世が出てきたんだろう、と思われます。結果、僕の前世はエナンという名の、ギリシャ・アテネに住んでいた哲学者だそうです。
彼は、戦争に自分の意に反して参加させられ、人を殺してしまった、という心の傷を持っているらしく、それが癒されないため苦しみ、それが現世にまで影響を及ぼしているらしいのです。
主に指を介したやり取りですが、コミュニケーションが進むにつれて、指の動きが激しくなっていたそうです。(そばで見ていたさる爺さん談)
「これから、心を介してあなたの傷を癒します」
術者のそんな声が聞こえたかと思うと、胸の前に何やら温かいものが・・。
後でさる爺さんに聞いたのですが、その時inaさんは、僕の体には一切触れておらず、ただ、両手を胸の前にかざしてくれていただけだそうです。
その温かさを感じながら、僕は泣いていました。 ポロポロ涙を流しながら。
しばらく経つと、あれだけ温かかったものが、すうっと消えていきました。
「癒しが終わりました。さぁ、これから現世のあなたと交代してください」
相変わらず、頭ははっきりしていますが、いつ自分が過去世から現世に変わったのか?は知覚できません。
でも「いま現世のあなたですか?」と問われたら指が反応します。
そして、5つ数えたら催眠から覚めます、と言われその通りに。
体は思い通りに動きます。まず涙をぬぐう。
今回は催眠自体が初の体験でしたから、多少の緊張があり、自分の体の重さを感じなくなるところまで顕在意識と体の切り離しは進みませんでした。
でも、少なくとも手足を動かすハンドルを持つ顕在意識の「手」はやさしく外され、そのハンドルを慣れない「潜在意識」が持った、そんな感覚がありました。
僕の前世が哲学者だった。違和感はあまりありません。
今回は、何らかの問題を抱えて催眠療法を受けたわけではありません。
ですから、悪かった症状が良化した、なんていう、「目に見える変化」が起こるわけではないと思います。
でも、術中に感じたやさしい温かさと、流した涙の意味は、これから徐々に自分に良い影響を与えてくれる んじゃないかな。そう思います。
事例2 MIWAさんと名乗る30代女性の体験記その1
丁寧な誘導で思いがけず自分の思考?体が素直な事に、 少しばかり戸惑いながら、割とあっさり目に 催眠状態に入ってしまいました。
先生への合図は指先なのですが、動かすのにいつも使う筋肉以外に何か必死に指を動かす状態でした。これには、もしかしたらコツをつかむ必要があるかもしれません。
魂レベルに到達するまで、しがみつくような 私の意識があり、行ったと思えばまた戻りを 2~3回繰り返したように思います。
まず先生の誘導で現れたのは、自称放浪者?何やら旅するもの? で、どうもイメージ的には浮浪者に近い感じでした。
(王子やお姫様や、過去の有名人が出てくるかもという 浅はかな期待をあっさり裏切られた瞬間でした。)
「歩いた・・・たくさん歩いた・・・」
「違う目の色の人間がいるはずだ」
「錬金術師に会いたいんだ」的なことをグダグダと繰り返し、何やら、ほぼ受け売りのふがいない自分と、性別も男だったかなぁ?くらい、きっと恋愛もした事がないのと、3歳の頃両親に捨てられ、自分の名前すらよく判らない
人には馬鹿にされ、理解者さえも見つけられずに歩きつかれてのたれ死んだみたいでした。
前世はざくっとこんな感じでしたが、 途中、過呼吸?のような状態になり、見る見るうちに全身に痺れが来て 血の気が引いていき、(マジでやばいかも~)とぼんやり思っていたところで、急遽、先生による浄霊が始まりました。
歯を食いしばってなぜか私から離れようとしない感じでちょっと自分でも驚きましたが、何とか出て行ってくれたようでさっきまでの痺れは何???といった感じ。
思いがけないゲストに、うわさには聞いていた先生の凄さを確認。
その後、守護霊対話に挑みましたが、私の場合は下から湧き出てくるような黄色と白っぽい光が出ては消え・・・を無数の線で繰り返し、糸菊のようなものを描いていました。
受け取ったメッセージ的なものは、心を静めればすべてが判る、的な?せっかちであわてんぼうで、短気な私をやんわり、諌める様なお言葉でした。
以上、省略していますが大まかな私のセッションの流れです。
それにしても、自身の体験や、貴重なお話を 惜しげなくお話してくださる先生には本当に 尊敬してしまいました。
また、そんな事を当たり前だと思ってらっしゃるお人柄にも惹かれるものがありました。
事例3 MIWAさんと名乗る30代女性の体験記その2
8月9日、ina先生の前世療法を受けました。今回が2回目です。
前回、浮浪者のような者(自称、放浪者・・・ほぼただの浮浪者)、そんなのが出てきたMIWAです。
今回は全然違うのが出てきました。
私はスペインからフランスへ渡った修道女だった様子です。 1893年に他界しています。
その後、5つのレベルを経て、今世の様です。
第3のレベルで私は神のような存在に魂を逆さに持たれてしまっていました。
それが何故なのか、間違ったのか、意図なのか、未だにわかりません・・・。
話は戻ります・・・ 今回は、先生が今の仕事に何か関連するような前世の者を呼び出しました。
彼女(前世の私を区別するためこう表します。)は、今の私のライフスタイルが面白いらしいです。
今の私に何かメッセージがあるか先生に尋ねられると、クスクスと・・・上品に笑っていました。
彼女は寺院に来る人の話を聞いて、お祈りをします。
「痛みが癒えますように」「苦しみから解放されますように」と。
その願いは聞き入れられるらしく、毎日数人の方が相談に来ていました。
そして、寺院の掃除や食事の世話などをして下さり、私は生かされていたようでした。
彼女は子供のころに逆光の中の存在に導かれてその世界に入ったようでした。
両親も、彼女がおかしなことを言うので進んでそれを認めたようでした。
彼女の中には、嫌な感情が皆無の様で、本当にこんなことってあるの? と、私は不思議なほどでした。嫌いとか、いやといった、否定的な感情が皆無なんです・・・。
MIWAの中にもこんな素敵な魂があるんだよ、そう思えただけで、便秘が解消されたようなすっきり感でした。(せっかくの前世の感想と表現がこんな一文でごめりんちょん)
その後、今の相方さんとの前世の関わりのワンシーンを2つ見て満足なセッションでした。
ちなみにそれは、モンゴルの幼い兄弟でした。
兄(相方)が見えなくなると、「ヤ~~~~ン!!!」
と呼んでいました。兄の名前は多分「ヤン」です。
私は女の子だったと思います。
もう一個はイタリアの大衆酒場らしきところで男同士で飲んでいました。
今と比べ物にならないくらいイケメンだったと思います。
なぜか、このシーンビジュアライズしましたから。
仲良しなのか、時代なのか、同じような格好をしていました。
とにかく、かなりの情報量だったので、輪郭だけでこんな感じです。
ゆっくり咀嚼しようと思いましたが、ピュア過ぎるハートは本当にセラピスベイの様だったのであまり考えずに受け止めたいとも思っています。
事例4 RINさんと名乗る40代女性の体験記
今までヒーリングセッション中とかに過去生らしき?は何度か見ましたが、前世退行催眠を受けるのは初めてでしたが…身体はすぐ催眠にかかりました。深い催眠状態に入る時には頭の上に光の玉が見え、身体が玉の方に波のように近づき…遠ざかりと繰り返し、玉とぶつかった!と同時に先生が『指が止まりました』と…このタイミングの一致にびっくり致しました。
『現世の私に一番影響を与えてる過去生』を呼び出すと、力無い目で遠くを見つめているインディアンの女性が見えましたが、疑ぐり深い自分は「私がインディアン好きだからじゃないの~?」と思ったと同時に勝手に涙が溢れ出て、声をあげて泣きたいが我慢しなければという感情に。
涙が出てる自分にびっくり。
住んでいた場所の質問にアメリカと答え、頭の中でアメリカの地図が出てきて南に印が付いている。ちょうど真下の真ん中。平原部族と頭を過ぎる。
『部族の名前を言えますか?』の問いに『アパ…』とまで答えられ、『アパッチ族ですか?』で頷く。また私が「アパッチは有名じゃん…確かアパッチの住んでるとこは北の方で平原部族じゃなかった気がするし…」と疑いつつ、違う思考がアパッチ族でも小数の部族、好戦的ではない部族だ…とか考えだし、アパッチ族と言ってるのに何故また細かく分かれると思うのか?と訳が分からなくなる。
今の自分の感情と、過去生の感情、二つの感情が入り乱れて少々パニック状態でもありました。
言葉が上手く出せない状況に、インディアンの感情が少々イライラしていた「何故まだこのレベル? もっと学んでればスラスラ喋れるのに…」と。
『助けられなかった、自分のせいで…』と泣く。
インディアンの自分は神官的な事をしていて、白人となんらかの交渉を進めていたのが、白人を信用しすぎて裏切られ、部族の人間・自分の子供達(養子?を含む)を殺されたらしい。
先生の最初の質問の時に『他の部族に襲われたのですか?』で首を振った「我々の戦いにはルールがある、こんなルールを無視したやり方はしない!」と頭を過ぎる。
『白人が憎いですか?』「白人に対して憎しみはない、物に執着してしまう人間は何が大切なのか分からない未熟な人間、彼らもかわいそうな人間だから…ただ子供達をこれから抱きしめる事が出来ない、帰ってきて駆け寄る子供達を見る事が出来ない、何もしてやれない…」それが悲しくて悲しくてしかたがない。
神官=シャーマン(メディスンウーマン)であるから、魂が何処から来て何処に還るか分かっているが…頭と心がついていかない、大声で泣き叫びたいが立場的に取り乱す事が出来ない。
ずっと子供達が笑顔で走り寄ってくるビジョンしか見えず、涙が溢れ口がへの字になり、かなり大泣きするのを我慢してる感覚でした。
『酋長の名を言えますか?』の問いに『ホワイト…』まで答えるがそれ以降は答えない。『何故教えられないのですか?』『彼の名誉に関わるから…』とだけ声に出して言えた。 この日録音機材を持ち込んでセッションを受けていた「録音されているから答えられない、これが万が一世に出てしまった時、酋長の名前を言ってると彼の名前が一人歩きをしだし勝手な伝説やらが出来かねない…だが、後で話そうが書こうがしてもそれは私の妄想・空想・世迷い言で終わるから構わない事…」と。
これも先生に言葉で伝えたいが声にでず、またイライラ。
ずっと誰かに話しを聞いてもらいたかった、先生が話しを聞いてくれる人だとシミジミ感じている。
傷を癒してもらうヒーリングを受けるのを承諾する。
ヒーリング中、私の意識は先生のかざした手の間に居た。
先生の手の間に黄色く光る玉、周りをエメラルドグリーンと白い光が舞い、過去生の自分達が手を繋ぎ玉を取り囲む…インディアン女性の能面のような表情が笑顔になって、手を繋いでいる過去生達の輪に混ざり光を放ち…また同じタイミングでヒーリングが終了する。
もうこれは素直に受け入れるしかないな…と思いました。
家に帰ってからアパッチの事を調べました。
自分で思いこんでいた、アパッチは北の方に住んでいて平原部族ではない…が間違えていました。
居住区は南、アリゾナ周辺で平原部族、アパッチ族は何個かの部族が集まり『アパッチ族』と言われる事…。
自分が見たビジョン、感じた事が一致しているのを身をもって知ってしまったので、信じるしかないです。
そして、セッション終了後に自分でも気付いていなかった部分がスッキリしているのが分かりました…ここに何かを抱えこんでいたんだな…ってのがハッキリと…。
本当に貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。
事例5 I子さんというワイス式とSAMを両方体験したヒプノセラピストの体験記
I子さんと名乗る女性の体験記です。彼女はワイス式前世療法を学んでおいでなり、SAM前世療法との相違を鮮やかに体験した貴重な体験記と言えます。
こんばんは。9月末の横浜セッションのときにSAM前世療法を受けさせていただきましたI子です。その節は、大変お世話になりました。ありがとうございまし
た。
今まで、ワイス式の前世療法を学んできた私としましては、催眠誘導のアプローチの違いに多少の戸惑いはありましたが、もともと被暗示性の高い私はスムーズにSAM前世療法の誘導に導かれていくことができました。
先生に、魂の側面である過去世のものを呼び出され、どこの国の人ですか?」と問われ、私の中に「イ」という国のイメージが浮かび、先生から「インド?・・イギリス?・・・・「インカ?」とさらに尋ねられ、まさに「インカ」といわれた瞬間に、私自身が、手で顔を覆い、泣き呻き始めたことに驚きました。そして、左胸を掻き毟るような動作をして「苦しい・・・」と。
そう彼女は、インカの時代に心臓をえぐられて、生贄になって死んだイルという名の20歳の女性だったのです。10歳の頃に、太陽の力を受けてそれを人々に伝えるような能力を持ち、生贄になったことも「人々のために自分が死ななくてはならない」と受け止めていたイル。でも、その死は、やはり辛く、悲しい出来事だったに違いありません。そんなイルの気持ちが、私の中に次から次へと込み上げてきました。
先生に癒していただき、気持ちが次第に落ち着いていくことも感じることができました。
なぜか、ワイス式の前世療法と異なり、視覚的なイメージが浮かばないのに、感覚で全てがわかるのでした。
そして、イルの過去世の後、先生に現世へ誘導されたにもかかわらず、また違う過去世へといってしまいました。それが、イルとは違い笑えました。
まず、男のような声で唸る自分に驚き、続いて鼻を鳴らしたり、また唸ったり、発する声が完全に男になっていたことに本当に驚きました。彼は、ドイツの木こりでした。結局のところ彼はどうしてこの場に出てきたのかわからず、「なんでかな~」と唸りながら、首を傾げていました。そして、先生から「また今後ゆっくりお話を聞きましょう」といわれその後、私は現世に戻って来ました。
今回の先生とのセッションは、私にとってとても印象深く、ちょっとした衝撃でした。今までワイス式では、どちらかと言うと「自分で作ってしまっているのではないか」という観がありました。しかし、SAMでは、誘導から一っ飛びに、その人物になってしまったり、明らかに男の声、しゃべり方になっていることを実感できたからです。
となると、魂の側面のものたちが存在すると私は確信せざるをえません。
また、セッションの機会がありましたら、是非ほかの側面のものたちとの出会いもしてみたいと思いました。
メールで先生が尋ねられておりました「前世想起中の意識状態」ですが、過去世にありながら、過去世を語っている自分をしっかりモニターしている現世の自分がありました。そして、周りの物音や、話声もはっきり聞こえました。
それにもかかわらず、過去世のその人物はその人物自身を語っていました。
前のメールで、私は、ワイス式では、視覚での映像を見ることができ、SAMでは全く視覚的なイメージがないのに感覚でわかったといっておりましたが、ワイス式でも、視覚的なイメージではなく感覚的なイメージが出るタイプの方もおりました。
私たちが習ったところの先生によりますと、10人の被験者がいて、まず3人が視覚的な人で催眠に一番入りやすい、続いての3人が感覚的な人で次に催眠に入りやすい、そして次の3人が聴覚的な人で催眠に入り、最後の一人は、全く入れないということでした。
私は、今回の経験から、ワイス式のように物語風に催眠へ誘導していく上では、視覚や感覚的なイメージの出方が問題になるかもしれないと思いますが、
SAMのように、「ふっ!」と過去世へ入ってしまうと即、その人物になりきっている。見えようが、見えまいが、その人自身であることに、イメージの描きようがない感じを受けました。
そのあたりが、大きな違いのように思えます。
事例 6 アンビリ紹介「ラタラジューの事例」を語った里沙さんの体験記
セッション中とその後の私の心情を述べたいと思います。こうした事例は誰にでも出現することではなく、非常に珍しいことだということでしたので、実体験した私が、現世と前世の意識の複雑な情報交換の様子を細かく書き残すのが、被験者としての義務だと考えるからです。
思い出すのも辛い前世のラタラジューの行為などがあり、そのフラッシュバックにも悩まされましたが、こうしたことが生まれ変わりを実証でき、少しでも人のお役に立てるなら、すべて隠すことなく、書くべきだとも考えています。
ラタラジューの前に、守護霊と稲垣先生との会話があったようですが、そのことは記憶にありません。ラタラジューが出現するときは、いきなり気がついたらラタラジューになっていた感じで、現世の私の体をラタラジューに貸している感覚でした。タエのときと同じように、瞬時にラタラジューの七八年間の生涯を現世の私が知り、ネパール人ラタラジューの言葉を理解しました。
はじめに稲垣先生とラタラジューが日本語で会話しました。なぜネパール人が日本語で話が出来たかというと、現世の私の意識が通訳の役をしていたからではないかと思います。でも、全く私の意志や気持ちは出て来ず、現世の私は通訳の機器のような存在でした。悲しいことに、ラタラジューの人殺しに対しても、反論することもできず、考え方の違和感と憤りを現世の私が抱えたまま、ラタダジューの言葉を伝えていました。
カルパナさんがネパール語で話していることは、現世の私も理解していましたが、どんな内容の話か詳しくは分かりませんでした。ただ、ラタラジューの心は伝わって来ました。ネパール人と話ができてうれしいという感情や、おそらく質問内容の場面だと思える景色が浮かんできました。現世の私の意識は、ラタラジューに対して私の体を使ってあなたの言いたいことを何でも伝えなさいと呼びかけていました。
そして、ネパール語でラタラジューが答えている感覚はありましたが、何を答えていたかははっきり覚えていません。ただこのときも、答えの場面、たとえば、ラタラジューの戦争で人を殺している感覚や痛みを感じていました。
セッション中、ラタラジューの五感を通して周りの景色を見、におい、痛さを感じました。セッション中の前世の意識や経験が、あたかも現世の私が実体験しているかのように思わせるということを理解しておりますので、ラタラジューの五感を通してというのは私の誤解であることも分かっていますが、それほどまでにラタラジューと一体化、同一性のある感じがありました。ただし、過去世と現世の私は、ものの考え方、生き方が全く別の時代、人生を歩んでいますので、人格が違っていることも自覚していました。 ラタラジューが呼び出されたことにより、前世のラタラジューがネパール語を話し、その時代に生きたラタラジュー自身の体験を、体を貸している私が代理で伝えたというだけで、現世の私の感情は、はさむ余地もありませんでした。こういう現世の私の意識がはっきりあり、片方でラタラジューの意識もはっきり分かるという二重の意識感覚は、タエのときにはあまりはっきりとは感じなかったものでした。
セッション後、覚醒した途端に、セッション中のことをどんどん忘れていき、家に帰るまで思い出すことはありませんでした。家に帰っての夜、ひどい頭痛がして、頭の中でパシッ、パシッとフラッシュがたかれたかのように、ラタラジューの記憶が、再び私の中によみがえってきました。セッション中に感じた、私がラタラジューと一体となって、一瞬にして彼の意識や経験を体感したという感覚です。ただ全部というのではなく、部分部分に切り取られた記憶のようでした。カルパナさんの質問を理解し、答えた部分の意識と経験だと思います。
一つは、優しく美しい母に甘えている感覚、そのときにネパール語で「アマ」「ラムロ」の言葉を理解しました。母という意味と、ラタラジューの母の名でした。
二つ目は、戦いで人を殺している感覚です。ラタラジューは殺されるというすさまじい恐怖と、生き延びたいと願う気持ちで敵に斬りつけ殺しています。肉を斬る感覚、血のにおいがするような感覚、そして目の前の敵が死ぬと、殺されることから解放された安堵で何とも言えない喜びを感じます。何人とまでは分かりませんが、敵を殺すたびに恐怖と喜びが繰り返されたように感じました。
現世の私は、それを受け入れることができず、しばらくの間は包丁を持てず、肉料理をすることが出来ないほどの衝撃を受けました。前世と現世は別のことと、セッション中にも充分過ぎるほどに分かっていても、切り離すのに辛く苦しい思いをしました。
三つ目は、ネパール語が、ある程度わかったような感覚です。時間が経つにつれて(正確には夜、しっかり思い出してから三日間ほどですが)忘れていってしまうので、覚えているうちにネパール語を書き留めてみました。アマ・ラムロもそうですが、他にコド・ラナー・ダルマ・タパイン・ネパリ・シャハ・ナル・ガウン・カトマンズ・ブジナ・メロ・ナムなどです。
四つ目は、カルパナさんにもう一度会いたいという気持ちが強く残り、一つ目のことと合わせてみると、カルパナさんの声はラタラジューの母親の声と似ていたのか、またはセッション中に額の汗をぬぐってくれた感覚が母親と重なったのか(現世の私の額をカルパナさんが触ったのに、ラタラジューが直接反応したのか、現世の私がラタラジューに伝えたのか分かりませんが、一体化とはこのことでしょうか?)母を慕う気持ちが、カルパナさんに会いたいという感情になって残ったのだろうと思います。
セッション一週間後に、カルパナさんに来てもらい、ネパール語が覚醒状態で理解できるかどうか実験してみましたが、もう全然覚えてはいませんでした。また、カルパナさんに再会できたことで、それ以後会いたいという気持ちは落ち着きました。
以上が今回のセッションの感想です。このことから、私が言えることは、生まれる前から前世のことは知っていたこと、それを何かのきっかけで(私の場合は前世療法で)思い出したこと、生まれ変わりは確かにあること、前世にとらわれることなく現世を生きなければならないこと、です。
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これ以外の100事例におよぶ体験報告は、mixi「前世療法の探究」のトピック「体験報告」をお読みください。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2399316&id=24937201&comment_count=111