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学生の皆さんへ 

2016年の秋にスタートした研究室。まだまだ未熟な研究室ではありますが、一歩ずつ前に進んでいます。ここでは、このできたばっかりの研究室に関心をもってくれている学生の皆さんに、どのような研究生活を送ってほしいか、ということを思いつくままに書いてみました。 

私が研究室の学生に対して重要視していることは3つあります。

一つ目は、研究の面白さ、楽しさを味わって欲しいということです。ウェブ検索サイトのGoogleの提供する学術誌検索サービスの一つに「Google Scholar」というものがあります。このトップページには、「巨人の肩の上に立つ(Standing on the shoulders of giants)」と掲載されています。これは、フランスの学者ベルナールの言葉とされるもので、現代の学問は多くの過去の研究の上に成り立つという意味です。研究というのは、今まで分からなかった新しいことを創造し発見することです。研究は勉強ではありません。既にわかっていることに対して知識を積み上げるだけでは研究にはなりません。もちろん知識は重要ですし、そのために勉強は必要です。知識は多いほど良いですし、そこから新しいアイデアが生まれます。しかし、それだけでは研究になりません。自ら新しいものを創作すること、あるいは見出すこと、これが研究です。どんな小さなことでも良いです。ふと、沸いた疑問でもいいです。それを解決し、自分が初めての発見者になること、その歓びを学生の皆さんに味わってもらいたいと思います。それを一度味わうと病みつきになります。私自身も、それが中毒になって、もう研究から離れられません。

二つ目は、継続した努力を大切にしてほしいということです。著書「はじめの一歩」の中で、鴨川会長は「努力した者が全て報われるとは限らん。しかし、成功した者は皆すべて努力しておる!」と言って鷹村を鼓舞しています。研究も、なかなか結果が出ずにイライラしてしまうことがあります。自分の中でうまく整理できず、時間だけがただ経過していることも多いです。しかし、その壁を乗り越えるためには、勉強し考え続けるという、継続した努力をするほかに道はありません。正しい場所で正しい方向で十分な量なされた努力は決して裏切りません。壁を乗り越えたときの高みから見る景色は格別です。その乗り越えたときの景色を、一緒に味わえれたらと思います。

三つ目は、論理的な物事の考え方、緻密な解析能力を身に付けて欲しいということです。現代の科学は、精密なデータおよび分析に基づいた「正確さ」が問われます。そして、誰でも再現可能であることが重要です。もちろん勢いで「えいやっ!」とやってしまうことも時には大事で、直感を得ることも大事です。妄想に任したお話も、時には面白いです。勢いや直感、そして妄想は原動力となり、まずこれらがなければ科学は前に進まないでしょう。しかし、これらはあくまで最初の第一歩であって、自然科学の真実を分かるためには、これだけでは十分ではありません。疑問を持ち、そこから仮説を調査や実験で検証し、そのプロセスを不断に繰り返すことによって、より精密で定量性のあるそして再現性のある結論を導き出すことができます。そのために、論理的な思考法と緻密な解析能力は必要不可欠です。学生の皆さんには、このことをじっくりと学んでいただきたいと思います。

発見することの歓びを少しでも味わってもらえたら、また継続した努力および論理的な思考と緻密な解析の重要性を学んでもらえたら、それは皆さんの財産となり、どんな世界に行っても必ず役に立つと、私は信じています。研究を通して、自分自身と向き合い、成長に繋げていっていただけたらと強く願っています。私自身、全力で皆さんをサポートします。

私の研究室では、現在、根っこや土の物質の動きを通して森林生態系のしくみの解明に関する研究に取り組んでいます。土壌を支える根。養分水分を吸収する根。土壌生物の環境を整える根。根の役割は多岐にわたっていますが、自然生態系での測定は驚くほど少なく、やればやるほどたくさんの発見があります。自らの創意工夫が、新しい真実を導きます。幸い、麦わら海賊団にも負けない、たのしい仲間があつまってきてくれました。なので、世界一の根っこ研究室を目指します。意欲のある方は、是非、研究室の扉をたたいてください。楽しい研究をしましょう!


牧田研では研究室についての質問、研究室の見学等いつでも歓迎しています。研究室に興味のある方は下記連絡先までご連絡ください。信州大学内に限らず、他大学の学生も歓迎です。

〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1

信州大学理学部理学科物質循環学コース

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牧田 直樹