講義の目標・概要
この講義では,日本の政府間財政および地方財政制度の解説するとともに,それらに関わる問題を経済学的に考えるための理論的枠組みを学習します.
講義の前提
講義における理論面での解説は,駒場でのミクロ経済学やそれにかかる簡単な最適化問題を理解していることを前提とします.
授業の方法
パワーポイント資料に沿って解説を行います.パワーポイント同資料については,極力,講義当日の朝までにLMSにアップしますので,各自ダウンロードして講義に臨んでください.
講義は,図を用いた分析が中心となりますが,必要に応じて面倒くさい数式展開を用いた解説も行います.
教材
教科書は特に指定しません.既述の通り,私が作成するパワーポイント資料などに従って行います.
コースで議論するトピックや分析水準をイメージしやすいように,主に担当者のそれを含む以下の論文・書籍をあげておきます.
・林正義「第4章 地方財政と政府間財政関係」畑農鋭也, 林正義,吉田浩『財政学をつかむ』有斐閣, 150-193, 2008.
・林正義「地方分権の経済理論」 貝塚啓明・財務省財務総合政策研究所(編)『分権化時代の地方財政』中央経済社, 43-69, 2008.
・林正義(責任編集)「特集: 政府間財政関係の経済分析」『フィナンシャル・レビュー』(82), 2006.
・金本良嗣「第9章 都市財政」『都市経済学』東洋経済新報社, 223-267.
まとまった書籍としては次 の3 つを参考までにあげておきます.
・持田信樹『地方財政論』東京大学出版会
・佐藤主光『地方財政論入門 (経済学叢書 Introductory)』新生社.
・小西砂千夫『〈新版〉基本から学ぶ地方財政』学陽書房.
講義計画
導入(講義の説明と方針)
公共財と地方財政(最適供給量,自発的供給,中立命題,集団規模,選好顕示の問題,地方公共財)
公共財供給と地方分権(中位投票者定理,足による投票,分権化定理,レヴァイアサン仮説)
自治体規模と効率性(市町村合併,規模の経済,混雑効果,最小効率規模,最適人口規模,市町村合併の効果)
地価と地方財政(資本化仮説,ヘンリージョージ定理,デベロッパー定理,資本化仮説の実証分析,環境評価)
財政競争(便益漏出,資源流動,尺度競争,移動モデル,水平的競争と垂直的競争)
再分配と地方財政(水平的公平性,福祉競争)
移住外部性と人口の地域配分の最適配分
政府間財政移転(矯正効果,フライペーパー効果,共有資源問題,サマリア人のジレンマ)
成績評価方法
原則として学期末試験によります.
例外的に受講者数の規模が少ない場合はレポートによる評 価も追加的に検討します.
オフィスアワー
特に決まった時間は設けませんが,質問は歓迎します.ただし,メールでの事前アポをお願いします.