口を閉じる筋肉(咬筋、側頭筋)が極度に緊張した閉口ジストニアやブラキシズムなどで症状が長期にわたる場合には、咀嚼筋腱・腱膜過形成症、筋突起過長症(図8)、咬筋肥大症を誘発することがあり、全身麻酔下で行う筋突起切離術(図9)などの口腔外科的手術療法が必要となります(参考文献22,25,26)。切開は全て口の中から行いますので、顔に手術の痕が残ることはありません。手術は1.5-2時間で終わりますが、術後の開口訓練が重要なため、入院期間は2週間程かかります。
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図9.筋突起過長症の1例。両側筋突起の過長があり、両側下顎角の肥大(矢印)も認めます(a)。口を開けるとき、筋突起が頬骨弓に当たってしまい、17mmしか口が開けられませんでした(b)。筋突起切離術後(c)、40mm以上の開口が可能となりました(d)。
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図10.この患者さんは閉口ジストニアのため、開口しようとすると咬筋が収縮し、口が全く開けられませんでした(a)。筋突起切離術後に50mm以上開口できるようになりました(b)。
動画6.筋突起切離術後の閉口ジストニア