不随意運動(involuntary movement)とは運動障害(movement disorder)の分類の中で、通常抑制することができないか、部分的にしか抑制できない運動のことを言います。不随意運動にはジスキネジア、ジストニア、チック、振戦、アテトーゼ、ミオキミア、ミオクローヌス、舞踏病など様々な種類があります。不随意運動の原因はまだはっきりしませんが、ジストニアの原因は運動や姿勢を制御している大脳基底核の機能異常と考えられています。全く原因不明のこともありますが、精神科の薬を長期内服している患者さんに生じることがあり、歯科治療(義歯作製、抜歯)あるいは外傷後に症状が現れてくることがしばしば認められます。しかし、歯科治療は誘因となっても、直接の原因ではありません。口に症状の出る方、特に話そうとすると舌や顎の筋肉に力が入ってしまう患者さんには電話交換、受付、営業、司会、アナウンス、学校や大学の教員など話すことを職業とされている方が多くおられます。長期間緊張してストレスがかかった状態で話すことがジストニアの発症要因となった可能性があり、一種の職業性ジストニアと考えられます。職業性ジストニアとは音楽家、職人など過剰に繰り返し同一の作業を行うために、筋痙攣を起こしてしまうジストニアの一種です。