以下特に断らない限り、長頸有限補正対物レンズ世代の部品についての情報です。また、OlympusとNikon以外のメーカーについては言及しません。
Olympus: BH-2(BHT,BHS,BHTU,BHSU)
Nikon: Optiphot,Labophot,Optiphot2,Labophot2
OlympusとNikonの有限光学系顕微鏡では、対物レンズと接眼レンズは相互に使うことができます。
対物レンズマウント:RMS
接眼レンズスリーブ径:23.2mm(超広視野鏡筒30mm)
機械的鏡筒長:160mm
対物レンズ結像位置:150mm(オリンパスについては厳密な数値を示す資料がまだ見つからないが、一致しているようにみえる)
収差補正
Nikonの有限補正長頚対物レンズは、すべての収差を対物レンズで補正するCF光学系
Olympusの対物レンズの像は倍率色収差を残している。接眼レンズがこれを補正する。
接眼レンズが補正するのが倍率色収差だけかどうかを記述している資料はまだみつけていないが、そうらしい。
BH-2へ、Nikonの対物・接眼レンズをとりつけて使うことができます。
ただし、対物レンズと接眼レンズは同一メーカーの組み合わせで使いましょう。
異なるメーカーでは補正の方式が異なるため、像に収差が残ったり、収差が発生したりします。
Olympusの接眼側での補正が倍率色収差のみだとすると、単色の光源を使う場合には異なるメーカーの組み合わせでも問題ないと思われます。
この事情は、対物・接眼レンズの組み合わせだけでなく、写真撮影用のリレーレンズの組み合わせでも同じです。
下の写真は、Nikonの対物レンズと接眼レンズ、リレーレンズです。接眼レンズは広視野、超広視野ともBH-2で使えます。
リレーレンズはBH-2の3眼鏡筒には、そのままでは合いません。後述するようにBH-2の前世代のBHの3眼鏡筒や、写真用直筒を使います。
この写真にあるレンズは、Optiphot後期からOptiphot2の時代の製品です。
接眼レンズや対物レンズには、劣化が早い製品が存在します。
個体差ばかりでなく、「あるシリーズのこの倍率」のような特定の製品に集中していることがありがちです。
オークションで入手する場合には、返品不可の商品をはずれ覚悟で落札するか、返品に応じる商品を狙うか、いずれかになります。
「美品」とあっても無条件に返品不可なような出品物のリスクは小さくはありません。
古い対物レンズを使う場合には、ステージの調整が必要であることがあります。
BH-2やOptiphotと、それ以前の顕微鏡では対物レンズの合焦位置の規格が異なっていました。
それ以前は短頸とよぶ規格で、同焦点距離(対物レンズとりつけ位置(レボルバーの下端)から標本の焦点までの距離)が36.65 mmでした。
BH-2やOptiphotの世代では長頸とよぶ規格で、同焦点距離が45mmになっています。
写真はNikonの対物レンズです。左端が短頸です。右2本が長頸で、中央がOptiphot世代のCF対物レンズ、右端がOptiphotの終わりからOptiphot2にかけて生産されたNCF対物レンズです(eBayなど海外のサイトではCFNと表記されることがあります)。
BH-2は通常、ステージを上端まで上げた状態で長頸対物レンズの焦点が合うように調整されています。
短頸対物レンズを使うときには、下の写真の矢印にあるネジで調節します。
六角レンチで緩め、ステージを適当な位置まで上昇させたらネジをしめて固定します。
前述の通り、対物レンズの収差補正方法が違うため、Nikonの対物レンズとOlympusのリレーレンズ、Olympusの対物レンズとNikonのリレーレンズの組み合わせでの使用はお勧めできません。
スリーブ径:23.2mm
結像位置:Olympusは鏡筒上端から125mm、Nikonは不明。
機械的形状:Nikonのリレーレンズ上部、鏡筒の上に出る部分が大きいため、Nikonのリレーレンズをオリンパスの写真鏡筒と共用できない。
調整:Olympusは全く無調整で写真撮影装置を利用することを前提としている。Nikonの写真撮影用鏡筒は焦点位置を調整できなくもない。
BH-2シリーズとBHシリーズの接眼鏡筒の鏡基との接続部分のダブテイルは互換性があります。
これを利用し、BH-2にBHの3眼鏡筒や写真用直筒をとりつけると、旧型の23.2mmスリーブ用のNikonの写真撮影アダプタを取り付けることができます。