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リスクマネジメント各論(春)- リスクマネジメントと保険 -(慶應義塾大学商学部/三田専門科目)本務校

授業科目の内容・目的・方法:

多発するテロや自然災害など,個人や企業が直面するリスクが多様化,高度化,複雑化するなか,リスクマネジメントに対する社会的な関心はますます高まっています。他方で,リスクマネジメントと名の付く科目は,法律的・制度的な側面を強調するものもあれば,数理的・工学的な観点を重視するものまで,実に多岐にわたります。これに対し,本講義で扱うリスクマネジメントの理論は,春・秋学期を通して,リスクに直面した個人や企業の意思決定の問題,例えば,「なぜ,個人や企業は保険を購入するのか?」といった問題に焦点をあてます。春学期の講義では,第一に,リスクマネジメントの全体像をリスクファイナンスとリスクコントロールといった2つの柱から機能的に理解します。この点は,秋学期の講義内容にも大きく関連する重要な導入となります。第二に,リスクに直面した個人の意思決定の問題として,主に期待効用理論について学びます。第三に,リスクを処理する伝統的な市場である保険市場について,その社会的な機能と限界について学習します。

学習内容:

リスクと不確実性

・リスクマネジメント

・リスクプーリングと保険契約

・期待効用理論

・リスク回避度(絶対的リスク回避度と相対的リスク回避度)

・個人の最適化行動としての保険契約(付保割合と控除免責の決定)

・個人の最適化行動とリスクコントロール(予防努力の決定)

・期待効用理論の再考(アノマリーとパズル,経済実験など)

・リスクの付保可能性(付加保険料・逆選択・モラルハザード)

・保険市場の機能と課題(パレート改善/リスク区分と社会的厚生)

リスクマネジメント各論(秋)- 企業リスクマネジメント -(慶應義塾大学商学部/三田専門科目)本務校

授業科目の内容・目的・方法:

本講義では,春・秋学期を通して,リスクに直面した個人や企業の意思決定の問題を経済学・ファイナンス理論をベースに考察します。秋学期の講義の目的は,「なぜ,企業はリスクマネジメントを行うのか?」という基本的な問題について,ファイナンス(企業金融)の観点から理論的に理解することにあります。理論的な枠組みを理解することによって,今まさに,多くの企業が取り組みを強化しつつある「企業のリスクマネジメント」戦略について,単なる現象面の理解にとどまることなく,その意義と今後の展開について深く考察することができるようになります。講義の前半では,「企業リスクマネジメント」を理解する上で必要最小限のファイナンス(企業金融)の理論を学習します。講義の後半では,保険やデリバティブ等の購入をはじめとする「企業リスクマネジメント」の意思決定が,企業価値最大化の観点からなぜ正当化されるのかという問題を考えます。 

学習内容:

企業リスクマネジメントの意思決定

・割引現在価値と資産評価

・ポートフォリオ理論

・資本資産価格理論(CAPM)

・資本コストと資本構成/ペイアウト

・デリバティブの仕組みと機能

・リスクマネジメントと企業価値 

・倒産コストとリスクマネジメント

・資産代替とリスクマネジメント 

・過少投資とリスクマネジメント

・税便益(節税効果)とリスクマネジメント

・経営者のリスク回避性とリスクマネジメント

・リスクコントロールと安全規制

・全社的リスクマネジメント(ERM)

ゲスト講義:リスクマネジメント各論-(慶應義塾大学商学部/三田専門科目)本務校

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