照射食品の現況は? コロナで話合い持てず
厚労省からのメールによる回答
厚労省と毎年行ってきた話合い(意見交換会)がコロナ騒ぎで中断されて3年になります。担当者も次々と変わってきており、話合いをしておかないと、原発の復活論も出てきていますし、照射食品も鎌首をもたげそうです。
厚労省には、今年度も話合い開催の依頼状を出しましたが、9月27日付メールで、話合いはしないが、依頼状に付けてあった話合いでの質問事項に対し、回答がありましたのでお知らせします。
ちなみに、前回の話合い(2019年7月19日、主婦連合会会議室にて)では、「生レバー」照射殺菌要求に端を発した 6 年に及ぶ一連の調査研究の評価、及び今後の取扱いについて質問しました。その話合いの報告は本会ニュース No.10(2019 年 12 月)に載せてありますが、厚労省の口頭での回答は、2019年度にはとりまとめの調査を行い、「来年度(2020年度)にも具体的に生レバーの放射線照射を認める検討に入る可能性がある」というものでした。
この回答に私たちはびっくりし、6 年間の報告を改めて精査し、2019 年 11 月、大河原雅子衆議院議員による「照射牛生レバーの安全性に関する質問主意書」により質問を行いました。私たちの見解は、本会ニュースNo.11(2020年6月24日)に詳述したように、要するに「菌が残り、殺菌できない」ことから、これは認可の根拠となるデータになりえないというものでした。しかもこれだけでは認可に必要なデータとしては一面のみであり、不十分であるので審議手続きには進めないはずです。
このような経過があったので、メール回答について厚労省と電話でやり取りしたところ、要するに、「前回から、質問事項の内容は進んでいない。したがって、意見交換するまでもない。前回、次年度にはとりまとめて手続きを進めると受け取ったようだが、このことは、あくまでも可能性ということで話しただけである。これについても動きはない。」ということでした。
しかし、下記のように様々な問題が残っていることから、厚労省との話合いを今後も求めていきます。
厚労省からの回答 抜粋
1 照射牛生レバー殺菌関係
(1)割愛(2013 年度~2018 年度、6 年間の報告書)
(2)2019年度の、放射線照射商業施設での管理手法などを検証した研究の報告書は、どのようなものか。要旨、及び報告書本体(印刷物)の送付をお願いしたい。
回答 2019 年度は、厚生労働科学研究事業ではなく食品基準審査課の食品等試験検査費にて事業を実施しており、殺菌効果について研究したものではなく、放射線照射商業施設での管理手法などを検証しています。
コメント この回答は、レバー内にいる細菌が 10 キログレイ以下で死滅しない結果が出ているため、商業施設での管理手法という目的にすり替えています。食品への放射線照射は食品衛生法で禁止されているので、許可するためには科学的な安全実験が必要になります。業者の扱い方などは、安全性が証明されてからの話です。
(3)審議会、及び食品安全委員会への諮問はなされたのかどうか。まだなら、その予定は今年度、来年度はあるのかどうか。
回答 薬事・食品衛生審議会及び食品安全委員会に諮問しておりません。また現時点において、薬事・食品衛生審議会の開催案内はしておりません。
コメント 審議会で業者の管理手法を論議などできません。まず、手順はレバーに放射線照射をして安全かという実験が終わってからです。安全性だけでなく、栄養関係、消費者受容の問題なども含めた資料を整えた上で、薬事・食品衛生審議会で検討され、その後に食品安全委員会に諮問されます。
(4)牛レバー禁止の解除を求める要望は、現時点でも存在しているのかどうか。あるいは、実用化研究を実施せよという要求(追加的な要求)はあるのかどうか。
回答 現時点において、新たに牛レバー禁止の解除を求める要望、研究を続けよというような要求は把握しておりません。
コメント 業界、原子力委員会からの要請はないということが分かりました。あらためて照射食品反対連絡会から要請取り下げの申し入れをします。
2 輸入食品監視モニタリング検査で、「乾燥にんにく(黒にんにく)」が検知された件について
回答 食品の安全性の確保については、一義的には、輸入者を含む食品等事業者が、自らの責 任において、必要な措置を講ずるべきものであると認識しています。 他方、我が国に輸入され、販売される食品については、輸入者に対し食品等輸入届出の義務が課せられており、輸入の都度、検疫所において、原材料の確認や殺菌工程を含めた製造方法の確認等を審査するとともに、放射線照射等の検査を実施しています。 なお、毎年度策定する輸入食品監視指導計画に基づいて、重点的、効率的かつ効果的な検査を実施しているところ、令和4年度においては放射線照射の検査を 670 件実施することを計画しており、引き続き、輸入食品の検査等を着実に実施して、食品の安全性の確保に努めていきたいと考えています。
コメント 膨大な量の食品検査は業者におまかせです。国は 670 件照射食品の検査をするというのは、新しい情報です。
(文責 里見 宏)