生レバー刺しは放射線照射で菌が生き残る

この報告書は「殺菌できる」根拠にならない

「照射牛レバー刺しの殺菌と安全性に関する質問主意書」の答弁で確認


 衆議院議員の大河原雅子さんにご協力いただいて提出した「照射牛レバー刺しの殺菌と安全性に関する質問主意書」(2019年12月3日、200国会第126号)で、生レバーの殺菌に関する6年間の研究報告書について質問した。この答弁書(12月13日)から、「畜産食品の生物学的ハザードとその低減手法に関する研究」など6年間にわたる一連の研究報告書は、重大なデータが欠落した欠陥報告書であることが判明した。この報告書を科学的な根拠として照射レバー刺しが許可されることはありえないと結論できた。

 万が一、政治的な判断で許可が強行されるなら食品衛生法違反として刑事告訴が必要となる。

 平成28年度の「畜産食品の生物学的ハザードとその低減手法に関する研究」では、中心部の線量が9.71KGYから10.1KGYの照射で10検体中7検体(70%)にサルモネラ菌が検出されたと報告されている。接種した牛生レバーの大きさは25グラムで厚さ14ミリの牛レバーの切り身である。

 そこで、この実験結果は平成28年度の報告書に間違いなくあるか、確認の質問をした。

 この質問に対し、「三について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「平成28年度の「畜産食品の生物学的ハザードとその低減手法に関する研究」で・・・10検体中7検体(70%)にサルモネラ菌が検出」されたことがお尋ねの「実験結果」である。」と、答弁があった。

 これは10キログレイ以下なら安全とする基準に照らすと、この線量では菌が死なないという結果であり、放射線照射で殺菌ができないことを認めた実験であって、牛レバー刺しは照射で殺菌はできないことを確認した重要な報告であることが確認できた。

(公衆衛生学博士 里見 宏)