プレスリリース

発信元  照射食品反対連絡会 2023年11月1日

(No-Irradiated Food of Japan)

宛先  海外報道関係者 

内容項目キーワード  日本の食品照射 照射ジャガイモの廃業 消費者団体が反対集会

           照射食品反対運動の連帯呼びかけ 集会アピール

 

                     

各国報道関係者 各位

 

報道のおねがい 

50年続いた日本の放射線食品ジャガイモ事業の廃業に消費者団体が勝利宣言、海外向けアピールを発信(10月31日、東京)

 

私たち「照射食品反対連絡会」は50年間にわたり照射食品反対運動を行ってきました。

日本では世界に先駆けて1974年から、北海道の士幌町農協で芽止めを目的に放射線照射されたジャガイモが市場に出荷されてきました。2023年、この照射ジャガイモの販売が停止されました。士幌町農協が「アイソトープ照射センター」を廃業し、施設の解体を始めたからです。

 

10月31日、東京・衆議院議員会館で、約60の消費者団体と個人参加者の総意で、世界で販売されている照射食品の全廃を求める「照射食品全廃! 全国集会」を開催し、世界の消費者に向けアピール(別添)を発表しました。

 日本の照射食品は、日本原子力委員会により照射食品7品目の照射を目的に開始されました。しかし、この7品目の毒性実験で危険性が指摘され、その後、新しい生成物の発がん性や誘導放射能が起きるなどの危険性を示すデータが報告されました。

日本の消費者は、最初に許可された照射ジャガイモに反対運動を起こし、50年にわたり、不買運動を行ってきました。反対運動は、発芽防止・殺菌・殺虫などを目的とした残り6品目(タマネギ、コメ、コムギ、 sausage、ミカン、カマボコ類)の許可を止めることになりました。

不買方法は照射ジャガイモを販売している八百屋やスーパーマーケットを全国の消費者が探し、見つけた販売店に照射ジャガイモに反対する理由を添えて、販売停止のお願いをするというものです。このお願いは反対する消費者の強い意志を伝えることにもなりました。この申し入れに多くの販売業者が応じて、販売を取りやめてくれました。それにより、製造元の士幌町農協は販売量を減らしました。農協の「膨大な国費を使った研究開発が無駄にならないよう市場を大きくしなければならない」という思いは通じませんでした。

 

士幌町農協は50年経った現在、老朽化した照射施設の改修はせず 、照射ジャガイモの製造・販売の廃業を決定しました。日本に唯一あった食品向けの照射施設は無くなりました。

これは、50年におよぶ日本の照射食品反対運動の勝利です。この日本から照射食品の製造・流通がなくなったという事実は、日本の照射食品行政にとっても、世界の照射食品行政にとっても重大な変化で、大きな影響があるものと考えます。

10月31日の集会は、日本における照射ジャガイモの全廃を世界に伝えることで、世界の照射食品が全廃していく導火線になると考えられます。私たちは世界各国の政府と消費者に照射食品廃絶の連帯を求めます。

 また、海外の食品業者の中には、日本で照射ジャガイモが販売されていることで、日本では食品へ放射線照射が許されているという間違った情報を持っている人たちがいます。そのため外国で放射線照射された食品が日本へ輸出されるという問題が起きていました。

日本の検疫所は各国から輸入する食品の抜き取り検査を行っています。抜き取り検査では限界がありますが、これまで、違法な照射が判明した照射食品は14か国に及んでいます。(下記表)。

私たちは14か国に大使館を通じて「日本は照射ジャガイモが廃止され、照射食品は全て禁止されているので輸出の違反を続けないよう、周知すること」を申し入れました(2023年9月9日付け)。

日本では照射ジャガイモの照射施設が解体され、誰の目にも明らかになりました。

日本では50年かけた長い消費者運動が勝利し、照射ジャガイモを廃止させました。

この世界に向けたアピールは照射食品反対の勝利を確認した消費者の思いを書いたものです。つきましては、別添のアピールを、貴国のメディアで報道し、世界に発信してください。 


照射食品反対連絡会 

https://sites.google.com/site/noshousha/home

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207

日本消費者連盟気付


照射食品反対連絡会は2006年に以下の団体によって結成、主婦連合会、日本消費者連盟、食の安全・監視市民委員会、東京都地域婦人団体連盟、日本有機農業研究会、食品照射ネットワーク、健康情報研究センター、生活協同組合パルシステム東京、全日本農民組合連合会など約60団体及び個人で活動しております。

北海道士幌町農協「アイソトープ照射センター」事務所と解体跡地 

店頭で売られていた、最後の年(2022)の照射ジャガイモ

照射ベビーフード事件で有罪判決を知らせる反対連絡会広報用パンフレットのp.2より ©ちばてつや Chiba Tetsuya

付記  集会アピール

2023年10月31日、「照射食品全廃を! 全国集会」

海外向け集会アピール


世界の皆さんに

放射線照射食品を止めるため、反対運動の連帯を呼びかけます

 

日本では1974年から、発芽防止のため放射線照射したジャガイモが販売されてきました。被爆国でありながら、世界に先駆けて照射ジャガイモを販売してきたことで、原子力を推進する人たちから「日本ですら認めた照射食品」と、宣伝されてきました。しかし、照射ジャガイモに不安を持つ多くの消費者はその販売に反対してきました。

日本原子力委員会は発芽防止以外に、殺虫(米や小麦)や殺菌(ソーセージや柑橘類)の目的で照射した食品を許可するための実験を行っていました。しかし、その実験データは危険性を示し、WHOもその追跡調査を求めています。ところが1980年、WHOは突然10kGy までの照射を科学でなく政治的な判断で問題がないと、認める宣言をしました。

日本では1978年に、ベビーフード野菜に違法な放射線照射がされるという信じられない事件が明らかになりました。その裁判で会社側証人は、「WHOが認めているので実質的に無害であり、無罪である」と主張したのです。しかし、判決は、「WHOの報告書には、10kGyまでの照射は科学的に検討を要する項目が挙げられているが、その要求項目は検討もされず、科学者からも問題があると指摘されている」とWHOの10kGyの安全を認めず、関係者を有罪としました(一審1984年、二審85年)。この判決はWHOが推進派の政治的配慮で動くということを日本の消費者は実感したのです。

 

日本政府は世界で唯一、1967年から照射食品7品目の毒性実験を行いました。そのうちのジャガイモとタマネギの実験でわかった危険性を列記しておきます。

 

<照射食品の危険を示すデータ>

●照射ジャガイモ動物実験で、卵巣の重量低下(600Gy)、体重の減少(300Gy)、死亡率の増加、甲状腺脳下垂体にも異常が確認された。生殖器など生命活動に重要な臓器に影響が及ぶことがわかった。

●照射タマネギ(300Gy)を与えたところ、3代目で肋軟骨癒合という骨の異常、卵巣と睾丸の重量減少が確認されたため追試。照射量を半分(150Gy)に餌に混ぜる量も半分の2%にしたが、2代目で頚肋という首の骨(頚椎)に肋骨がついている異常が2倍もでた。

 

日本では消費者の反対があっても、北海道の士幌町農協は「膨大な国費を使った研究開発が無駄にならないよう市場を大きくしなければならない」と、照射ジャガイモの採算度外視の事業を継続してきました。また、士幌町農協の照射ジャガイモは「研究室のデータと実際の畑で収穫したジャガイモへの照射は大きく違った」ことを次のようにまとめています(1989年)。

 

1.収穫時の傷ついたジャガイモに照射すると腐敗が加速する。

2.未成熟なジャガイモに照射すると内部が黒変する。

3.照射直後は急速に還元糖が増えポテトチップが褐変する。この還元糖を減少させるに約3ヶ月かかる。

4.長期貯蔵は照射しても温度、湿度、換気の管理が必要。

5.常温貯蔵すると褐変するので5℃以下の貯蔵が必要。

 

これで分かるように、実際の照射は思ったより効果がなく、現実には半分近くが商品価値がなく廃棄されていたのです。

士幌町農協はこうした大きな矛盾を解決できず50年が経ったのです。ついに士幌町農協は照射ジャガイモの製造を止めることを決断しました。2023年、照射施設の解体を行ってい ます。

日本では2023年から照射ジャガイモが製造・販売されることは無くなりました。

この事実を世界の消費者の皆さんに知らせ、いま世界で照射される香辛料や牛肉への問題を世界の消費者と共有したいと思います。そして、いまだ食品に放射線照射を続ける国の皆さんに「反対運動を続ければストップできる」と、呼びかけます。


2023年10月31日 照射食品反対連絡会 「照射食品全廃を! 全国集会」

 

付表 「放射線照射による食品衛生法違反事例(1996年~2023年)」


届出年  品 名                重量      違反内容   製造国 

1996年 朝鮮人参ドリンク 1,400kg 放射線照射 中国

1996年 朝鮮人参ドリンク 1,680kg 放射線照射 中国

1996年 紅鮭加工品 11,000箱 放射線照射 米国

1996年 花粉加工食品 165.5kg 放射線照射 米国

1996年 粉末清涼飲料百宝 324kg 放射線照射 中国

1997年 粉末サメ軟骨 100kg 放射線照射 台湾

1997年 健康食品NOPAL 300kg 放射線照射 メキシコ

1997年 粉末サメ軟骨 5.4kg 放射線照射 カナダ

1999年 アガリクスタブレット 4.25kg 放射線照射 ブラジル

2000年 アガリスエキストラクト 5kg 放射線照射 ブラジル

2001年 焙煎ガラナ豆 3,000kg 放射線照射 ブラジル

2001年 蜜蜂の幼虫粉末 不明 放射線照射 中国

2002年 マカパウダー 不明 放射線照射 ペルー

2004年 マルハのホッキ貝 不明 放射線照射 中国

2004年 ハーブ 不明 放射線照射 中国

2004年 粉末田七人参              不明 放射線照射 中国

2006年 ソイアクト            不明 放射線照射 米国

2007年 パプリカ 不明 放射線照射 ドイツ

2008年 乾燥しいたけ 不明 放射線照射 中国

2008年 マカ 300kg 放射線照射 ペルー

2008年 きざみ赤唐辛子 不明 放射線照射 中国

2009年 乾燥ケール粉末 不明 放射線照射 中国

2009年 乾燥シイタケ 不明 放射線照射 中国

2009年 黒コショウ 不明 放射線照射 中国

2009年 シナモン(香辛料) 不明 放射線照射 米国

2009年 乾燥シイタケ 1,550kg 放射線照射 米国

2009年 冷凍シャコ 不明 放射線照射 中国

2009年 ボイルシャコ 不明 放射線照射 中国

2009年 乾燥ネギ 不明 放射線照射 中国

2009年 ウーロン茶 不明 放射線照射 中国

2009年 ボイルシャコ 不明 放射線照射 中国

2010年 乾燥とうがらし 不明 放射線照射 タイ

2010年 乾燥しいたけ 不明 放射線照射 中国

2011年 乾燥とうがらし 不明 放射線照射 タイ

2011年 乾燥とうがらし 不明 放射線照射 タイ

2011年 ハッカ 不明 放射線照射 チリ

2012年 乾燥大根の葉 不明 放射線照射 中国

2013年 TEA BAG MINT 不明 放射線照射 ブラジル

2013年 コリアンダー 不明 放射線照射 バングラデシュ

2013年 クミン 不明 放射線照射 バングラデシュ

2013年 ボイルシャコ 不明 放射線照射 中国

2014年 茶の代用品 不明 放射線照射 シンガポール

2016年 冷凍天然えび 不明 放射線照射 ベトナム

2019年 乾燥しょうが 不明 放射線照射 中国

2019年 冷凍養殖むき身えび 不明 放射線照射 ベトナム

2019年 乾燥イチゴ 不明 放射線照射 中国

2020年 乾燥イチゴ 不明 放射線照射 中国

2020年 とうがらし(辣椒粉) 不明 放射線照射 台湾

2020年 MARINADE POWDER 不明 放射線照射 台湾

2020年 調味料(SEASONING) 不明 放射線照射 台湾

2020年 調味料製剤(SEASONING) 不明 放射線照射 台湾

2020年 パプリカパウダー 不明 放射線照射 スペイン

2021年 オニオンパウダー 209,260個 放射線照射 中国

2022年 乾燥にんにく(黒にんにく) 不明 放射線照射 中国

2022年 乾燥シイタケ 不明 放射線照射 中国

2023年 ウシエビ(ブラックタイガー) 不明 放射線照射 ベトナム

2023年 乾燥月桂樹の葉 不明 放射線照射 中国