中国からの食品輸入、放射線照射はだいじょうぶなのか?

輸入食品と「照射食品」で、食品会社400社にアンケート

中国から輸入された食品からは、食品衛生法違反の放射線が照射された物がしばしば見つかります。中国には、コバルト60を放射線源に使った照射施設が103か所、電子線照射施設が6か所あり、乾燥野菜、香辛料、穀類、ニンニク、魚介類などが14万6000トン照射されていると報告されています。近年はもっと増えているとみられますが、実態は不明です。

そこで照射食品反対連絡会は、照射食品の問題を知っていただくための資料を食品会社に送ることにしました。そして食品各社が中国から輸入している場合、それらの食品をどうのようにチェックしているか訪ねるアンケートを実施しました。資料とアンケートを送った会社は下記のような業界に加入している389社です。回答のあった37社分をまとめました(2014年9月22日発送、回答10月31日まで)。照射食品については輸入の際、具体的な対応が必要だということが浮き彫りになりました。

質問と回答

Q1 中国から直接・間接的にでも食料品の輸入または購入をされていますか。

「はい」・・・・・37社中27社(73%)

「いいえ」・・・・10社(27%)

Q2 中国からの違法照射を防ぐために講じている対策はありますか。

A.中国側に照射しないように申し入れてある。

10社(参考37% 10/27社)

B.輸入された食品を検査に回している。

2 社(参考7%)

C.その他 15社(参考56%)

「C.その他」の回答15社は、次のような書き込みがありました。 そのうち、「特に何もしていない」が1社、「中国産の照射が疑われる食品群の取扱いは行っていない」が1社でした。

残り13社は:

①照射されていない旨の規格書・保証文書の取り交わし(3社)。

②現地視察・訪問、順法・トレーサビリティー管理の確認(4社)

③輸入前に供給者の評価・監査の実施、法令違反のないことを確認(3社)

④照射のないことの申し入れ・誓約書・保証書・規格書などの確認、管理(1社)

⑤取引先の商社が検査・視察・確認(2社)でした。

Q3 自由記載欄(15社)

●「弊社は、食品への放射線照射には反対しております。」

●「中国国内外原料を問わず、食品への直接の照射は、慎重であるべきと考えます。」

●「ジャガイモ以外は日本で許可されておりませんので、保証文書の確認結果に照らし弊社では放射線照射食品は使用していないものと認識しております。」

●「食品衛生法を遵守して参ります。」(4社)

●「全ての原材料について、粗原料、種子の段階までトレース記録、及びその確認のないものは使用しません。」

●「信頼のおける中国の供給先を選別し、かつ、工場のラインチェックは年1回以上担当者が訪問し確認をしていく。」

●「当社は純カレー粉専門で、カレー粉の中に中国 産の唐辛子と陳皮、フェンネル、ジンジャーを使用している。照射食品は使用していません。」

●「餃子問題以降、中国産農作物及び加工食品の仕入れは中止しております。」(2社)、

●「日本の農林水産省が中国との農水産物輸入について正規のルートで政府間でしっかり防ぐ協定を締結すること(が望まれる)。」

●「今後、大きな問題でありますので、団体を通じて公正な情報をリアルタイムで提供いただけたら幸いです。」

考察

中国から輸入している食品会社が多いことがわかりました。しかし、照射食品かどうか検査している会社は2社のみでした。「中国側に照射しないように申し入れてある。」と答えたのは10社ですが、そうした申し入れが確実に守られているかどうかを検査することはどうしても必要だと考えます。

調査を依頼した業界団体と加入会社数

日本凍結乾燥食品工業会(17社)、日本はちみつ輸入商社協議会(7社)、メンマ加工業(30社)、日本ベビーフード協議会(7社)、全国小麦粉分離加工協会(10社)、全日本カレー工業協同組合(21社)、日本羊腸輸入組合(30社)、日本バナナ輸入組合(17社)、日本乾果物輸入協会(16社)、全日本はちみつ協議会(27社)、青果物カット事業協議会(21社)、日本植物たんぱく協議会(8社)、全国椎茸商業協同組合(16社)、全日本果子協会(76社)、砂糖輸出入協議会(10社)、日本冷凍食品協会(106社)

合計 16業界団体 419社

表 放射線照射による食品衛生法違反事例(1996年~2014年)