VR/AR学習支援

(1) VR教室に関する研究

教育分野にVirtual Reality (VR)を導入することで,学校の講義,実験や演習,英会話や防災訓練などの教育・学習を支援する研究が盛んに行われています。VRを用いた学習支援による体験型学習や対話型学習ができる環境を提供することで,学習者の知的好奇心の触発,モチベーションの向上,自主性・主体的な学びの向上等が期待されています。現状のVRを用いた教育・学習に関する研究は,教育・学習を支援できる環境の構築及びその構築したシステム評価をするものが多く、仮想空間内で収集することができる教育・学習データを分析・可視化することで,教育・学習の改善に活かす取り組みまで至っていません。そこで、本研究では,VR教室における教育・学習データ利活用に向けた学習分析に取り組んでいます。

(1-1) VR教室内で教師視点(PCでの操作)

下記の動画(左)のように教員は、スクリーンに映し出される教材に沿って講義を行うことができます。教員は、教室内の受講者にPCのマイクを通じて講義を説明して、受講者は、教員の説明に対して、講義内容を学びます。教員は、HMDを用いても利用することができるが、動画(左)ように俯瞰視点から生徒の状況を把握することもできます。スクリーン上に提示されるpdfは、あらかじめ教員が講義で使用するものをサーバーへアップロードすることで利用することができる。

動画(右)は、VR教室内で利用できる3Dwebviewです。学習者は、講義で学んだことで調べたいキーワードがあれば、3Dwebviewからウェブブラウザを利用することができ、情報の検索が可能となる。また、本研究で開発しているデジタル教科書システムにもアクセスすることができる。

VR教室(教員).mp4
3Dwebview.mp4

(1-2) VR教室内で学習者視点(HMDでの操作)

下記の動画のように学習者は、VR教室に移動し、講義を受講することができる学習者は、PCのマイクを通じて参加者との対話や教員と話すことができる。

VR教室(学習者).mp4

(2) アイトラッキング技術とVRを用いた自動車運転訓練システムの研究開発

警視庁の交通事故発生状況の資料によると,日本国内の交通事故は減少傾向にあるが,未だ30万件以上の交通事故が発生している.その原因としてあげられるのは,前方不注意や安全不確認といった発見の遅れが7割を占めている.教習所では基本となる安全運転5則を学び,安全運転を心掛けるが,運転経験の少ない若年ドライバーや高齢者などは,標識や看板の見落としなどの不注意や標識・看板自体の意味を忘れてしまうことが多々ある.

本研究では,アイトラッキング技術を実装したVRヘッドセットであるVIVE PRO EYEを利用することで,VR空間上における学習者の視線データを利活用した自動車訓練システムの設計・開発を行った.本システムは,自動車運転中の前方不注意や安全不確認などの事故の原因を防ぐために,運転手が信号や標識などをきちんと確認し,状況に応じて正しく運転動作を行なっているかの学習を進める.さらに,運転後の内省時に,VR空間で収集した視線データを利用することで見落としている標識や看板,状況に応じて正しく運転動作をできなかった箇所をフィードバックするシステムの開発を行った.

VR空間上における自動車運転訓練システム(運転中の学習者の視線情報を収集可能にしています)

マイムービー.mp4