Face And Lips マニュアル

2011/05/25 更新

MikuMikuDance の表情モーション・リップシンク作成補助ツールです。

モデル(PMD)と音声ファイルを読み込み、視覚的に目や口の表情を編集、最終的にはVMDファイルとして出力することができます。

トラックの上に表情を置いていくことで、表情モーションを作成します。

表情の長さやウェイトを視覚的に、自由に変更することができ、作った表情は画面上にリアルタイムに表示されます。

またマルチトラックなので、口と目の動きを分けて管理することも容易です。

範囲選択、コピー&ペースト、アンドゥ・リドゥなど基本機能を備える他、

まだ調整不足ですが、VSQファイルからリップシンクを作成する機能もあります。

必要環境

Windows XP 以降

.NET Framework 2.0 or 3.5

Microsoft Visual C++ ランタイムコンポーネント

DirectX 9.0c (2010Feb以降)

各コンポーネントは必要に応じて下記リンクからインストールしてください。

.NET Framework 3.5 SP1

Microsoft Visual C++ 2010 ランタイムコンポーネント

DirectX9 ラインタイムWebインストーラー

画面説明

まず使ってみよう

Face And Lipsを使って表情モーションを作成し、MMD上で「あいうえお」とリップシンクさせるまでをステップを踏んで簡単に説明します。

事前準備

まずもちろんのことですが、MikuMikuDanceをインストールしておいてください。

そして以下の2種類のファイルを用意してください。

- PMDモデルファイル

- 音声ファイル(Wave, MP3等)

音声ファイルは動画でも構いません。

読み込めるファイルの種類については後述の「読み込める音声・動画ファイル」をご覧ください。

Step 1.

まず、モデルファイルであるPMD/PMXファイルを読み込みます。

モデルファイルを読み込むことにより、モデルを画面に表示させ、モデルが持っている表情を読み取ります。

上部ツールバーの「PMDをインポート」ボタンを押します。

すると、ファイルを選択するダイアログが開きますので、リップシンクさせたいPMDモデルファイルを選択してください。

ファイルを選択すると、モデル表示パネルにモデルの顔のあたりが表示され、表情ボタンが追加されます。

Step 2.

次に、音声ファイルを読み込みます。

音声ファイルを読み込むことにより、音声波形を表示させ、また音を鳴らすことができるようになります。

上部ツールバーの「Waveをインポート」ボタンを押します。

すると、ファイルを選択するダイアログが開きます。

今回は何でもいいので、用意した音声ファイルを選択してください。

ファイルを選択すると、音声波形パネルに波形が表示されます。

Step 3.

これで表情モーションを作る準備ができました。

ここからいよいよ表情モーションを作っていきます。

では「あ」のリップシンクをさせてみましょう。

中ほどにある「あ」のボタンをドラッグして、下のトラックにドロップしてください。

すると、トラックに「あ」が設置されると思います。

これで、「あ」の表情モーションが作られました。

続けて同じように、「い」「う」「え」「お」を、端が重なるように置いていってください。

これで「あいうえお」とリップシンクする表情モーションができました。

では出来上がり具合を確認するため、再生してみましょう。

波形パネルの上にある「再生」ボタンを押してみてください。

すると、音声が再生され、設置した表情アイテムに合わせてモデルが「あいうえお」とリップシンクします。

いかがですか?うまくリップシンクできたでしょうか。

Step 4.

では、作成した表情モーションを、VMDモーションファイルとして保存しましょう。

上部ツールバー「VMDの書き出し」ボタンを押してください。

すると、保存ダイアログが表示されますので、ファイル名を付けてVMDとして保存してください。

最後に、保存したVMDファイルをMMDで読み込んで再生してください。

すると、Face And Lipsで再生したときと同じように表情モーションしてくれます。

お疲れ様でした!

表情アイテムの置き方

表情アイテムの置き方は、3通りあります。

1. ドラッグ&ドロップ

中ほどにある表情ボタンを、トラックにダウンロードすることで、表情アイテムを設置することができます。

2. 波形パネル上で範囲選択して、表情ボタンを押す

波形パネル上で、ドラッグして範囲選択後、対象の表情ボタンを押すことで、設置することができます。

3. ホットキーを押す

「あいうえお」の母音については、キーを押すことでトラックに設置することができます。

デフォルトでは、「a」「i」「u」「e」「o」のキーが割り当てられています。これはオプションで変更可能です。

詳細は後述の「ホットキー」を参照してください。

表情アイテムの移動

表情アイテムは、ドラッグで動かすことができます。複数選択しての移動も可能です。

また、Altキーを押しながらだと表情アイテム形状変更判定がなくすことができ、移動がし易くなります。

表情アイテムの形状

表情アイテムは、横幅が時間的な長さ(フレーム)、高さがウェイト値を表しています。

これらはマウス操作で変更が可能です。

横幅を変更するときには表情アイテムの横あたり、

高さを変更するときには表情アイテムの上あたり、

形状を変更するときには表情アイテムの角あたりをマウスでドラッグします。

そのあたりにマウスをもっていくと、横幅、高さ変更の場合はマウスカーソルが変わり、

形状変更の場合は、角に印が出てきますので、それを目印にしてドラッグしてください。

横幅の変更中にはフレーム数、高さの変更中にはウェイト値(%)、形状の変更中には端からのフレーム数とウェイト値が表示されます。

表情アイテムへのポイント追加・削除

表情アイテムは基本4つのポイントで構成されていますが、ポイントを追加・削除することができます。

表情アイテムでポイントを選択している状態で、右クリックを押すとメニューが表示されます。

選択ポイントの右にポイントを追加したい場合は「ポイントを右に追加」、左に追加したい場合は「ポイントを左に追加」を選択してください。

選択ポイントを削除する場合は「ポイントを削除」を選択してください。

また、ポイントを左ボタンで選択し、左ボタンを押さえたまま右クリックしてマウスを動かすと、ポイントを追加することができます。

表情アイテムの分割

ポイントが5つ以上ある表情アイテムについては、2つに分割することができます。

分割したいポイントを右クリックし「表情アイテムを分割」を選択することで、2つに分割されます。

表情アイテムのプロパティ変更

表情アイテムは、通常はモデルに設定されている表情モーフと1対1で対応しています。

ですが、「え」など、複数の表情モーフを組み合わせたりすることがあります。

Face And Lipsでは、最大5つまで、表情モーフを組み合わせることができます。

例えば、「あ」の表情アイテムに、「あ」を100%、「上」を20%としてプロパティ設定すると、「あ」の口になるのと一緒に眉毛が上に少し上がるようになります。

右上の表情アイテムプロパティにて、アイテムを選択する、もしくはアイテムボタンを押した状態で変更してください。

設置済み表情アイテムを他の表情に変更する

設置済みの表情アイテムを他の表情に変更する場合は、表情アイテムをダブルクリックしてください。

すると表情ダイアログボックスが表示されますので、変更したい表情を選択してください。

目ボーンの動き編集

表情の他に、目ボーンも動かすことができます。

一番下にある目ボーンアイテムボタンを、表情アイテムと同じように置いていきます。

両目、右目、左目ボーンに対して、上下左右アイテムを置くことで、ボーンを動かします。

例えば、両目を右上に動かしたいときには、「両目↑」と「両目→」アイテムをトラックに設置します。

目ボーンは、ウェイト値が表情アイテムの半分で設置されます。

目ボーンの100%は90度動いた状態になりますので、通常そこまでは動かさないためです。

極端に動かすことにより、白目なども一応できるようにしてありますが、モデルによっては動きすぎたり、変な状態になる場合もありますので、ご注意ください。

モーション再生

表情モーションの再生には、以下3つの種類があります。

再生中にボタンを押すと、再生が停止します。シーケンスマーカーは停止した位置に置かれます。

再生

シーケンスマーカーの位置から、再生を開始します。

現画面位置から再生

現在表示されている画面の左端から再生を開始します。

選択範囲を再生

波形パネルで選択されている範囲を再生します。

直前を再生

波形パネルで選択されている範囲の前1秒を再生します。

直後を再生

波形パネルで選択されている範囲の後ろ1秒を再生します。

シーケンスマーカー

シーケンスマーカーは、現在位置を示すマーカーです。

ドラッグしたり、タイムラインルーラ上でクリックしたり、左右キーを押したりすることで動かすことができます。

シーケンスマーカーを動かすと、その時刻の表情がモデルに反映されます。

また、スクロールバーの左には、現在時刻が 分:秒:ミリ秒 で表示されます。

(ミリ秒は0-99の表示)

ホットキー

「あいうえお」の母音は、キーボードのキーを押すことで設置することが可能です。

デフォルトでは「a」「i」「u」「e」「o」が割り当てられています。

画面内にシーケンスマーカーがあるときにホットキーを押した場合は、シーケンスマーカーの位置に表情アイテムが設置されます。

続けてホットキーを押すと、端が重なる形で、次の表情アイテムが設置されます。

設置アイテムが画面外に出る場合は、自動で画面がスクロールされます。

画面内にシーケンスマーカーがないときにホットキーを押した場合は、画面左端からアイテムが設置されます。

また、このホットキーはオプションにて変更することができます。

上部メニュー「ツール」から「オプション」を選択し、対象の母音に対するホットキーを設定します。

ブックマーク

タイムライン上にブックマークをつけて、即座にその位置へ移動することができます。

上部ツールバーの「ブックマークを追加/削除」ボタンで、現在のシーケンスマーカー位置にブックマークを置くことができます。

ブックマークを置くと、タイムライン上にブックマークが置かれます。

ブックマークは複数設置することができ、上部ツールバーの「前のブックマークに移動」「次のブックマークに移動」ボタンで順番に移動することができます。

ブックマークを消すときは、ブックマークが置かれているあたりにシーケンスマーカーをもってきて「ブックマークを追加/削除」ボタンを押します。

また、一括ですべて消したい場合は「ブックマークをすべてクリア」ボタンを押してください。

読み込める音声・動画ファイル

Face And Lips で読み込める音声・動画は、基本的に Windows Media Player で再生できるものと同じです。

WaveやMP3、AVI等はデフォルトで読み込めると思いますが、MPEG、MP4、FLVなどはコーデックが必要になる場合があります。

Windows Media Player のコーデックをパソコンにインストールすれば、自動的に Face And Lips でも読み込めるようになります。

ファイルを読み込むときに「メディアファイルの読み込みに失敗しました。接続に必要な中間フィルターの組み合わせが見つかりませんでした」というメッセージが出る場合は、コーデックがインストールされていない状態です。

タイムライン長の変更

タイムラインの長さを変更したい場合は、上部メニュー「編集」から「タイムライン長変更」を選択し、秒単位で長さを設定してください。

トラックの追加・削除

トラックはデフォルト5トラックですが、これを追加・削除することができます。

中段メニューの「トラックを追加」「トラックを削除」ボタンで、一番下にトラックを追加・一番下のトラックを削除することができます。

トラックを追加

トラックを削除

デフォルト表情アイテム形状の変更

表情アイテムをトラックに置くときのデフォルト形状を変更したい場合は、上部メニュー「ツール」から「オプション」を選択し、変更することができます。

形状は数値で指定もできますし、マウス操作でも指定可能です。

VSQファイルから表情を生成する

VOCALOIDの演奏データであるVSQファイルから、表情アイテムを生成することができます。

上部メニュー「ツール」から「VSQファイルからアイテムを生成」を選択してください。

VSQファイル選択ダイアログが表示されるので、対象のVSQファイルを選択すると、分析の後、アイテムが設置されます。

(分析には時間がかかる場合があります)

VMDファイルから表情を生成する

MikuMikuDanceのモーションファイルであるVMDファイルから、表情アイテムを生成することができます。

上部メニュー「ツール」から「VMDファイルからアイテムを生成」を選択してください。

VMDファイル選択ダイアログが表示されるので、対象のVMDファイルを選択すると、アイテムが設置されます。

Face And Lipsで作成したVMDファイルを、再度この機能で読み出しても、完全には再現できません。ご注意ください。

また、現在目ボーンの動きは取り込むことができません。

テキストから表情を生成する

ひらがな、カタカナの文字列を入力して、表情を生成することができます。

自動バックアップ

一定間隔で、自動的にバックアップを取ることができます。

自動バックアップを行うかどうか、またバックアップの間隔、世代は、上部メニュー「ツール」から「オプション」を選択し、変更することができます。

バックアップファイルを復元するには、上部メニュー「ファイル」から「自動バックアップを復元する」を選択してください。

なお、自動バックアップファイルは Face And Lips が置かれているフォルダの下、Backupフォルダに「backup~.flb」という名前で保存されます。

このファイルは Face And Lips を終了しても消えませんが、自動バックアップが走ると上書きされます。

中身は通常の保存ファイルと同じものですので、拡張子を .fal に変えて読み込むこともできます。

その他

モデルの拡大・縮小

モデル表示パネルの右上にある虫眼鏡マークをマウスで上下にドラッグすると、モデルを拡大・縮小することができます。

またマウスホイールでも拡大・縮小させることができます。

モデルの回転

モデル表示パネルの右上にある矢印マークをマウスで左右にドラッグするとモデルをY軸まわりに回転、

上下矢印マークをマウスで上下にドラッグすると縦に平行移動させることができます。

また、右ドラッグで自由に回転、中ドラッグで平行移動ができます。

下の顔アイコンのボタンを押すと、正面、左向き、右向きにすることができます。

モデルのエッジ太さ

モデル表示パネルの下にあるエッジスライドバーで、エッジの太さを設定することができます。

ウェイト補助線

波形パネルの上にあるツールバーの「ウェイト線」ボタンを押すと、トラックに表示されるウェイト補助線を変更することができます。

ウェイト補助線なし、2分割(50%と100%)、5分割(20%、40%、60%、80%、100%)の3種類です。

シーケンスマーカーを動かしたときに音を鳴らす

波形パネルの上にあるツールバーの「マーカー移動時に音を鳴らす」ボタンを有効にすると、シーケンスマーカーを動かしたときに、音が一瞬鳴るようになります。

音声波形の時間軸/波幅倍率の変更

波形パネルの上にあるツールバーの「拡大(時間軸)」「縮小(時間軸)」ボタンを押すと、波形の横軸倍率を変更することができます。

また、「拡大(音波形)」「縮小(音波形)」ボタンを押すと、波形の縦軸倍率を変更することができます。

この操作により音は変化しません。表示だけ変更されます。

音量

波形パネルの上にあるツールバーの音量スライドバーを動かすことにより、音量を調整することができます。

表情グループの表示/非表示

表情ボタンは、グループごとに表示/非表示 が可能です。

表情ボタンの左上にある「+」「-」ボタンを押すと、表示/非表示を切り替えることができます。

更新履歴

2011/05/25 V0.34 の内容に合わせて更新

2011/05/07 V0.27 の内容に合わせて更新

2011/04/04 「設置済み表情アイテムを他の表情に変更する」を追加

2011/04/03 「自動バックアップ」を追加

2011/04/02 作成