・鑑賞し共感できる力はまさに学力そのものであり,創作も学力を確かなものにする活動である。
1 学校の教育目標
◎総括目標
『心を育て 未来を拓く』
人としての豊かな心を磨き育て,自分自身の将来を切り拓くとともに,社会の未来を創造していく人材の育成を目指す女満別中学校にしていこうという“熱き思いや願い”をこの総括目標に込めている。
◎具体目標
『向上心と強い意志をもち真剣に学ぶ生徒』
よりよく自分自身を高めていこうという心と目標達成にむけ粘り強く努力する強い心を育むとともに,真剣に学習に取り組み「確かな学力」を身に付けた生徒の育成を図る。
『豊かな人間性をもち 互いに磨き高める生徒』
未来への夢や目標を抱き,自らを律しつつ,自己責任を果たし,自分の利益だけでなく社会や公共のために何をなし得るかを大切に考える豊かな心を,全教育活動をとおして互いに磨き高めていく生徒の育成を図る。
『粘り強く心身を鍛え 快活でたくましい生徒』
心と体を一体としてとらえ,粘り強く「健康の保持増進」や「体力の向上」を図るとともに,明るく豊かな生活を送ることができるたくましい生徒の育成を図る。
2 重点教育目標
『主体性・協働性を伸ばす確かな学力の向上』
○「めあてを持ち,学びひたる授業をつくる」
○「学び方を知り,学ぶ主体としての自信を持たせる」
○「主体的でひろがる家庭学習を支援する」
○「歌声が響き合う学校を愉しみ合う
『社会性・規範意識の醸成』
○「安心して学べる生活を維持するために繋がり合う」
○「自分も他人も尊重できる力を育む道徳を展開する」
○「自己選択・自己決定の価値に気付けるよう支援する
3 学校の重点経営方針
(1)主体性・協働性を伸ばす確かな学力の向上
①授業改善の取組
・基礎学力とは,「言語を正しく思慮深く用いる能力」「観察・質問・実験などによって問題を解決していく能力」「想像力によって他人の表現形式に共感し,鑑賞する能力」「自分自身でどのように学ぶかを知り,
生涯を通して学習する主体としての自信を持つこと」など,暗記の能力ではなく,事実を基に構想を立て,表現し,批判するという人間の全体性を意味する。
・設定するめあては全員が達成可能で,各々が判断できる基準があり,努力と成果を労い合えるものとする。苦手な子にも見通しと意欲が持てることが大切である。
・毎時間の授業のめあてを生徒全員が共有し,授業の終末には達成度合いを振り返る。
・展開段階にペア学習やグループ学習など,一人ひとりの考えや思いを伝え合い深め合う場を位置付ける。
・授業の中に学習内容の定着を図る活動を位置付け,基礎・基本の確実な定着を図る。
・ノート指導に連動した板書を計画する。
・生徒による授業評価の活用を継続し,授業改善を図る。
・各種機器の活用や種々の手法を試し,生徒との双方向性のある活動的な授業づくりに取り組む。
・「なぜこの教材で教えるか」「なぜこの方法で教えるか」「その教材や方法は,子どもにとってどんな意味と価値を持つのか」という問いによって,いつも自分の教育を問い直し,議論し研究する。
・生徒の「魅力を感じる」・「夢中になる」・「意気込みを持つ」などの主体性や意欲を引き出す。
②学び続ける自分への自尊心を育てる
・一人ひとりの子どもの認知特性に配慮し,指導内容や指導方法の工夫を行う。記憶にも個人の特性差があり,聴覚型・視覚型・運動型などに得意さあるいは弱さを持つ場合が多いことを熟知する。
・教員が母語教育の大切さを認識して,知識を関連づけ統合して言語を表出させる試みを生徒に保証する。こうした生きた知識を活用し続けることで,主体的な学びが生まれていることに教員が気付く必要がある。
・この「生きた知識」を得るために大事なことは,学ぶ子どもが学ぶことを全体的に必要だと認識していることと,学んだ知識を使う練習をする機会がいつもあること。学校での学びはこの状態を目指せば必然的に主体的な学びになる。
・子どもたちが夢中で考え新たな知識を生み出す環境は,周りの子どもや大人とコミュニケーションを取りたくさせることで生み出すことができ,ここでの良い思いが自尊心を育む。
③家庭学習の取組
・『家庭学習の手引き』を活用し,全校で家庭学習習慣の定着を目指す。
・やる気・意欲は強制からは生まれないことを鑑み,自己選択と自己決定から練習させる。
・本人の主体性を花開かせ,自ら取り組みたくなる「家庭学習」を実現し,学習習慣の確立を支える。
・生徒が授業以外で学んできたことを,ことさら褒める。つまり,意思決定を支援し実現させる。
*特別支援学級の生徒は,個別の指導計画に基づいて支援を行う。
④音楽(合唱)の持つ教育力を生かす
・表現手段としての音楽は,教育的かつ治療的でもある。自分自身でどのように表現するかを企図し,実現することは,自己選択・自己決定の練習となる。また,相手に合わせた表現を工夫することは,
コミュニケーションにおける基本である。よって,音楽が持つ教育力を生かすことは計り知れない効果をもたらすことが期待できる。ただし,音楽を道具にはしない。
・音楽活動を通して得られる一体感・所属感・自尊感情に着目して,歌を通してつながり合う心を大切にする。これらを通して全ての生徒が自らを価値あるものとして感じることが最も重要である。
(2)社会性・規範意識の醸成
①秩序の意味を感じ取り,維持させる
・時間を守り,環境を整え,そして人に対する敬意を持った言動によって秩序をつくり出す。
・安全で安心な学校生活を言語化して意識させ共有し続けることで,秩序の維持を図る。
・正しい方法で主張すると,周りのみんなは誠実に応えてくれる日常を実現する。
②アサーティブなコミュニケーション
・自分も他人も尊重し,折り合いを目指すコミュニケーションの良さに気付かせ,指向させる。
・科学性や普遍性のある思考力・判断力・表現力の涵養と,自己実現を目指す道徳教育を進める。
・考え議論する道徳教育によって,自己有用感(自尊感情)と自己効力感(自分自身を客観的に見る力と効力予期,そして自己制御)を育む。
③意思形成~意志実現の練習を経て,自己選択~自己決定へ
・自主的・主体的に学び続ける根本には自己決定が担保される必要がある。自分の状態がわかり自分を制御するためには,自分で自分の意志を決めることの訓練が必要となる。
・いじめや問題行動につながらないよう「善悪の判断」がしっかりとできるように考えさせるとともに「正しいことをあたり前に実践することができる心」や「自分を律する心」を醸成し,
「みんなが居心地のいい落ち着いた学校生活」ができるように,自己有用感や自己効力感を育む。
(3)コミュニケーション能力
①国語科における言語能力を高める指導の充実を基に,各教科等における「言語活動」の充実を図る。特に,大勢に向かって発表する力を育てる機会を意図的に設定し練習させる。
②話し合いや発表する活動の作法を教え,実践させる。自分と他人の考えや思いを尊重する「アサーティブなコミュニケーション」を身につける。
③コミュニケーションの原動力は,「人に対する興味」と捉え,自分も相手も楽しく豊かになるかかわりを楽しむ人に育てる。
④「観察」「分析」「解釈」「講評」の論理的思考の作法を浸透させ,クリティカルな態度とエビデンスに基づいた主張の力を育てる。
⑤「自分が正しい方法で主張すれば,周りの皆は誠意を持って応えてくれる」ことを日常的に実現する。
(4)特別支援教育
①苦手・弱点に焦点を当て訓練・治療によって機能向上を図るような「欠陥モデル」とは訣別する。
②ありのままを受け入れ,多様性が認められる共生社会の実現のために,「社会生活モデル」や「共生モデル」を創出して,支援を利活用した自立を目指す生き方へ導く。
③生まれ育った地域での暮らしを展望し,地域づくりにも意を注ぐ。また,将来において必要な支援を受けながら自立していこうとする姿を全ての生徒の目標として支援に当たる。
④生徒一人ひとりの特性を捉え,生活自立・経済的自立・社会的自立・精神的自立を目指せるよう支援する。また個別の教育支援計画を活用し,保護者や地域・専門機関等との連携を図る。
⑤個別の教育支援計画及び個別の指導計画をもとに,小学校及び高校等との引継ぎを的確に行う。
⑥保護者と本人の思いや願いに寄り添う教育相談を定期的に行い,大空町教育相談員の指導助言を受け,各種の計画立案と点検・評価・改善に努める。
⑦障がいとは,生活することや学習活動において個別の困難さが生じ続ける状況であり,周囲の理解と支援によって個性となり得る。よって,個々の生徒の困難さに応じた指導内容や指導方法を工夫する。
この工夫は他のすべての子どもたちにとって有益かつ必要なものである。
⑧関係機関との連携を強化するために,地域に出向いて顔見知りを増やし,共に考え議論する。
(5)「授業力」「生徒指導力」などの教師力の向上
①校内研修を充実させ,校外の講座・研究会の参加奨励を通し,“教えるプロ”としての力量を高める。
②各当番活動・各種行事の取組など,生徒と教師が“協働共汗”を実践する。
③生徒とのふれあいを大切にし,共感的に生徒の声を聴き,不安や悩みにきめ細かく対応する。
④問題行動や逸脱等の予防に努め,誤りには毅然とした態度で生徒に対応し行動変容を促す。
⑤子どもにとっての「意味」と「価値」を常に検討し続け,自発的で主体的な学びへと誘う。
⑥子どもの行動に理を与え問題行動としない。そうせざるを得ない背景や動機に意を用いる。
(6)教職員の資質・能力の向上
①教職員が「子どもを第一」に考え,子どもの成長・自立のために英知を結集して実践する。
②全職員がチームで授業の改善を図っていく生き生きとした組織にする。
③「一生使える学び方や学習過程」を校内で統一することで,生徒の主体的な学びを支える。
④生徒が見通しを持って安心して学び浸れる授業をめざし,研修会・研究会等に参加する。
⑤学校評価の自己評価・生徒による授業評価・保護者アンケート・学校関係者評価等を活用する。
⑥子どもたちの認知特性の違いに対応し,生徒指導の三機能を生かした「自己決定の場を与える授業」「自己存在感を与える授業」「共感的な人間関係を育む授業」に取り組む。
(7)豊かな感性と生きる力を育む道徳教育
①自らを価値あるものと感じ,考え議論できる自尊感情を育む道徳教育を実践する。
②道徳科の地域公開を通して,家庭・地域の理解を得て,地域と共に子どもたちを育む。
③教科や諸活動で表現と鑑賞を体験させ,他者の表現に共感し鑑賞する能力や表現の力を高める。
④様々な体験活動を通し,生徒一人ひとりが共感的に理解し合い,自他を尊重する態度を育む。
(8)生徒指導・教育相談
①カウンセリングマインドをもち,共感的な態度で生徒に接する教育相談を日常化する。
②生徒と教師が「ふれ合う時間」を創出し,コミュニケーションを通じて生徒と教師の信頼を強める。
③「自己選択」・「自己決定」を尊重するため,「意志決定」「意志実現」からの支援を想定する。
④個々の子どもの価値との尊厳に基づき,自尊感情(自己有用感・自己肯定感)を育む。
⑤Q-Uやアセス等を活用し,生徒の人間関係を客観的に捉え,よりよい人間関係に導く。
⑥問題行動やいじめ・不登校の早期発見・早期対応に努め,持続可能な予防的・開発的関わりを探る。
※不登校傾向の生徒への対応については,担任一人が抱え込まないように,組織での情報共有を図り,子どもの自立を目指した目標と手立てを保護者と共有しながら改善の様々な取組を行うなど,協働体制をとる。
「不登校生徒への指導経過の記録」を継続的に記録し,欠席30日以上となった場合は『大空町「不登校」に関する児童生徒指導報告書』を提出し,町の教育相談員と協働し指導や支援にあたる。
また,いじめの未然防止においては,「いじめ防止対策推進法」で規定されている「学校いじめ防止基本方針」「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」に基づく体制をとり,組織的に取り組む。
⑦秩序ある生活を希求し,周りと協力して秩序を生み出し維持できる生徒集団に育てる。
⑧サポートファイルなどを活用して教職員間の情報を共有し,組織的に対応する。
⑨生徒指導上の課題が生じたり案じられる時,正確な事実を集め,保護者宅を訪問し情報共有する。
⑩たより・懇談会等で情報を提供し,家庭・地域と連携を図り,地域や保護者の思いに寄り添う。
(9)教職員の“チーム力”の向上
①組織内における「報告・連絡・相談・確認・記録」のためサポートファイル等を活用する。
②生徒の問題行動や危機管理に関する事故が起きた時は,「生徒指導マニュアル」に基づき対応する。
③個人が抱え込まないよう,分掌・学年部会を定期的に行い,各種委員会などと連携を図る。
④学級担任・コーディネーターが主導し支援計画を立案して,チームの力を結集する。
(10)キャリア教育・産業教育
①職場体験などを通して,「勤労の意義」や「働く人々の思い」がわかる教育活動の工夫を図る。
②総合的な学習の時間にキャリア教育を位置づけ,系統的な学習を積ませる。
③自分のよさや個性に気付かせる自己有用感を育て,肯定的な将来像とレジリエンスを持たせる。
④進路希望と自分の見通し(効力予期)に基づいて,達成に向け努力する態度を育む。
⑤本人の自己理解を大切にする。就労を維持継続するための因子を科学的に捉えておく。
(11)学校間の連携・接続の推進
①異校種間における授業参観交流を推進する。特に小学校や高校と交流し円滑な接続に資する。
②生徒指導観や生徒理解の方法など,立場の違いを知り生徒指導の充実にかかわる連携・交流を図る。
③児童生徒理解を深めるため,小学校・高等学校との引継では保護者との相談内容等も交流し合う。
④異校種間の教育活動を相互に乗り入れ,年間の行事予定に位置づけて効果を高める。
(12)学校組織の活性化
①教職員間の「報告・連絡・相談・確認」を徹底することで,日常的に補完し合う。
②ねらい・内容・方法を互いに確認しながら,個々の教職員の創造性や指導力を十分に発揮し合う。
③危機管理に対する理解に努め交互に確認することで,組織を日常的に機能させる。
④あらゆる場面で保護者とのコミュニケーションを深め, お互いの思いを正しく伝え合う。
(13)“信頼される開かれた学校”づくり
①学校教育目標達成のため全教職がまとまり,学校経営への参画を教師一人一人が強く意識する。
②学校評価を通して保護者・地域の願いを受け止め,具体的な改善の方策を立て公表する。
③家庭訪問・たより・参観日・教育活動の公開・懇談会等を通し,学校の情報を積極的に提供する。
④日常の指導の結果としての“生徒の変容”をもって,保護者や地域住民からの教職員への信頼を得る。
⑤PTA・地域行事に積極的に参加し,コミュニケーションを深め,連携の基盤をつくる。
⑥教職員の服務規律の徹底と規範意識の向上を図るため計画的に研修を積む。
⑦「地域と共にある学校」の実現のため,地域人材・素材を活用し幅広い学習活動を展開する。
⑧教育課程を開き,地域の教育力を借り,学校での学びを地域で試す。
⑨自ら学ぶ力を基礎学力の要素とし,子どもが授業外に地域で学んだことを,ことさら認め褒める。
(14)突発的・今日的課題への即時対応
①重い通学カバン,交通安全,自転車のヘルメット
②学習不振に困っている生徒
③学校へ足や心が向かない生徒
④新しいメディア・コミュニケーションツール
⑤HSP(Highly Sensitive Person)・OD(Orthostatic Dysregulation)など
⑥UDフォント,人名用フォント
4 職員数
〇職員数 19名
校長 竹 次 康 人
教頭 1名,教諭 13名,養護教諭 1名,事務職員 1名,校務補 1名,ALT 1名,司書 1名