abstract

第28回

関 真一朗氏(大阪大学・D2)

「有限多重ポリログの関数等式について」

アブストラクト:

近年, 多重ゼータ値やポリログの有限類似が定義されて研究が進められている. 実際, 有限多重ゼータ値が

Hoffman, Zhao, 金子, Zagier等によって研究されており, 有限ポリログがKontsevich, Elbaz-Vincent,

Gangl, Besser等によって研究されている.

本講演では, 多重ポリログの有限類似であり有限多重ゼータ値および有限ポリログを一般化した対象である

有限多重ポリログを導入し,それらの関数等式が得られたので報告する.

関数等式の証明はEulerの恒等式と呼ばれる二項係数を含んだ多項式の等式を一般化することによって行われる.

それらの証明で重要となる"truncated integral operators"を解説し, 関数等式の応用として得られる有限多重

ポリログの特殊値に関する結果も紹介する.時間が許せば有限多重ポリログに関するこれからの研究課題を述べる.

本講演内容は佐久川憲児氏との共同研究に基づく.


小野塚 友一氏(名古屋大学・PD)

「等号付き多重ゼータ関数の非零領域」

アブストラクト:

この講演では多重ゼータ関数を一般化した多重ディリクレ級数を扱う. まず初めに準備として数論的関数を

多変数化した多重数論的関数について, ディリクレ積など1変数の数論的関数に対して成り立っていた性質が

多変数化によってどう変わるのかを見る.

その後, 多重ディリクレ級数の非零領域についての結果を話す. この結果は等号付き多重ゼータ関数には

適用できるが, Euler-Zagier型多重ゼータ関数には適用できない. その理由も講演の中で述べる予定である.