Outcomes
研究成果
研究成果
(修士論文)
幼児同乗自転車を考慮した路面評価手法の構築(真田拓磨)
運転者心理に着目した路面標示によるロードキル対策について(宝寄山颯太)
Physiopsychological Evaluation of Pavement Surface in Sidewalks for Accessibility Improvement of Vulnerable Road Users(SERGELEN BAYARCHIMEG)
(卒業研究)
区画線劣化区間における矢羽根が運転行動に及ぼす影響について(安部俊輝)
道路標識の劣化が運転者の認知負荷に及ぼす影響について(大下崇人)
路面凹凸評価に資する旅行用スーツケースのモデル化(田渕友乃)
美幌町におけるヒグマ出没地点の地理情報分析(日高晴太)
美幌町におけるヒグマ出没時の気象分析(前田真希)
(修士論文・秋)
Human-centered Road Asset Management Considering Surface Properties and Two-wheeler Interaction(PANDEY PRAKRITI)
(卒業研究・秋)
生理反応を用いた利用者評価に基づくポットホール評価(戸崎孝大)
(博士論文)
Improvement of Prioritization and Treatment Method on Pothole Maintenance in Asphalt Pavement Considering Road User Safety and Comfort(LIJALEM YALEW MELESE)
(修士論文)
地理情報を考慮した利用者評価に基づく路面管理手法の確立(伊藤将光)
Effect of Transportation Delays and Ambient Temperature on Hot Mix Asphalt Performance(ASMANE ENDALE DEMESSIE)
Impact of Road Geometry and International Roughness Index on Pavement Maintenance Prioritization Considering Psychological Cognitive Response(PETRONILA NYANCHOKA OMBASA)
(卒業研究)
路面段差を考慮した自転車歩行者すれ違い時の安全性評価(香川一説)
GISを活用した歩道路面情報の可視化と一元管理(盛 祥平)
車両挙動と反応時間に基づく区画線の劣化度評価(諸星 蓮)
高齢者体験キットを装着した歩行試験による路面評価手法の検討(吉田 昴)
スーツケースの振動特性と利用者の生理反応を考慮した路面評価(吉田敬子)
ベビーシートを考慮した国際ラフネス指数に基づく路面平坦性評価(濱西宏太郎)
(修士論文)
人間中心設計に基づく生理心理反応を活用した路面評価 手法の開発(稲木万玲)
歩行空間における道路利用者の筋活動に着目した路面評 価手法の開発(佐々木賢一郎)
道路空間におけるマイクロモビリティを対象とした路面 評価手法の開発(西海隼人)
Optimization of Road Asset Management based on the International Roughness Index Considering the Trip-Based Model and User Satisfaction(GATOT VIRGIANTO)
(卒業研究)
路面のわだち掘れが自動運転時の心理負荷に及ぼす影響について(齊藤恭佑)
自転車の幼児用座席を考慮した路面プロファイル解析手法の検討(真田拓磨)
Evaluation of the Pothole Repair Quality by use of the KIT Driving Simulator(HAFIZIN SYAHMI BIN SUHAILI)
地方公共団体のインフラ健康診断に資する舗装個別施設計画の実態把握(水木 楓馬)
(修士論文)
利用者意識を考慮した車両挙動解析に基づく路面平たん性評価(片岡俊徳)
パーソナルモビリティを活用した三次元情報に基づく歩行空間の路面評価(幸谷 宥毅)
(卒業研究)
地域の道路環境を考慮した人間中心の路面管理(伊藤 将光)
路面平たん性が自転車の幼児用座席に及ぼす影響(高島 奏人)
筋活動電位に基づく歩行空間におけるブロック系舗装の路面評価(坪井 颯汰)
路面平たん性を考慮した運転者の反応時間に対する音楽聴取の影響について(西岡 佑)
幼児用補助装置の利用を考慮した自動車の振動特性に基づく路面評価(村瀬 景亮)
積雪寒冷地の路面温度変化に基づく平たん性低下リスクの評価(森下 結葵)
(卒業研究)
生理情報に基づく人間中心の走行路面評価(稲木万玲)
積雪寒冷地における気象を考慮した路面評価(小林 叶)
歩行空間における筋活動電位を用いた路面評価(佐々木賢一郎)
地方公共団体におけるIRIを活用した舗装マネジメント(谷口康太)
電動キックボードを対象とした道路空間の移動性評価(西海隼人)
(修士論文)
生理情報を用いた路面性状に対する利用者意識の定量化(高橋 優太)
(卒業研究)
パーソナルモビリティを活用した効率的な三次元点群計測手法の開発(幸谷 宥毅)
三次元計測機器による路面縦断凹凸の計測特性について(板垣 智哉)
ドライビングシミュレータを用いた積雪寒冷地におけるラウンドアバウト走行時の心理負担評価(作内 響生)
利用者の生理情報を考慮した高速道路の平坦性評価(鈴木 崚太)
視線運動に基づく景観情報を考慮した路面の快適性評価(望月 香苗)
イメージハンプの管理状況が走行車両の速度抑制効果へ与える影響について(渡部 志保)
IRI を用いた舗装マネジメントにつながる路面点検手法の適用性拡大(松山 航己)
(修士論文)
簡易路面測定技術とICTの融合による舗装管理システムの構築(天池竜輔)
(卒業研究)
地上型レーザースキャナーとGNSSを組み合わせた三次元点群計測の効率化(菅原 颯一)
局部変状を考慮した国際ラフネス指数による路面評価(古山 聖也)
地理空間情報に基づく簡易路面モニタリングの信頼性向上(松嶋 真也)
シニアカーを用いた路面段差量の推定(渡邊 大輝)
(卒業研究)
ハンプ通過時の車両振動が運転者の生理心理に及ぼす影響(大島 愛)
国際ラフネス指数とヒューマンファクターを統合した路面評価(木下 航希)
積雪寒冷地に対応した逆走防止のための機能的な路面形状の検討(高橋 優太)
超小型モビリティの振動加速度に基づく路面特性評価(森田 豪)
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C),代表,2023年4月〜2026年3月(予定)
研究概要
近年,誰もが安全・快適に利用できる移動環境の実現に向け,世界的に人を中心とした歩行空間構築に対する需要が高まりをみせている.一方,人との接点となる路面の既存評価手法は車道を対象としたものが主であり,歩行空間への適用が困難となっている.そこで本申請課題では,歩行空間における移動形態の多様性および面的な動線の広がりを考慮し,歩行者および小型モビリティ利用者の生理心理反応に基づく人間中心の路面評価手法の開発を目的とする.具体的には,(1) 路面の三次元計測により人に影響を及ぼす路面凹凸を把握し,(2) 信号処理手法を駆使した路面の三次元解析によりその影響を可視化するとともに,(3) 利用者の潜在的および顕在的な生理心理反応に基づく路面評価手法の確立と妥当性の検証を行う.申請課題で得られる成果は,道路の多様な移動形態に対応した,科学的根拠に基づく合理的な路面評価の新基軸となるものであり,持続可能な歩行空間の整備に寄与するものと期待できる.
2024年度
今年度は,構内通用路および地方公共団体の協力を得て実道において,歩行,自転車および自動二輪(スクーター)走行試験ならびに三次元路面計測を実施した.
歩行試験では,高齢者体験キットを用い高負荷時の歩行を再現した際の筋電位と,観光需要増加に鑑みスーツケース利用時の心拍変動によるストレスの計測を行なった.その結果,歩行時の筋負荷ならびにストレスに影響を及ぼす路面の特徴を明らかにした.
自転車走行試験では,特に路面が幼児用座席に及ぼす影響に着目した計測を行なった.その結果から,幼児用座席に生じる路面由来の振動をモデル化することができた.この結果から,サイクリストのみならず,意思表示の困難な幼児への影響を考慮した自転車通行空間の路面維持管理つながる成果を得た.
スクーター走行試験では,乗り心地に影響する路面の特徴を波長分析により明らかにするとともに,路面に起因するスクーターの振動モデルを構築した.アジア諸国では,歩車道の区別が曖昧かつ自動二輪が主たる移動手段となっている国も多く,従来の車道を対象とした評価では利用者評価と乖離が生じる場合があり,本研究成果は,路面評価の新基軸になるものといえる.
さらに本研究では,三次元計測により得られた路面の点群データをGIS(地理情報システム)上で可視化し,上述の歩行者やモビリティの安全性・快適性に影響する路面凹凸の効果的な管理手法について提案した.
2023年度
本研究課題では,道路の多様な移動形態に対応した合理的な路面評価手法の確立を目的に,今年度は,歩行と電動キックボードおよび自転車を対象に,既存研究を整理し北見工業大学構内において路面計測と利用者試験を実施した.
歩行試験では,筋活動電位を計測し得られた歩行者の脚部筋肉に対する負担と,歩行空間における面的な動線を考慮し三次元的に計測された路面性状の関係を明らかにし,三次元点群のコンター図により,歩行者が負担に感じる地点を可視化できる可能性を見出した.
電動キックボードの走行試験では,路面を入力とした振動モデルを構築し乗り心地指標を提案するとともに,主観評価との相関性を確認した.さらに,本研究では,電動キックボード利用者の生理心理反応に着目し,皮膚電気活動から乗車時の精神的ストレスの把握を試みた.その結果,走行速度が上昇するにつれ路面由来のストレスも増加する傾向が示されたものの,操縦安定性のような路面以外の影響も大きく,生理心理反応により潜在意識を把握する上での課題が明らかとなった.
自転車の走行試験では,特に幼児用座席に対する路面の影響に着目し,路面プロファイルと車両振動の相互作用分析から,幼児への危険性が懸念される路面の段差量の目安を示し,利用者の安全性に立脚した路面管理に直結する成果を得た.
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C),代表,2019年4月〜2023年3月
研究概要
近年,シニアカーに代表されるハンドル型電動車椅子が,高齢者や障がい者の移動負担を軽減するための歩行補助用具として注目されています.その一方で,社会基盤の老朽化に伴い,路面の凹凸に起因するハンドル型電動車椅子の乗り心地の低下が懸念されいす.しかし,既存の歩道路面評価は車椅子や歩行者を対象としたものが主であり,誰もが安心して利用できる歩行空間の形成には,ハンドル型電動車椅子のようなパーソナルモビリティの乗り心地を考慮した評価が必要となります.そこで本研究は,ハンドル型電動車椅子の乗り心地に関係する路面特性を明らかにし,路面凹凸を測定し把握する「点検」と点検結果に対する「診断」を一体化した,歩道路面の評価システムの開発を目指しています.
2022年度
最終年度となる2022年度は,これまで開発を行ってきたハンドル型電動車椅子と地上型レーザースキャナーを組み合わせた三次元計測システムによる点検と,点検結果に対する利用者評価に基づいた診断について,構内試験ヤードでの検証に加え,地方公共団体の協力を得て供用中の歩道を対象に実証試験を実施しました.その結果,計測システムを用いた点検手法は,実道においても,ミリメートルの高さ解像度を得ることができ,効率的に運用可能であることが確認しています.また,得られた三次元データに対し,Dual-tree複素数ウェーブレット変換により歩道に固有の路面変状を抽出し可視化することで,歩道における維持修繕区間の合理的な決定につながることを示すことができました.点検結果に対する診断では,国際規格であるISO2631-1に基づき,走行時の振動乗り心地を評価したところ,歩行や目視では気づかない路面凹凸に対しても不快と感じる場合があることを確認されました.その原因として,ハンドル型電動車椅子の振動乗り心地に関連する路面凹凸は,波長0.05〜0.5 mと短い波長が支配的であることを明らかにし,今後の路面管理につながる知見を得ています.最後に,点検で得られたデータをドライビングシミュレータで再現することで,道路利用者の視点で直接診断が可能な,仮想現実を活用した歩道路面評価システムを構築しました.
2021年度
2021年度は,ハンドル型電動車椅子と地上型レーザースキャナーを組み合わせた三次元計測に基づく独自の走行路面の点検手法について,歩道上で運用が可能となるよう実用性を高め,計測精度について既存の路面計測技術との整合性を確認しました.また,得られた三次元点群データを元に,Dual-tree複素数ウェーブレット変換を用い,路面変状を可視化する手法を開発しました.本手法は,パーソナルモビリティの走行路面において着目する変状成分を理論的に抽出可能であり,三次元計測データの効率的かつ合理的な解析に寄与するものです.加えて,歩道に適用される種々の舗装路面において,ハンドル型およびジョイスティック型の電動車椅子を用いた走行試験を実施し,パーソナルモビリティに影響を及ぼす路面特性について車両振動との相互作用の観点から分析し,車道に比してより詳細な路面テクスチャによる影響が支配的となることを明らかにしました.
2020年度
2020年度は,歩道など自動車の進入が困難な箇所における新たな路面調査手法の開発を目指し,ハンドル型電動車いすと,地上型レーザースキャナー(TLS: Terrestrial Laser Scanner)および全球測位衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)を組み合わせた道路の三次元計測手法について検討を行いました.特に,本研究では,TLSとGNSSを組み合わせることで,レジストレーションと呼ばれる異なる地点から計測された点群データの合成に必要なターゲットを省略した方法を提案し,歩行空間でも安全かつ効果的に面的な路面凹凸を計測可能な三次元計測手法について検証を行なっています.その結果,本手法は,従来手法と比較し同等の精度かつ短時間でワンマン計測が可能であり,またGNSSより得られた位置情報を活用することで,効率的にレジストレーションが可能であることが明らかになりました.本研究成果は,歩道のような幅員が狭い道路や,ターゲットの設置が困難な場所および人通りが多く短時間で計測の実施が必要な空間における面的な路面調査の効率化に寄与するものと期待できます.
2019年度
2019年度は,歩行空間の維持管理上重要となる路面特性について明らかにするため,電動車いすによる走行試験を実施し,路面凹凸に対する電動車いすの振動応答にについて検討を行いました.その結果,サスペンション付き電動車いすに生じる上下振動は,車体側ではメガテクスチャ(路面波長50〜500 mm)の,車軸側ではマクロテクスチャ(路面波長0.5〜50 mm)の影響を受けることが明らかとなりました.特に,車体側の固有振動数は,人の着座時における上下振動の高感度域(4〜8 Hz)の振動であり,路面のメガテクスチャが電動車いすの乗り心地に影響するものと示唆されました.また,様々な試験路面の路面特性指標と電動車いすの上下振動との相関関係を確認したところ,路面テクスチャの代表的な指標である平均プロファイル深さ(MPD:Mean Profile Depth)と電動車いすの振動の間に高い相関関係がみられた一方で,代表的な路面のラフネス指標である国際ラフネス指数(IRI:International Roughness Index)との相関はみられませんでした.以上のことから,電動車いすは,車道を走行する自動車と異なり路面のラフネス成分に対する感度が低く,歩行空間の路面評価にはテクスチャの評価が必要であることを明らかにしました.
本走行試験の実施にご協力頂いた,大林道路株式会社関係各位に厚く御礼申し上げます.
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B),代表,2015年4月〜2018年3月.
研究成果の概要
道路と人との接点となる路面の管理には,車両走行時の安全性や快適性など,質的満足度の向上を目的とした対策が求められています.しかし,既存の管理手法は,時間とともに変化する路面由来の潜在疲労へ未配慮であることから,利用者評価との間に乖離が生じていました.本研究は,道路管理と利用者評価の間に生じた乖離を埋めるための研究であり,「受動疲労」と定義した路面由来の精神疲労計測に基づき,時間依存性を考慮した合理的な走行路面評価手法の開発を目指しています.これまでの研究状況は以下の通りです:
平成27年度
実際の路面損傷実態を把握するため,北海道の中核都市における市街地道路の広域・高密度の路面調査を実施しました.その結果,幹線道路における国際ラフネス指数(IRI)の平均は2.9mm/mと,「新設舗装」から「供用後の舗装」相当であるのに対し,生活道路では5.0mm/mと,「供用後の舗装」から「損傷を受けた舗装」相当であることがわかりました.また,調査結果を基にIRIの確率密度モデルを設計し,地理情報システムにおいて路面情報を可視化する方法を提案しています.
受動疲労の基礎解析を目的に,ドライビングシミュレータを用いた走行試験を実施し,時間依存性を考慮した路面評価における心拍変動指標の有効性について検証しました.その結果,心拍変動の高周波成分(HF)および低周波/高周波成分比(LF/HF)に着目し,国際ラフネス指数(IRI)との関係をモデル化することで,車両走行時の時間変化に依存した,受動疲労に基づく路面評価の可能性を見出しました.また,受動疲労を考慮した幹線道路におけるIRIの許容水準について検討したところ,IRI=5.2mm/mが目安になるとの結果を得ました.なお,この研究成果により,土木学会舗装工学委員会から第二十回舗装工学奨励賞が授与されました.
平成28年度
受動疲労は,路面由来の精神疲労と定義しています.そのため,ドライビングシミュレータにより走行試験を実施し,車両乗員の疲労を把握するためには,正確な路面凹凸(プロファイル)の把握が必要不可欠です.本研究では,国内で稼働する29台の路面測定装置について,繰り返し測定による反復性*1および基準プロファイルとの比較による移植性*2の観点から,路面プロファイルの測定精度を明らかにしました.この研究成果は,路面測定装置の精度検証だけでなく,走行シミュレーションに用いる路面データの妥当性を示すために有益なもと期待できます.また,本研究で得られた各種測定装置による路面測定データは,今後の路面評価研究において活用可能な,重要な情報といます.(*1 同一の測定装置で同じ凹凸を繰り返し測定した場合に,どの程度同じ結果が得られるかを表します.*2 設計の異なる測定装置と測定結果を比較した場合に,どの程度同じ結果が得られるかを表します.)
昨年度までの研究により,心拍変動の高周波成分(HF)および低周波/高周波成分比(LF/HF)に着目し,路面の平坦性を表す国際ラフネス指数(IRI)との関係をモデル化することで,車両走行時の時間変化に依存した,受動疲労に基づく路面評価の可能性を見出しました.今年度は,LF/HFを心拍変動指標とし,走行開始からの経過時間とIRIを合わせ,LF/HFに及ぼす影響をモデル化することで,時間依存性を考慮した路面評価が可能となることを示しました.本研究成果は,平坦性を目的地間距離や休憩施設間の走行時間など,交通特性と合わせ検討することで,道路ネットワークにおける合理的な路面の維持修繕計画策定に寄与し,その結果,移動時における乗員の疲労や交通事故の低減に貢献するものと期待できます.
平成29年度
路面のラフネス(縦断方向における凹凸)の評価は,路面の物理特性と人の生理や心理に関する情報の定量的な把握が必要であるため,ラフネスデータの解釈は非常に複雑です.平成29年度は,路面凹凸の物理的な特性と,人の認知処理に関わる心理反応および精神的ストレスに関わる生理反応との関係について,ドライビングシミュレータを用いた走行試験を実施し検討しました.平成29年度に得られた研究成果は以下の通りです.
心理反応に基づくラフネス評価の結果,試験参加者は,代表的な路面凹凸の指標である国際ラフネス指数(IRI)の増加に伴い,人の認知に関わる反応時間が減少するグループと増加するグループに判別できることが確認できました.特に後者は,IRIの増加に伴い反応時間が有意に増加し,ラフネスが乗員の快適性のみならず安全性にも影響を及ぼすことが示唆される結果となりました.
生理反応に基づくラフネス評価の結果,心拍変動の高周波成分(HF)および低周波/高周波成分比(LF/HF)により,車両振動刺激に対する振動感受性の差が精神的な疲労の蓄積に影響することを示すことができました.
研究期間(平成27年度~平成29年度)を通じて得られた成果を要約すると以下の通りです.
(1) 反応時間と心拍変動指標を統合し,ラフネスに対する生理心理反応について検討し,路面由来の精神疲労と認知に関わる注意資源の間の関連性を示すことができました.その結果,ラフネスの増加は,精神的ストレスの増加に伴う快適性の低下のみならず,疲労の増加に伴う安全性の低下につながることが明らかとなりました.
(2) 人の生理心理反応に基づき,ラフネスの許容限界について検討したところ,幹線道路における快適性および安全性を考慮した値として,IRI = 5.4 mm/mを得ました.この結果は,物理・心理・生理指標に基づく既往のラフネス評価結果と整合し,またそれらを裏付けるものとなっております.
独立行政法人日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B),代表,2013年4月〜2015年3月(完了).
研究成果の概要
車両の乗員は,常に路面由来の車両振動にさらされています.その結果として,乗車時の疲労が蓄積していくと考えられます.しかし,これまでの研究では,路面が車両乗員の生体疲労に及ぼす影響は明らかにされていませんでした.そこで,本研究では,路面由来の生体疲労を「受動疲労」と定義し,受動疲労に基づく路面平坦性(凹凸)評価について検討しました.その結果,脈波加速度より得られた心拍変動の低周波成分(LF)と高周波成分(HF)の比であるLF/HFをモニタリングすることで,長期的なストレスを把握でき,受動疲労の評価につながることを明らかにしました.また,HFは,短期的なストレスと関係し,乗り心地などの快適性評価に有効であることがわかりました.