Post date: Dec 18, 2017 2:29:59 AM
2017年12月7・8日に札幌市教育文化会館(北海道札幌市)で開催された土木学会第22回舗装工学講演会へ参加し研究成果の発表を行いました.
発表した研究:
富山 和也,川村 彰,Riccardo Rossi,Massimiliano Gastaldi,Claudio Mulatti:路面のラフネスに対する車両乗員の生理心理反応と許容限界評価,土木学会論文集E1(舗装工学),Vol.73,No.3(舗装工学論文集第22巻),pp.I_89-I_96,2017年12月.
本研究は,JSPS科研費( 若手研究(B)および基盤研究(B))の助成を受け,Padova大学(伊)の研究者と共同で実施しているもので,路面のラフネス(平坦性)と人の精神的ストレスおよび認知処理に関わる生理心理応答との関係について,ドライビングシミュレータを用いた走行試験により検討したものです.その結果,平坦性の増加に伴い,心理応答である反応時間が有意に増加する場合,生理的な心拍変動指標により定量化された短期および長期的な精神的ストレスが共に増加することを明らかにしました.この結果から,平坦性の増加が、快適性の低下のみならず,疲労の増加に伴う反応時間の増加により安全性の低下につながることを示しました.また,従来の平坦性に関する研究は,国際ラフネス指数(IRI)による物理指標と,主観的なアンケートに基づく心理指標もしくは心拍や脳波などの生理指標との関係から検討されていましたが,本研究では,物理・心理・生理情報を統合したアプローチにより,既存の評価手法に対しても合理的な解釈を与える成果を得ております.
北海道では全国に比べて自動車による交通分担率が高く,社会基盤および人口構造の高齢化が急速に進行する今日,本研究成果は,安全・安心で快適な道路交通環境整備に寄与するものと期待できます.
また,本研究成果により,土木学会舗装工学委員会より舗装工学論文賞を受賞しました.今年度は若手研究(B)の最終年度となりますが,これまでの研究成果をまとめた論文が評価されたことは大変喜ばしく今後の励みとなります.