KSP491st

第491回関西社会心理学研究会(KSP)は,京都橘大学の山口裕幸さんと,帝塚山学院大学の秋保亮太さんにご発表いただきます.是非多くの方にご参加いただければ幸いです.研究会への参加は事前申し込み等必要なく,どなたでも歓迎です.

【日時】2024年76日()14:00-17:00

【会場】大阪大学中之島センター6階 セミナー室6A+Bアクセス

【発表者】山口裕幸(京都橘大学)・秋保亮太(帝塚山学院大学)

【概要(山口)】チームワーク研究の「これまで」と「これから」

チーム・ダイナミクスの過程で創発される特性として注目したチームワークについて、細々と続けてきたこれまでの研究の内容を総括するとともに、そこから生まれてきている新しい研究課題と、生成AIの急速な発展によってチーム活動のありように大きな変化が生まれることをproactiveに捉えたときに見えてくる研究と実践の課題について議論する。

【概要(秋保)】クロス・ファンクショナル・チームにおける外部環境の認知の相違

グローバリゼーションやICTの発展などに伴い,チームを取り巻く環境は複雑性を増し続けています。これに柔軟に対応するべく,チームの取りうる形態についても多様性が高められてきました。特に,近年は複数の異なる部門のメンバーから構成されるチーム,クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)が注目を集めています。

CFTは,単一の部門メンバーによって構成されるチームと比較して,メンバーがより多くの専門的知識や価値観を有するため,多角的に問題解決を目指すことが期待できます。ところが,本来はチームに力をもたらすことが想定されている知識や価値観の豊富さが,タスク遂行時に齟齬を生み出し,連携を難航させてしまう事例も数多く報告されています。例えば,CFT内で外部環境の認知に相違が存在していると,チーム活動の基本的方針から定まらない事態を招く恐れがあります。

このようなメンバーの認知の共有あるいは相違に関しては,チーム認知という概念から議論が行われてきました。しかし,従来のチーム認知研究の多くはチーム内部の物事(e.g., タスクの進め方,メンバーの専門的知識)の認知に重点を置いており,外部環境の認知に関しては十分に検討が行われてきませんでした。

そこで本発表では,CFTにおける外部環境の認知の相違の測定を試みた上で,それがCFTに及ぼす影響について検討を行った一連の研究をご紹介したいと思います。その際,チーム研究を行う際の苦労などについてもお話できれば幸いです。ぜひ,多くの皆様からご意見をいただければと存じます。

【懇親会】会場周辺で開催します.参加申込は締め切りました.

【共催】大阪大学大学院人間科学研究科