サブプライムショックでは、最上位の格付が与えられていた金融商品が、次々デフォルト(お金が約束通りに返済されないこと)を起こし、大混乱が生じました。
ここでは、その発端とも言える格付について、どのように格付が行われているか、その手法の概要を紹介しています。
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格付の算出手法
格付は、それぞれの格付機関が独自に算出するものなので、会社によって結果は異なります。ただし、どの格付機関においても、企業や債券の信用リスク(お金が約束通りに支払われないリスク)を計測するものであり、基本的に似通った結果に帰着する傾向があります。
さて、この格付の算出手法ですが、各社独自の詳細な計算方法がありますが、どの手法も、大きく分けて定量分析と定性分析の2つの手法に分けることができます。
①定量分析
過去のデータを用いて、統計的な手法を用いて、将来の信用リスクを計測する手法です。
イメージとしては、「過去にこのような財務状態の企業が1000社あり、そのうち10社が倒産している。なので、同じような財務状態にあるこの企業が10年以内に倒産する確率は1%だ!」といったものです。(あくまでイメージです。)
この手法のメリットは、過去のデータに基づいており、同じ環境が続く中では、同じようなことが起こる可能性は高く説得力が高いことです。
一方デメリットは、急激な環境の変化など、過去に起きたことがないケースには対応が難しいことです。例えばサブプライムローン問題のように過去あまりデフォルトしなかったために高格付だったものが、環境の変化によって大量にデフォルトすることとなり、市場に大混乱を引き起こしたのは記憶に新しいところです。
②定性分析
定量分析とは違い、数字に表れない情報から将来の信用リスクを計測する手法です。
これは、例えば、経営者に最近の状態をヒアリングしたり、また、税制などの環境の変化の影響を捉えたりすることで、個別の企業や債券などへの影響を分析していく手法です。
この手法のメリットは、過去のデータだけでは捉えられない要因を信用リスクへ反映できることです。
一方デメリットは、定性的な要因が信用リスクへ与える影響を的確に分析し反映するのが難しく(参考にできる過去の事例などがないケースが多い)、数字に落とした際に説得力に劣る部分が生じるやすいことです。
なお、各格付機関とも、定量分析・定性分析の両手法を用いて、総合的に信用リスクを判断しています。他にもストレステストなど、細かく記載すればきりがありませんが、ひとまずは上記の2手法をおさえておきましょう。
格付機関の格付手法の詳細
より細かい格付手法については、各格付機関で基準や方針が開示されているので、以下のリンクを参考にしてください。業種や、債券の発行体の性質などによって重視するポイントが異なるため細かい部分で手法は異なっています。
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