チェッカー・ドラフツ(以下、ドラフツと略します)は、世界中で楽しまれており、各国固有の種類があります。少しずつルールが異なっています。
ここでは、日本人プレーヤーが参加している国際試合で競技されているドラフツをご紹介します。
「ドラフツ100」または「インターナショナル・ドラフツ」は、世界ドラフツ協会の国際大会で主にプレイされるドラフツです。
インターナショナル・ドラフツの歴代世界チャンピオンは、ロシア・フランス・オランダの3カ国がほぼ独占しています。この3カ国に加え、ロシアと関係の深い東欧各国やモンゴル、フランス・オランダの植民地エリアのアフリカ・東南アジアで広く楽しまれています。
ポーランド発祥のルールのため「Polish」と呼ばれることもあります。「ドラフツ100」という呼び名は、10x10の盤を使うためです。「ドラフツ10x10」と呼ばれたりもします。
ルールはこちらで紹介していますが、他の種類のドラフツとの比較でいうと、
10x10の広さの盤面を使う
フライング・キングと呼ばれる、強力なキング
「多い方を取らなくてはならない」ルール
に特徴があります。
8x8の盤を使う他の種類のドラフツより盤面が広いため、戦略要素がより強く、また「多い方を取らなくてはならない」ため技にかかると一気に決まってしまう特徴があります。
次の動画は2016年のワールドタイトルマッチの動画。オランダ人同士の対局ということでオランダでは盛り上がっていたようです。
「ドラフツ64」または「ブラジリアン・ドラフツ」は、南米で盛んなドラフツです。ドラフツ100とともに国際ドラフツ連盟で公式ルールが定められており、国際大会も盛んです。
ルールは盤の広さ以外、ドラフツ100と同じです。ドラフツ100との比較でいうと、
8x8の広さの盤面を使う
ことに特徴があります。
10x10のドラフツ100より盤面が狭いため、「戦略的な広さ」より「戦術的な深さ・激しさ」に特徴があります。コンビネーションが決まるとあっという間に終わってしまうこともあります。
なお、初心者の方には、ドラフツ100から始めるよりドラフツ64から始めるのがお勧めです。ドラフツ64のほうが手数が短く手軽に楽しめます。
また、盤面が狭いため研究が進み引き分けが多くなったため、公式戦では、初期盤面指定方式でプレイされることもあります。また、先手後手の有利不利をなくすため先手後手を入れ替えて2局で一試合とするものもあります。
次の動画で、ドラフツ64の楽しさの一端がわかるかと思います。
「ドラフツ64(ロシアン)」はロシアを中心に東欧諸国で盛んなドラフツです。毎年国際大会も開催されています。
ドラフツ100との比較でいうと
8x8の広さの盤面を使う
「多い方を取らなくてはならない」ルールはない
ドラフツ100は最奥ラインを通り過ぎるだけではキングにならないが、ロシアンは通り過ぎる場合もキングになる
というところに特徴があります。
「チェッカー」は、アメリカ・イギリスを中心に楽しまれているドラフツです。
アメリカが舞台のエドガー・アラン・ポーの小説や、イギリスが舞台のTVドラマ「ダウントン・アビー」にもチェッカーが登場します。それだけ親しまれているゲームと言えます。
マリオン・ティンズリーという驚異的な名人が活躍していたのは1900年代。なお2007年には、アルバータ大学の研究により「双方最善を尽くすと引き分けになる」と解析されました。
ドラフツ100との比較でいうと
8x8の広さの盤面を使う
ドラフツはコマを取る時後ろにもジャンプできるが、チェッカーは前にしか取れない。
ドラフツのキングは将棋の角のように遠くまで飛べるが、チェッカーのキングは前後とも一歩ずつしか進めない。
ドラフツのように「多い方を取らなくてはならない」ルールはない。
という違いがあります。
2と3の違いにより、ドラフツよりコマを取る激しさは抑えられており、「渋い」味わいを楽しむゲームになっています。
「トルコ・チェッカー」は、トルコを中心とした中東各国で楽しまれているドラフツです。
他の種類のドラフツと異なり、コマはチェスのポーンのようであり、またコマの進み方は斜めではなく、前後左右となります。見かけが大きく異なるのが特徴です。
ドラフツ100との比較でいうと
8x8の広さの盤面を使う
前と左右にジャンプしてコマを取ることはできるが、後ろジャンプでコマを取ることはできない
キングがコマを取る時、「ドラフツはすべてのジャンプが終わってからコマを取り除く」ルールですが「トルコ・チェッカーはジャンプをしながらコマを取り除く」のがルールです。
この3は、他のドラフツではあまりなく、ここが大きな特徴となっています。
実はこのルールのため、トルコ・チェッカーのキングはドラフツのキングより強力です。コマをジャンプした瞬間にそのコマがなくなっていくため、残ったコマはどんどん少なくなり、少なくなればなるほど、ジャンプされやすくなるためです。たった一個のキングが10コマ以上を一気に取ってしまうこともあり、ここでご紹介したドラフツの中では最も過激なドラフツです。
次の動画を見ると、トルコ・チェッカーの過激さがわかると思います。