ギラン・バレー症候群とは

ギラン・バレー症候群は多発性神経炎の一種で、末梢神経が傷害される病気です。ギラン・バレー症候群は末梢神経のうち特に運動神経が強く傷害されます。運動神経が機能しなくなるため、脱力や筋力の低下が起きます。手先、足先など末端部分から中心に向けて症状が進行します。症状は左右対称です。知覚障害も起きます。中枢神経は傷害されないため意識は正常です。

風邪や下痢などの感染症の後に発症します。菌に感染すると、感染した菌を攻撃する抗体が作られますが、その抗体が末梢神経を攻撃してしまうために起こります。発症から1ヶ月以内にピークを迎えることが多いようです。約2割の人に後遺症が残るようですが、多くの場合、発症前の状態まで快復するようです。

予防法は確立されていません。日本では123の難病(特定疾患)のうちの一つに指定されています(2008年5月現在)。受診科は神経内科・内科です。詳しくは難病情報センターホームページをご覧ください。

http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/020.htm

ギラン・バレー症候群のメカニズム

抗原が体内にはいるとB細胞が抗体産生細胞になる。抗体産生細胞は抗体(免疫グロブリン)を作り出し放出する(一つの抗体産生細胞が約50万個の抗体を作り出す)。

末梢神経の神経細胞は髄鞘(ミエリン鞘)に覆われている。髄鞘の表面にある糖脂質(ガングリオシドなど)と抗原が似ていると抗体が神経細胞にあやまってとりつく。

抗体がとりついた神経細胞に補体がとりつく。補体は神経細胞の細胞膜を破壊したりマクロファージ(大食細胞)に認識しやすくする。マクロファージが神経細胞をさらに傷つける。神経細胞が傷つくと情報伝達ができなくなるため筋肉が動かなくなる。

体内から抗原がなくなると抗体産生細胞もやがて寿命をむかえ減少する。抗体産生細胞が減少すると抗体も減少する。神経細胞を傷つける要因がなくなるため末梢神経は回復に向かう。