国際社会性昆虫学会日本地区会(JIUSSI)のホームページへようこそ

国際社会性昆虫学会(The International Union for the Study of Social Insects)は社会性昆虫や広義の社会性生物の研究を推進するための国際学会です。機関誌Insectes Sociaux を刊行するほか、4年に一度国際大会を開催しています。地域・言語圏ごとに地区会があり、このサイトでは日本地区会の活動内容を紹介しています。

社会性昆虫とは

アリ、ミツバチやシロアリのように、同種の中に繁殖をする個体と繁殖以外を担う個体という役割分担が見られるものを狭くは意味します。広くはアブラムシやある種のガの幼虫のように群れで生活する昆虫すべてを指します。昆虫ではありませんが、集団で生活するクモやダニなどの節足動物の研究も本学会の対象です。

集団行動がもたらすこれら小さな昆虫の中に秘められた大きな力は、大昔より人の好奇心をくすぐり続けています。


国際社会性昆虫学会ブラジル大会の旅費援助

国際社会性昆虫学会日本地区会(JIUSSI)会員各位

来年8月5−10日のブラジル・グァルジャーで開催される国際社会性昆虫学会大会への参加に伴う若手研究者向けの渡航旅費を援助します。
1人35万円程度を上限にIUSSI本部からの助成金に依存し,地区会幹事の審査により上位と判断された候補者に配分します。

前回ケアンズ大会では合計9名に25万円ずつ援助しました。旅行記が以下に掲載されています。


申請資格は,自ら発表することが前提で,(1) これまでに査読つきの雑誌の論文を発表されている方,(2) 学会等で講演をされている方を優先します。同順位の方が複数おられた場合は,国際会議に出席経験のない方を優先します。希望する地区会会員は,下記の幹事宛にメールでお申し込み下さい。旅費補助申請書には,1) 氏名,2) 年齢,3) 所属・職,4) 査読付き雑誌の論文リスト,5) 学会等での発表リスト,6) 国際会議への出席経験,7) 参加予定の国際学会,8) 研究発表の概要(または講演要旨)を記してください。書式は自由です。「若手」はあえて定義しません。ポスドク,助教等であってでもパーマネント職でなくかつ参加するには研究費が足りない方であれば,遠慮せずご応募ください。論文のある学生よりは順位は下位になると想像しますが,本グラントの趣旨に照らし応募資格を与えます。

渡航費を支給した方には,JIUSSIのホームページないしメーリングリストで旅行記(形式自由)をご投稿いただきます。皆様の積極的なご応募をお待ちしております。

締切:2017年12月30日
申込先:国際社会性昆虫学会日本地区会幹事 前川清人(富山大学理学部)
メール:kmaekawa-at-sci.u-toyama.ac.jp (-at-を@に置き換えてください)

国際社会性昆虫学会日本地区会長 辻 和希 


旅費援助について

国際社会性昆虫学会日本地区会(JIUUSI)会員の皆様

重要なお知らせがあります.IUSSIでは各地区会に若手の国際学会参加の旅費援助を行っています.
皆さんの記憶にもありますように,昨年は10人もの日本地区会の若手にIUSSIケアンズ大会参加旅費がほぼフルに支給されました.この仕組みを2018年に予定されるブラジル大会でも維持するため,2015-2017は若手会員の国際学会参加援助を行わないことに決めました.
これまで他の国際学会参加用にも支給されてきましたファンドはIUSSI大会参加用に特化させるとのことです.

背景には,Springer からIUSSIに提供されるInsectes Sociauxのロイヤリティー収入がここ4年で35%も落ち込んでいることがあります.
IUSSI大会が本学会がもっとも重要視しする国際イベントであるゆえ,何卒ご理解頂きたいとのことです.

ロイヤリティー収入は上記雑誌の総ページ数で計算されるそうですが,Ins Soc.の総ページ数もずっと減少傾向であるそうです.
いい論文をInsectes Sociaux 沢山投稿してもらうよう会員の皆さんにはお願いいたします.

辻 和希 日本地区会長


訃報

JIUSSI会員各位

悲しいお知らせです。元 IUSSI日本地区会長の伊藤嘉昭(いとうよしあき)名古屋大学名誉教授が、去る5月15日肝不全のため逝去されました。享年85歳。葬儀は18日に近親者だけでとり行われました。

日本の社会性昆虫研究は1980年代にひとつのブームがありましたが、その火付け役はひとえに伊藤博士です。成果が後に2冊の本(英語版を入れると3冊)となった博士の社会性カリバチ類研究の絶大な影響力で、アシナガバチ類は日本の社会生物学研究の「スター生物」になりました。1986年のIUSSIミュンヘン大会で伊藤博士は基調講演もされています。同年6月には、当時採択されていた文部省特定研究で、伊藤博士らが中心になり、WD ハミルトン、MJ ウエストエバーハード、R クロジャー、R ガダカール、N ピアスという社会性昆虫研究業界のまさにレジェンドを一度に招聘し、京都と名古屋でシンポを開きました。上記以外にも続いた、世界の第一線の研究者とじかに議論する機会を若手に頻繁に与えることで、日本の社会性昆虫学・行動生態学の国際化に貢献されました。この特定研究が日本に行動生態学を定着させたエポックであることは間違いありません。伊藤博士の指導生だった不肖辻もこの恩恵を最大限に受けました。ご想像ください。当時、大学院博士課程1年で、ほとんど会話で英語など使った事がなかった私ですが、いきなりハミルトンの前で「講演しろ」と指令させられたのです。無茶振りですが、この経験は後学の宝になりました。ご存知のように、IUSSIでは若手向け国際学会参加旅費援助を毎年行っていますが、若手を国際コミュニティに積極的にコミットさせることで分野全体を発展させようという哲学はこの当時からIUSSIにはありました。そしてこれは今後も受け継いでいきたいです。

伊藤博士はIUSSIでは狩りバチの人として知られていますが、日本ではむしろ、個体群生態学、進化生態学、応用昆虫学の分野のリーダーとしてよく知られています。NHKの「プロジェクトX」にも取り上げられた沖縄のウリミバエ根絶のための指定試験事業では初代主任でしたが、不妊虫放飼法という当時の最先端研究を完璧に理解できる博士の技量なしに、根絶の成功はなかったでしょう。今でも沖縄の害虫防除研究の現場では伊藤博士の多数の弟子・孫弟子が日々研究を続けています。沖縄以外にも、叩き上げを自称する伊藤博士のストレートな叱咤激励で育った若手研究者は無数にいます。その一方で、博士の人生は波乱に満ちていました。農水省勤務中にメーデー事件にかかわったとして逮捕され17年間休職(1970年に無罪が確定)を余儀なくされました。休職中の29歳のときに「比較生態学」(1959年,岩波書店)を著されましたが、これは後にCambridge University Pressから英訳版が出版されたほどの古典になりました。この本ではマッカーサーやウィルソンの著作よりも早く、後に進化生態学と呼ばれるようになる分野において重要となる幾つかのアイデアを提出されています。社会性昆虫への興味はすでに、この「比較生態学」の時代から暖めておられたことが、自伝「楽しき挑戦 型破り生態学50年」(海游舎 2003年)に綴られています。この自伝も若い人にお薦めの快著です。

伊藤博士のことを書き始めると、色々と思い出して平常心ではいられなくなるのでこれぐらいで終りにします。

伊藤先生のこれまでのご指導に感謝し、心よりご冥福をお祈りします。

2015年5月19日

辻 和希 IUSSI日本地区会長 

総説論文の募集(Insectes Sociaux)

Insectes Sociauxが総説論文を募集しています。以下、IUSSI本部からのメッセージです。

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Insectes Sociaux, the journal of the International Union for the Study of Social Insects (IUSSI), is looking for authors who can definitely commit themselves to writing a high-quality review article. We are also interested in review articles by graduate students, for example in collaboration with their academic supervisor.

The review's subject must be clearly delimited, directly related to social arthropods, carry implications of wider scientific interest, and be timely in that many authors have published recently on it since the last published review (if any). Treatment of recent studies must be exhaustive. Review manuscripts are subject to the standard peer review process, so acceptance is not guaranteed. Manuscripts that mainly summarize published or unpublished data by the review's author(s) will not be considered.  

The maximum length of review articles is 10 printed pages (very roughly 65,000 characters including spaces). As a small token of our appreciation, the corresponding author will receive 200  per accepted review article.

Before starting to write, authors should send a short summary (0.5-1 A4) to: Michiel B. Dijkstra, associate editor in charge of review articles, e-mail: michiel.b.dijkstra [at] gmail.com. This summary should delimit the intended subject, explain why a review would be timely, and briefly indicate the structure, including a list of topics that will be addressed.


集会・セミナー情報

集会名:アリをめぐる生物種間の相互作用 2017 JIUSSI共催

日時:2017年3月28日(火)(大会2日目)18:00〜19:30
場所:東京農工大学小金井キャンパス講義棟3階L0033室(J会場)
主催者:秋野順治(京都工繊大)・坂本洋典(玉川大)・萩原康夫(昭和大)

講演者:村上貴弘(九大・決断科学センター)
講演題目:福島第一原発周辺のアリに見られる被爆影響評価

講演者:増子恵一(専修大・経営)
講演題目:アリの栄養交換:血リンパ食の自然史

主催者コメント:
いずれも、応動昆でこれまであまり聞く機会がなかった社会性昆虫の側面を30分間じっくりと話していただきます。
終了後は、懇親会も企画しており、大勢のご参集をお待ちしています。

坂本 洋典