★10月27日(土)に2018/19年度第1回勉強会を開催いたしました★
今回は、JICA英国主席駐在員、酒本和彦様を講師にお迎えして、「開発援助と人道支援の連携とその限界」をテーマに貴重なお話を頂きました。酒本様は、JICA及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) において、長年、開発援助及び人材支援分野の最前線で活躍なさっており、実体験を踏まえた上で、(1)人道支援と開発援助の違い (2)人道支援の広がりと連携 (3)人道支援の限界と今後の課題 の三点を中心にお話しして下さり、とても実りある勉強会となりました。
(1) 人道支援と開発援助の違い:「人道支援」と「開発援助」というと一見すると同様な意味に捉えがちですが、実際には、対応段階及び対応内容、対応組織の仕組みやアプローチが大きく異なることが分かりました。
(2)人道支援の広がりと連携:人道支援は「緊急対応(Emergency Response)」から 最終的には「Self-reliance」へと各段階において、必要とされる対応、専門分野が異なり、多岐の分野にわたる専門性が必要となり、開発援助との連携が必須になることが分かりました。さらに、今後、より一層民間セクターやアカデミアとの積極的かつ包括的な協力体制が重要になってくるとのことでした。しかし、連携体制の構築に際し、各機関のマンデート(Mandate: 委任権限)の違い等多くの課題がある点も理解しました。
(3)人道支援の限界と今後の課題:長年に渡り、人道支援が必要とされる背景には、世界各地において紛争が断続的に発生しているという現実があり、その根底ある地政学的 (Geopolitics) 問題の解決が最も重要であること、さらに、スムーズかつ効果的な連携体制を構築する上で、依然として多くの課題があるとが分かりました。
現在、シリア内戦やISIL(Islamic State in Iraq and the Levant)の台頭に伴い多くの難民の発生しており、今後も、地球温暖化に伴う、異常気象や海面上昇に伴うさらなる難民の増加が予想されます。そのため、今回のセミナーの主眼である「人道支援と開発援助の協力体制の構築」の必要性がより一層高まってくると感じました。
参加いただいた方々からの質問も多く、大変充実した勉強会となりました。お忙しい中、素晴らしい講演をしてくださった酒本様への感謝とともに、会場に足を運んでくださった参加者の皆様にも重ね重ね御礼申し上げます。