MSc Environmental Impact Assessment and Management
School of Environment, Education and Development (SEED) University of Manchester
兼松 古都 (かねまつ こと)さん
MSc Environmental Impact Assessment and Management
School of Environment, Education and Development (SEED) University of Manchester
兼松 古都 (かねまつ こと)さん
執筆:2024年7月3日
インタビュアー:KIM Minsu (University of Manchester)
1. 自己紹介・興味&関心を持つ分野
・KIM:本日はインタビューを引き受けて下さり、誠にありがとうございます。まず、これまでのご経歴について教えてください。
・兼松:はじめまして。現在、マンチェスター大学院の「環境影響評価と環境管理」専攻に所属している 兼松 古都 と申します。具体的には、先進国において都市開発が環境にどんな影響を及ぼすのか、どうすれば悪影響を緩和できるのかについて研究しています。大阪生まれ大阪育ちで、学部まで大阪で生活していた生粋の大阪人です。
高校では英語系のコースに在籍し、英語でのスピーチコンテストや模擬国連等の活動に参加していました。また、大阪の教育委員会主催のグローバル塾に一年間在籍し、夏休みには二週間イギリスのサマースクールにも参加しました。
この時期から、漠然とグローバルに活躍したいと考えていました。国際系の学部に進みたいと思うようになり、大学は近畿大学の国際学部に進学し、大学1年次に一年間アメリカのカリフォルニアに留学しました。その際に、自分の消費行動が環境に影響を与えることを痛感し、環境問題に特に興味を持つようになりました。
・KIM:ありがとうございます!高校からこれまで色んな活動に従事してきたんですね。環境問題の活動についてもう少し教えてください。
・兼松:帰国後はアパレル産業の人権や環境問題に関する学生団体に所属し、様々な活動に参加しました。例えば、繊維を取り扱う商社と協力してポリエステルを活用した環境に優しい商品を開発したり、オーガニックコットンの栽培およびそれを使用した靴下を企業と協働で作成する活動を行っていました。その他にも、福島の復興支援活動にも参画しました。具体的には、放射能に汚染されていない土を使用し、アンスリウムという植物を福島県の川俣町の特産品にするための活動を行いました。
また、ビジネスを通じた環境問題だけでなく、政策の観点からも携わってみたいと考え、「日本版気候若者会議」という活動にも挑戦しました。実際に衆議院議員に環境問題に関する政策提言をできたのはいい経験でしたね。その経験から、政治家はボトムアップを求めていることを知り、企業から変えていかないと環境問題は解決できないと考え、更に学びを深めるためにマンチェスター大学院への進学を決心しました。
2. マンチェスター大学院について
・KIM:イギリス及びマンチェスター大学院に進学した理由を教えてください。
・兼松:主に2点あります。1点目は世界中から学生が集まるため、多様な観点から知見を得られると考えたからです。これまで日本とアメリカでしか住んだことが無かったため、イギリスの大学院に進学することにしました。2点目はアクセスできるリソースの数が圧倒的に多いからです。その中でもマンチェスター大学院にした理由は私が興味を持っている分野で一番レベルが高かったからです。
・KIM:ありがとうございます。所属しているコースの学生の国籍や、授業について教えてください。
・兼松:国籍に関しては、中国とイギリス出身の方々で半数を占めており、残りは様々ですが、ヨーロッパ等の先進国出身の方が多いように感じます。一方、タンザニアやマダガスカル、フィジーやトンガといった国から来られた方々も一定数おられます。約30%の方々が就業経験をお持ちで、官公庁やデベロッパー、エネルギー業界など多様なバックグランドを持っています。
授業に関しては、「環境・影響・評価」という、都市開発が環境に与える影響について学ぶ授業が印象に残っています。本授業では理論を学ぶだけでなく、フィールドワークを通じた実践の場も豊富に用意されています。具体的には、マンチェスターの郊外に実際に赴き、現地の自然条件を調べ、いかに景観や植物、周りの住民への影響を考慮しつつ開発を進めるかを実践形式で学びます。また、CO2排出量や騒音に関するデータを活用して分析を行い、3Dソフトを活用して建物を作成するというプロジェクトも経験しました。
・KIM:理論だけでなく、実践の機会も沢山あるんですね!その中でこの専攻で良かったと感じる点や大変だった点等は何かありますか?
・兼松:良かった点としては、前述した内容と重複してしまうのですが、理論と実践のバランスが非常に優れていることです。イギリスは環境評価に関しては最先端を走る国の一つであり、その最前線で学べる環境は非常に恵まれていると感じています。マンチェスター近郊ではありますが、これまでフィールドトリップに4回も参加しており、日々新しい学びでいっぱいです。一方、日々の授業についていくのにはだいぶ苦労しました。前述したフィールドワークを事例に出すと、私のグループでは誰も業務経験が無かったため、説得力が高い提案内容の考案に難渋することも多々ありました。また、修士論文とコースワークの両立が大変で、上手にタイムマネジメントをする重要性も感じました。
・KIM:最先端の環境で学べるのはやはり留学に来た甲斐があったと感じますよね!マンチェスター大学や、学生寮についてはどうですか?
・兼松:マンチェスター大学はイギリスのトップ大学の一つであり、主に自然科学系の学問に強い印象を受けますが、開発学や建築学、経済学や政治学といった社会科学系のレベルも非常に高いです。学習環境に関しては、私は個人的にはあまり使わないのですが、24時間空いている図書館や勉強スペースがあるのはありがたいです。電子レンジやウォーターサーバーもあるため、夜遅くまで勉強するための環境は整っていると思います。また、キャンパスからCity Centreが近く、買い物や娯楽にも困りません。大学以外の人々と交流できるコミュニティーも結構あるので、メリハリがある学生生活を過ごせると思います!
私が住んでいるSalfordという地域はキャンパスからは少し離れているのですが、住宅街の中に学生寮があり、周りに自然もあるので個人的には気に入っています (笑)。ただ、キャンパス近くに住んでいる友人もかなりいるので好みは分かれると思います。
3. 留学を目指している人に一言
・KIM:詳しく教えていただき、ありがとうございました!最後に、大学院やイギリス留学進学を目指している方々に一言お願いします。
・兼松:勉強面と就活面の2種類に分けてお話します。勉強に関しては、マンチェスター大学は学生の勉強に対して非常に充実したサポート体制を持っており、メンタルケアなどへのサポートも充実しています。マンチェスターの冬はかなり日照時間が短く、少し憂鬱な気分になることもあったのですが、スタッフのサポートのおかげで乗り切ることができました。また、今年の1月に能登半島で地震が発生した時も、即座に日本人学生に対して労いのメールをいただくこともありました。そのため、日本から遠く離れた環境でも安心して勉強に集中できる環境が整っていると強く思います。
就活に関しては、日本の常識に囚われ過ぎないようにして欲しいです。日本だと就活などの時期が決まっており、就職活動に時間を費やしすぎると自分の視野を広げるための時間が短くなってしまうように感じます。ただ、最近は新卒の定義や就活の方法も変化してきていますし、折角イギリスに居るので、そこでしか出来ない経験を大切にしてほしいです!
一人でも多くの人がイギリス大学院進学に興味を持ってもらえると幸いです!応援しています!