MSc International Social and Public Policy
London School of Economics and Political Science
川本 直実さん
MSc International Social and Public Policy
London School of Economics and Political Science
川本 直実さん
執筆:2024年12月
担当:伴場森一 (London School of Economics修了)
愛知県出身。幼少期に3年半デンマークで過ごすが、高校卒業までは愛知県の公立校。高校時代にカンボジアへのスタディツアーへ参加したことをきっかけに国際開発学に関心を持つ。そのため、高校卒業後に英国サセックス大学の国際関係・国際開発学部へ正規留学。大学卒業後は、日本の政府系金融機関にて融資及び環境審査業務を担当。2023年に退職し、LSEのMSc International Social and Public Policy (ISPP)に進学。大学院修了後は、日本で外資系コンサルにてサステナビリティコンサルタントとして勤務予定。
在学中は、LSEが運営する修士課程以上の学生対象のButler's Wharfという学生寮に住んでおりました。部屋は個室でキッチンとバス・トイレをフラットメイト7名でシェアする形式でしたが、家賃は月々850ポンド(日本円で約16万円程度)でした。日本での感覚だとかなり割高に感じられるものの、家賃が高騰しているロンドンではとても割安で助かりました。
学部時代に留学した際に学び残した分も頑張ろうと思っていたので、授業の準備や課題が生活の中心となり図書館や自室で過ごす時間が長かったです。その他の時間にはコースの友人や学部時代からの友人と博物館巡りをしたり、母国の料理を持ち寄ったポットラックパーティーをしたりして楽しみました。また、長期休暇には大陸ヨーロッパやモロッコ・トルコに足を伸ばして旅行もしました。
プログラムは全体で約200名おり、他のプログラムと比べてもかなり人数は多かったです。留学生がほとんどで出身国は北米、中国、ヨーロッパの順で多かった印象です。学部ストレートで来た方もいれば民間企業や政府機関でキャリアを積んだ方もおり、様々なバックグラウンドを持つコースメイトとの議論はとても刺激的でした。
プログラムは、6つのストリーム(General、Development、Education、Migration、NGO、Research)に分かれており、ストリームによって必修科目が定められていました。私は、国際開発政策、ジェンダー政策及び気候変動政策を包括的に学びたいと考えていたため、国際開発政策も必修科目に含まれているDevelopmentストリームに所属していました。ストリームごとのイベントも学期の始めと終わりにあり、同じストリーム内のコースメイトと親睦を深めることができたことで修論の執筆の際も一緒に支え合い、乗り切れました。
カリキュラムに関しては、必修3科目で1.5単位、修士論文で1単位、選択科目で1.5単位の計4単位、その総合結果で卒業及び最終成績が決定するものでした。基本的にはどの科目も週にレクチャーが1.5時間とセミナーが1.5時間のみで授業自体は少ないものの、課題図書を毎週計200ページ程度読む必要があり、自分のやる気次第で学びの質と量がかなり変わるなと感じました。また、授業と並行してエッセイやテストの準備などをしていたので、インプットとアウトプットのバランスが取れていたように感じます。選択科目に関してはプログラム外の他学部の授業を履修できたり、教授の許可を得れば、選択していない科目の授業を公聴することができたりと、かなり柔軟に自分の関心に合わせて学ぶ環境が整っていました。
授業外にプログラム内外の教授にマンツーマンで指導を仰ぐことができるオフィスアワーという制度があり、修論の構想段階など特に積極的に利用していました。LSEの全ての教授のアポイントメントをスマホのアプリで予約する事ができ、学部を跨いで様々な教授に気軽に指導を仰げるのはとても贅沢だと思いました。一方で、6月末以降修士論文の提出までは教授陣もご自身の研究や休暇で連絡が取れないので注意が必要です。
ウェルカムウィークに二日間に分けてスポーツ系のSociety (サークルのようなもの)及び文化系のSocietyの歓迎ブースが学内に設置される新歓のようなイベントがありました。一通りのSocietyを把握する事が出来ましたが、Societyは学部生が中心だったため、修士課程の方々の多くは参加していませんでした。私はSocietyには結局参加しなかったものの、コースメイトとボルダリングへ定期的に行くグループを作り、気分転換によく参加しました。
学生寮に住んでいる学生を対象に小旅行やミュージカル鑑賞などのイベントも定期的に開催されており、ロンドンらしい体験をすることができました。
LSEはイギリスの中で就職に強い大学として知られていますが、私を含めロンドンで就活をしていたコースメイトはかなり苦戦をしていました。私も卒業後2年間の就労ビザ(Graduate route visa)が得られるためロンドンでの就活を考えていましたが、倍率の高さ及び物価に対する給与の低さ等を考えた結果、断念しました。ロンドンでの就活を続けているコースメイトは、バイトなどをして生計を立てながら様々なポジションに応募しているようです。
母国やイギリス外で就職したコースメイトは、国際機関・政府機関やコンサルティングファームに就職している方が多いようです。やはり母国に帰って就活をした方の方が総じて希望通りの所に就職をしているので、イギリスの就活市場の厳しさを痛感しました。
LSEは留学生の割合がイギリスの大学の中でも高く、キャンパスもロンドンの中心部にあるので、様々なバックグラウンドを持つ方と切磋琢磨しながら学びたいという方にはぴったりだと思います。一方で、ロンドンの家賃・生活費が高騰していることに加え、LSEの留学生向けの学費の設定も年々上がっています。現在留学をご検討されている方に関しては、志望校の情報はもちろんのこと、奨学金等についても計画的に情報収集をされることをお勧めします。最後までお読みいただき誠にありがとうございます。なるべくありのままに書いたつもりですが、こちらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。