MSc Global Strategy and Sustainability
The University of Edinburgh Business School
三井 風子 (みつい ふうこ)さん
MSc Global Strategy and Sustainability
The University of Edinburgh Business School
三井 風子 (みつい ふうこ)さん
執筆:2024年9月13日
インタビュアー:KIM Minsu (University of Manchester)
※本留学レポートはインタビュー形式です。
1. 自己紹介・興味&関心を持つ分野
・KIM:本日はインタビューを引き受けて下さり、誠にありがとうございます。まず、これまでのご経歴について軽く教えてください。
・三井:はじめまして。現在、エディンバラ大学院のビジネススクールで「Global Strategy and Sustainability」を専攻している 三井 風子 と申します。まず、これまでの経歴について軽くご紹介いたします。
大学は中央大学の総合政策学部国際政策文化学科に在籍し、国際問題を政策の観点から分析するゼミに所属していました。当時は移民問題に関心を持ち、在日外国人に関連する問題について研究していました。このゼミは大学2年生の時に開始したのですが、当時は丁度コロナが流行し始めた時期であったため、フィールドワークを実施することが難しい状況でした。
そのため、代わりの活動としてサステナビリティに関する課外活動を始めました。具体的には、学外の学生団体に所属し、SNSを通じたSustainability Fashionの情報発信、アパレル企業へのインタビュー、会社とのイベント企画等を実施しました。
また、アパレルブランドの廃棄在庫を改善することを目的とするスタートアップ会社でのインターンも経験しました。私はスタートフェーズの時期に参画したため、イベントの計画・運営など、自分で仕事を創ったりもしていました。しかし、服作りの経験がある人や服飾学生など、利用者に偏りがあったため、より色んな分野の方々に認知してもらえるためのワークショップも実施しました。
・KIM:ありがとうございます!コロナ禍においても諦めずに自分の興味・関心分野の経験を積んできたという話が印象に残りました!
2. エディンバラ大学院について
・KIM:次に、イギリスおよびエディンバラ大学院に進学しようと思った背景などあれば教えていただけますでしょうか?
・三井:大学院進学を視野に入れ始めた理由は、社会に出るまでにサステナビリティに関して一度きちんと包括的に学びたいと思ったからです。サステナビリティに関して、学部時代に課外活動で現状を知り、インターンで実務・現場体験をすることはできました。しかし、自分が知ってることと現実にギャップがあったため、一回アカデミアの観点から学ぶことも悪くないと考えていました。また、学位を取得することで将来関連した職種に就く可能性を広げられることを期待していました。そのため、結果的には大学院への進学はベストの選択だったと思います (笑)。
また、大学院進学を検討し始めた際にはファッション系の課題に関心があったため、「商品のマネジメントを通じた環境・人権課題」に興味を持ち、アート系のコースを中心に見ていました。主にロンドンやニューヨークの大学院を視野にいれていましたが、予算的に少し厳しかったです。そのため、一度自分のやりたいことに近い分野で様々な大学院のコースを見ていました。
その中でもエディンバラ大学院の本コースに進学しようと思ったのは、コースの内容に一番惹かれたからです。先ほどお伝えした通り、サステナビリティに興味を持った原点が課外活動やインターンであったため、どちらかというと理論より実践ワークが重要視されているコースで経験を積みたいという気持ちを持っていました。本コースは理論だけでなく、後述する実践ワークも豊富であったため、非常に魅力的でした。また、同じコースに在籍している先輩に話をお伺いした際、色々詳しく教えてくれた点も大きな後押しになりましたね。
・KIM:ありがとうございます!次に、所属しているコースの学生の国籍や、授業について教えてください。
・三井:私のコースには約50人程度が在籍しているのですが、出身国・バックグランドは非常に多様です。約15カ国から来ており、ヨーロッパ (e.g. スペイン、フランス、エストニア)・北米 (e.g. アメリカ、カナダ)・中央アジア (e.g. カザフスタン)・東南アジア・インド・東アジア・南米等など世界各地から集まっています。また、半数以上が実務経験を持つ方々で、刺激的かつ学びの多い日々を過ごせています。
授業に関しては、ビジネススクールの特徴でもあるのですが、各セメスター(12週間)ごとに6科目ずつ受講し、6週間ごとに3つの授業を受講します。1学期目は理論中心の授業が多く、サステナビリティとビジネスに関する基礎を学びます。2学期目はより実践的な授業が多くなり、セメスターを通して実施するプロジェクトと授業3つで構成されます。その中でも印象に残った授業は以下の2つです。
”Sustainable Business Consultancy Project”:2学期を通して実施するプロジェクト型の授業で、4〜5人のチームで実際の授業に対してコンサルティングを実施。企業の課題をインタビューや業界レポート・公的統計データを通して明らかにしつつ、プレゼンやレポートを通してアウトプット。具体的には、ESG関連の情報開示に意欲はあるけど、資金や経験不足によりまだ出来てない企業に対してガイドマップを作成。時にはサステナブル投資を専門とする教授や企業のサステナビリティ部署に所属したことのある方へのインタビューも実施しました。オンライン情報や業界レポートは大企業のデータの偏る傾向があるところ、プロジェクト対象のSMEs(中小企業)での実務のギャップとして、専門家や資金協力やブロックチェーンなどの技術との必要性を明らかにすることができた。年齢やバックグラウンドの異なるメンバーと長期間のチームマネジメントに難渋することもありましたが、社会人経験豊富なメンバーから学ぶことも多く、非常に充実した授業でした。
“Strategies for Internationalisation Global Strategy”:企業戦略に関する授業。正直に言うと授業スピードは予定通りに進むことは少なく、日々渡されるスライドの10%程度しか進まないのに300ページほどの課題図書が丸々一冊期末テストの範囲となっていました。論述テストと慣れない授業進行に、ホリデイ前の期末期間はクリスマスを迎える気分になれないまま苦戦し、今思うと大学院の課題の中でも最もナーバスになっていたと思います。受講した教授はパッションに溢れていたのですが、扱うトピックが2000年代で止まっていたり、イギリス・アメリカ・日本・中国・インドなど限られた国に偏って経済先進国として扱っていたりサステナビリティに強く関連した部分が不足したいたことが少し残念ではありました。しかし、肝心の論述テストではファストファッションアパレルブランドであるSheinとZaraを比較し、両ブランドのビジネスの国際化の進めた方の違い、サステナビリティ(ESG)の観点から課題とされる点の比較を行い、環境被害や労働環境やガバナンスなどESGに対する批判的視線を持つとと同時に、ブランドが急速に発展することができた背景をBusinessGlobalizationや Internationalizationの観点から考察する課題が出題されました。突拍子もないよう問題が出ることが不安だった手前、課題図書を熟読していたのでそこでの理論や授業で強調されていたものがストレートに問われる問題構成に安心したのを覚えています。また、課題も最近のトレンドブランドを対象に是可否かの論ではなくビジネスの発展とその犠牲やである部分の双方を考えるもので、非常に面白かったです。
このように、サステナ分野を自分の興味・関心に沿って学ぶことが出来る点には大変満足しています。一方、サステナ分野自体が発展途上であり、まだ体系的になってない点は今後に期待ですね。
・KIM:最先端の環境で学べるのはやはり留学に来た甲斐があったと感じますよね!エディンバラという都市や、学生生活についてはどうですか?
・三井:エディンバラはスコットランドの首都で生活に必要なものは揃っていますが、都市自体はかなりコンパクトで住みやすいだけでなく、周囲に自然が多く、山や丘などもあるので気晴らしもしやすいです。歴史的なイギリスの雰囲気が好きな人はとても気に入ると思いますが、娯楽は少な目な気はします (笑)。エディンバラは現地の方々が多く、日本人はあまり見かけませんが、大学内はそんなことはないです。また、観光都市なのでサービス等に不満を感じたことはないです!
3. 留学を目指している人に一言
・KIM:詳しく教えていただき、ありがとうございました!最後に、大学院やイギリス留学進学を目指している方々に一言お願いします。
・三井:イギリス大学院進学に関わらず、やりたいことがあるなら時間やお金がかかっても後悔しない方を選ぶ勇気が大事だと思います!やりたい事に全力で立ち向かっていれば、自分が思っている以上にその気持ちを尊重してくれる人が周りには多いということを今回の留学で実感しました。私の場合もそうだったのですが、海外大学院進学を考え始めた際に同じような人があまり周りにおらず、不安に感じる時もありました。ですが、自分が知らないだけで意外と同じ想いを持っている人は多いということを知っておいてください!近年は歴史的な円安・インフレも大変ですが、そんなときには周りのかたに頼ることを躊躇せず、また自分自身の目標に向かっていると、きっとどんな困難も越えていけると信じています!応援しています!