MSc Statistics with Data Science
The University of Edinburgh School of Mathematics
丸山 大貴 (まるやま だいき)さん
MSc Statistics with Data Science
The University of Edinburgh School of Mathematics
丸山 大貴 (まるやま だいき)さん
執筆:2024年10月15日
インタビュアー:KIM Minsu (University of Manchester)
※本留学レポートはインタビュー形式です。
1. 自己紹介・興味&関心を持つ分野
・KIM:本日はインタビューを引き受けて下さり、誠にありがとうございます。まず、これまでのご経歴について教えていただけますでしょうか。
・丸山:はじめまして。2023年9月から2024年8月までエディンバラ大学院にてMSc Statistics with Data Science を専攻していた 丸山 大貴 (まるやま だいき) と申します。まず、これまでの経歴について軽くご紹介いたします。
学部は一橋大学の経済学部に所属し、特に数理統計学、計量経済学といったデータ分析に関連した分野を専攻していました。学業には力を入れていたため、最終的には優等学位で卒業することができました。
また、一橋大学が提供する「グローバル・リーダーズ・プログラム」という将来のグローバルリーダーの育成を目的とするプログラムにも参加しました。本プログラムは経済学を中心とする専門科目を日英両言語で履修できるだけでなく、短期海外調査や交換留学に参加できるプログラムです。大学2〜3年の間はコロナの影響で対面では実施できず、オンラインで研修に参加しました。
課外活動としては、「知るカフェ」という学生と企業が気軽に交流できる大学生・大学院生限定のカフェでインターンとして働いていました。主に店舗スタッフとして勤務し、イベント時の誘致などを担当していました。高校時代の先輩にすすめられて始めましたが、結果的にいい経験になりました。
2. イギリス大学院留学・エディンバラ大学院について
・KIM:ご紹介いただき、ありがとうございます。次に、イギリスおよびエディンバラ大学院に進学しようと思った背景などあれば教えていただけますでしょうか?
・丸山:まず、海外の大学院に進学しようと決心した理由は、興味のある分野を包括的に学べるコースが充実していると感じたからです。前述したように、学部では計量経済学を専攻していましたが、一度ピュアな統計学をしっかりと学んでみたいと考えていました。国内の大学院も見てはいましたが、日本だとそういったコースが少なく、あったとしても計量経済学が中心でした。その反面、海外だと学問体系として統計学のコースが提供されており、海外大学院進学に興味を持ちました。
また、比較的短期間で修士号を取得できる点も魅力的でした。イギリス以外にもカナダやスイスの大学院に出願していましたが、全体的に1年〜1. 5年間のプログラムでした。個人的に2年間は長いと感じていたため、ちょうどよかったと思います。
その中でもエディンバラ大学に進学を決意したのは、「理論」と「実践」のバランスが非常に優れていたからです。統計学コースを提供している大学院は多々ありますが、内容が理論に寄っている大学院も多いのが現状です。学部時代にも理論の授業が約8割を占め、実践する機会は卒業論文などに限られていたため、「理論」だけでなく「実践」のコースも沢山提供されているエディンバラ大学に進学しました。実際、授業形態も座学とワークショップが必ずセットで提供されていたので、理論を深めるだけでなく、プログラミングもかなり練習することができました。また、決め手ではありませんが、エディンバラ大学が世界大学ランキングで上位だったのもあります (笑)。
・KIM:ありがとうございます!所属しているコースの学生の国籍や、授業についてはいかがでしょうか?
・丸山:私のコースには約100人ほど在籍しており、かなりの大所帯でした。体感では8割以上の学生が中国出身で、その次にインドネシアやヨーロッパ出身が多くの割合を占め、日本出身の学生は私だけでした。男女比は日本の理系コースと違い、男性が6割、女性が4割と、思った以上にバランスが取れている印象でした。職務経験に関しては、IT企業などで働いていたデータサイエンティストはある程度いましたが、新卒で来ていた学生がほとんどでした。
授業に関しては、前述したように統計学に関する「理論」科目と「実践」科目がバランスよく提供されていました。印象に残っている授業をいくつかご紹介いたします。
Extended Statistical Programming:必修科目の一つで、個人的に特筆すべき授業です。Rを用いたプログラミングの授業で、理論通りに動く関数を自作できるかが毎回の課題のテーマでした。2週間に一回課題が出ていたのですが、非常に難易度が高く、とても苦労しました (笑)。
Targeted Causal Learning:因果推論に関する理論の授業です。例えばこの薬は効果があるのか、といったことを推定したい場合に用いる推定量についての理論を学びました。制約条件を徐々に外していきながらも、確からしい推定量を導出していく過程において、理論がかなり難しく、理解に苦労しました。
Machine Learning in Python: プログラミング言語であるPythonを用いた機械学習の授業です。大きな課題は2つで、それぞれ与えられたデータセットを分析して提出しました。コードの勉強をかなりした記憶があります。
全体的に修士・博士論文に使用するほど高度な分析モデルは使用しませんでしたが、それでも難易度が高く、重い課題が多かったです。
また、私を含めて統計学や経済学をバックグランドに持つ学生も多く、機械学習を始めとしたプログラミングにはみんな苦戦していた印象を受けました。また修士論文としては、企業や他学部からデータをもらう形でプロジェクトを2つ実施しました。私は救急外来における需要予測モデルと待ち時間の予測モデルの構築、そしてある病原菌の遺伝子発現に関わる遺伝子配列の特定を行いました。
・KIM:エディンバラでの学生生活についていかがでしょうか?
・丸山:個人的にはかなり充実していたと思います。私の学部のキャンパスは少し離れたところにあったのですが、大抵の学部は都市の中心部に固まっており、大学院生として生活を送る上では便利な都市だと思います。また、程よく活気があり、学生の街と普通のイギリスの地方都市の雰囲気が混ざりあっていることもあって、住んでいて全然飽きませんでした。観光スポット (e.g. エディンバラ城、Calton Hill) や自然 (e.g. Arthur’s Seat、 The Meadows) もあり、特に夏は比較的涼しく、日照時間も長いため、のんびり過ごすことができておすすめです。公共交通機関に関しても充実しており、空港までもバスで約30分という好立地であるため、イギリス国内や他のヨーロッパ諸国にプチ旅行にも行きやすいです。
3. 留学を目指している人に一言
・KIM:詳しく教えていただき、ありがとうございました!最後に、大学院やイギリス留学進学を目指している方々に一言お願いします。
・丸山:一年間のイギリス大学院の留学生活を振り返って、決して楽ではない一年だったと思います。ただでさえ異国の環境で大多数の方々にとって第一言語ではない英語で新しいことを学び、アウトプットするのは非常に骨が折れますし、深夜まで勉強しないとついていけない日も多々ありました。一方、学生寮やコースでできた現地の友達とお互いを助け合い、精神的にも支え合って頑張ってこれたからこそ最後までやり切ることができました。その結果、充実した経験として自分の血となり肉になっていると思います。なので、つらいことでも周りを頼って一緒に乗り越えていってくださればと思います。
また、留学中は常に新しい発見の連続です。実際、私も心境の変化を経験したり、日本の良さを再発見したりしました。若い時の感受性や経験に勝るものはないと思っているので、個人的にはチャンスがあるなら早めに行って欲しいですね。意外と来てしまうとどうってことないですし、言語もある程度喋れていれば大丈夫です。ただ、金銭面に関しては親に相談するか、早めに給付型の奨学金を調べておくのがいいと思います。
色々言いましたが、一人でも多くの方々がイギリス大学院進学に関心を持ってくださるとうれしいです!応援しています!