執筆:2012年3月
1. 自己紹介:
大学卒業後、旅行会社に勤務していましたが海外で働きたいという思いから留学を決めました。最初は、カナダに1年ワーキングホリデーで生活をしたのですが、語学力のなさ、きちんとした学問のなさを実感し大学院に行くことに決めました。旅行会社での経験から、興味のあった開発の分野とツーリズムを結びつけられるコースはないかと探した結果、非常に細かく専門性に富んだコースが多いUEAにたどり着きました。
2. 所属コース概要
私の所属するMA in Cultural Heritage and International DevelopmentはInternational Development(DEV)とWorld Art and Museology(WAM)という2つの学部のジョイントコースです。そのため、2つの学部の授業を履修することができ、授業がとてもバラエティに富んでいます。通常、学部(School)の中の違うコース(course)の授業も履修できますが、違う学部の授業を取れることは珍しいのではないかと思います。DEVの授業では留学生が多く、いろんな国から来たクラスメイトと講義を受け、開発についてディスカッションをするのはとても勉強になり、反対にWAMの授業では留学生がほとんどいないため英語力の面でも刺激になります。また授業内容も2つの学部の内容が大きく離れているため、最初は違いに戸惑いましたがいろんな違った視点から物事をみることができ、とても面白いコースです。
3. 授業内容&感想
① 授業名:Development Perspectives (必須:International Developmentコースの授業)
開発学の基本理論を学ぶ授業です。歴史的、政治的な背景から今までどのように開発学の議論が行われて現在にどう活かされているのかを勉強します。
エッセイ:コース中に2本のエッセイ提出があります。
セミナー:セメスター中に4回ほどセミナーがあり、少人数にわかれて各回に違うテーマでディスカッションをします。
プレゼン:なし
トピック:
Week 2. Introduction: the meanings of development
Week 3. Early theories in development I: modernisation theory
Week 4: Early theories in development II: dependency theory
Week 5: States and markets (I): state-led development and its critiques
Week 6: States and markets (II): neo-liberalism and its critiques
Week 7. Reading week.
Week 8. Neo-institutionalism and the Post-Washington Consensus
Week 9. Growth, poverty and basic needs
Week 10. Human development and capabilities
Week 11. Inequality, equity and justice
Week 12. Cosmopolitanism and moral responsibility
Seminars
Week 4, Seminar 1: The relevance of development?
Week 6, Seminar 2: States and markets in development
Week 9, Seminar 3: The concept of poverty: absolute or relative?
Week 11, Seminar 4: Normative approaches in development
② 授業名:Introduction to Cultural Heritage (必須:World Art and Museologyコースの授業)
文化遺産の概念について学ぶ授業です。とても理論的に文化遺産をあらゆる観点から見て考えます。国際化が進む中で有形/無形世界遺産・先住民族・コミュニティ・国民性などの概念をどう解釈していくのかなどを学びます。
エッセイ:コース中に1本のブックレヴューと2本のエッセイ提出があります。
プレゼン:2回のグループプレゼンテーションと、1回の個人のプレゼンテーションがあります。
トピック:
COLLABORATING IN CULTURAL HERITAGE
CULTURAL APPROPRIATION
CULTURAL POLICY
CULTURAL TOURISM
INTERPRETING CULTURAL HERITAGE
GLOBALISATION AND CULTURE
WHAT IS CULTURAL HERITAGE?
CULTURE AND CONFLICT
INDIGENEITY AND CULTURAL REPRESENTATION
③ 授業名:Globalisation, Industrialisation and Development (International Developmentコースの授業)
まだ授業を受けている最中ですが、Globalisationがどう Industrialisation, Developmentに関わっているのかを経済、社会、環境的な側面から学びます。今現在起こっている事例や問題、各国の姿勢などは興味深いです。
エッセイ:2本のエッセイ提出があります。
セミナー:3回あり、そのうち一回でプレゼンテーションをする必要があります。
トピック:
Globalisation and industrialisation
Industrialisation and development
Globalisation and resource extraction
Technology and technological change
State and industrialisation
Global Value Chains
Transnational corporations
CSR in the extractive industry
Comparative Industrialisation
Environmental dimensions
Seminars
Resource Extraction
Value Chain Case Studies
The Impact of China
④ 授業名:Uses of Cultural Heritage (必須:World Art and Museologyコースの授業)
こちらの授業もまだ途中ですが、Introduction to Cultural Heritageで学んだ概念をさらに具体的にケーススタディ等を通して学ぶ授業です。
エッセイ:2本の提出があります。
プレゼンテーション:1回のプレゼンテーションがあります。
トピック:
Conserving Cityscapes
Difficult Heritage
Heritage Simulacra
Imperialist Nostalgia
Authenticity vs Hybridity
Intangible Heritage
Homeland Tours
Colonialism, Apartheid and Reconciliation
Ownership, Copyright and Recognition
Heritage and Natural Disaster
⑤ 授業名:Placement and Management (World Art and Museologyコースの授業)
Easter 休暇に3週間Placementを実施し、それについてのレポート(Management Plan) を提出します。PlacementとはField WorkもしくはInternのようなもので、その期間・組織(文化的な機関)のプロジェクトがどう動いているのかを分析し評価、提案するものです。基本的に毎週の授業等はなく、各自でEaster休暇までにPlacementをさせてもらえる機関を探し、交渉し、実施して、レポート(Management Plan) を提出するという流れです。
エッセイ:Placement実施後、レポート(Management Plan) (6000字)を提出。
4. 大学紹介
キャンパスは歩いて十分まわれるほどの大きさです。街の中心から車で15分程度離れているため緑も多く、キャンパス内をリスやウサギ、時々キツネも走っています。街と大学間のバスは24時間動いていて便利です。私は学割で年間バスパスを購入していますが、自転車を利用している学生も多いです。キャンパス内の寮費は電気、水道、ガス、インターネット代込みですが、基本的には学外のシェアハウスの方が安いです。図書館は今年度試験的に24時間オープンを実施しているのでとても便利です。(以前は24時まで)大学生協には基本的な食材や雑貨がそろっていて、平日は21時まで開いています。そのほかに銀行、書店、郵便局、カフェ、パブがキャンパス内にあり、街へ出ないまま生活ができます。スポーツセンターの施設も充実していて有名で、学外からもたくさんの人が利用しています。
5. その他
大学があるNorwichの街は大きすぎず、小さすぎず中世の街並みが残るとてもいい街です。雰囲気のいいパブがたくさんあるので、課題提出のあとなどゆっくり飲めるのは本当に楽しいです。またこちらへ来て時間が経つ速さに驚いています。修士の1年というのはあっという間に過ぎてしまうことを本当に実感します。どうしてもこちらへ来てセメスターが始まると目の前の課題に手いっぱいになりがちです。留学前に英語の準備等と併せて、勉強以外にすることの計画や申込みなど、日本からでもできることを先にしておくとさらに充実した時間になるのではないかなと思います。