平成22・23年度に、本研究所が農商工連携を支援するコーディネーター育成を目的とした研修を実施しました。(商工連携等人材育成事業)
研修の一環で、研修生以外の方も参加いただけるセミナーも開催いたしました。
生産者に儲けてもらいやる気UP→生産技術の向上→品質UP という展開を商工業者と実施していく上で、
じっくりお互いが向き合っていく必要があるんですね。
■情報提供 ~メルマガ紹介~
1.農商工連携と6次産業化
6次産業化とは、農畜産物、水産物の生産だけでなく、食品加工(第2次産業)、流通・販売(第3次産業)にも農業者が主体的かつ総合的に関わることにより、加工賃や流通マージンなどの今まで第2次・第3次産業の事業者が得ていた付加価値を、農業者自身が得ることで農業を活性化しようという考え方です。
6次産業化を進めるには、農業者が自力で行う場合だけではなく、商工業者と連携して行う場合もあるからです。よって6次産業化を広く捉えると農商工連携も含まれているということができます。
2.6次産業化マップ
6次産業化を進めるために「6次産業化マップ」を作成しました。このマップを見れば、6次産業化の進め方には、A、B、C、Dの4つのケースがあることがわかります。
※ 添付ファイルをご覧ください。 「6次産業と農商工連携の違い」
A:農業者が加工、販売をすべて自力で行うケース
マージンや付加価値を得ることができるので収益性が高い反面、リスクも大きくなります。
そのため経営者能力、加工技術、資金力が求められます。
B:生産と販売を自ら行い、加工を商工業者へ委託するケース
マージンを得ることができるので収益性は中くらいで、リスクも中程度に抑えられます。
加工技術や設備投資の資金が無くても取り組むことが可能です。
C:生産と加工を自ら行い、販売を商工業者に依頼するケース
付加価値を得ることができるので収益性は中くらいで、リスクも中程度に抑えられます。
そのため、加工業者に適正な評価をしてもらえる2次産品を生産することが収益性を上げる条件になります。
また、自ら加工品を製造することから加工技術や設備投資の資金が必要です。
D:生産を自ら行い、加工と販売を商工業者にやってもらうケース
マージン、付加価値ともに得ることができないので他のタイプに比べ収益性が低くなります。
そのため、加工業者に適正な評価をしてもらえる1次産品を生産することが収益性を上げる条件になります。
2.普及の役割と武器
普及の役割は、自立した農業経営者や産地を育成することです。自立とは自らマーケティング活動ができることを意味します。そのためにはマーケティングに注意を引き、興味を起こし、関心を呼び、熱心に研究させる必要があります。そのために以下に示す3つの武器を使ってください。
(1)技術
普及の最も強い武器は技術です。技術には栽培技術、加工技術、経営技術があります。これらの技術無くして経営や生産はあり得ません。「技術はニーズを助け、ニーズは技術を活かす」という言葉があります。技術だけでは価値がありませんが、ニーズと結びつくことによって価値を生むという意味です。常に品種や栽培技術、加工技術、経営技術について研鑽を重ね、様々なニーズに対応できるようにしてください。
(2)普及手法
普及だけが持っている武器は普及手法です。主な普及手法には、①動機づけ、②リーダー発見、③関係機関との連携、④普及の総合力の発揮、⑤予算や専門家の確保があります。 あくまで農商工連携や6次産業化は経営目標を達成するための手段です。農業者や産地が現状をきちんと把握し、経営(産地)目標である所得向上を図るために何をしなければならないのかを気づかせる動機づけが大切になります。なお、普及手法の詳細はメールマガジン№5を参照してください。
(3)マーケティング手法
これからの普及に必要な武器はマーケティング手法です。マーケティング手法の詳細はメールマガジン№6を参照してください。
3.行政の役割
農商工連携を考える場合、農業者と商工業者は互いの情報を求めています。しかし、上手く情報を集めることができていないのが現状です。行政は農業者と商工業者のデータベースを作成し、両者が必要な情報を得るための環境を整えてください。必要な情報には、経営概況の他に、経営理念、主な商品やサービス、主な技術や技能、主な販売先や取引先などがあるとよいでしょう。
他にも事業化や予算化などが行政に求められ、様々なメニューを提供しています。しかし、それらのサービスが分散していては意味がありません。農林水産業と商工業という異なる産業であるがゆえに、行政サイドにもヨコの連携が求められます。現場を変えるには自らも変わらなければなりません。