基本的には昨年度(2015)と同様の内容ですが、よりよい講義が提供できたのではないかと思います。
「この講義では、高校と大学の違いを認識してもらうことと、大学で「学ぶ」ことの意味を考えるきっかけを提供します。」というものですね。
2年目を迎えて改めて思うのは、大学の導入教育プログラムとしては、よくできているのではないかということです。
大学を知るところから、プレゼンテーション、レポートの書き方というのが大まかな講義構成。
私立大学ということもあり、大学を知るということは思ったより重要な気がしています。
第一志望の国立大学に落ちて、やむなく同志社大学に来てしまったという学生もいるからです。当然、学力は高いはずですが、絶望的な大学生活のスタートとなっているだろうところに、本大学ではなにがありなにができるのかということを一通り知ってもらうことは、意味があるだろうと。
次に、プレゼンテーションを行うのですが、第1回は「同志社大学を社会に紹介する」というテーマです。ここでは、プレゼンテーションの基本的な形を知っていただくことを目的としています。
パワーポイントを使い始めた学生にありがちなこととして、アニメーションを使いすぎたり、要素を足しまくったり、いずれにしてもとにかく見難いプレゼンテーションが出来上がってきます。
この見づらさを知っていただくためのプレゼンテーションです。
これを踏まえたうえで、第2回のプレゼンテーションは、「ある製品は、なぜ古い製品を代替することができたのか」というテーマにしました。
これは、プレゼンテーションの型を踏まえたうえで、商学部的な内容に触れようというものです。
今の学生たちに古い製品について知ってもらうのもおもしろいかなと考えてテーマ設定をしました。
今年は、このテーマ設定がよかったのか、とてもよいプレゼンテーションが行われました。
ありがたいことです。
このプレゼンテーションを踏まえたうえでのレポート執筆に入るわけですが、レポートはどうも本当に難しい。
学生にとっては、レポートの重要性がどうもよくわからないようで、「役に立つ」のかわからないことに対してはあまり努力をしないという。
ただ、それでも一応レポートになっているので、よいのです。他の大学では、5行くらいのレポートが出てきたりするようなので。
文章で他人に物事を伝えることのトレーニングは続けて欲しいものです。
僕のクラスでは、最後に、論文、というかエッセイを読んで内容をまとめる作業を行っています。今年は4編をとりあげました。前年度と同じですが、グループ数を減らしたので1編減っています。
青島矢一「「社会科学を学ぶことがどうして将来役立つのか」について考えたこと」『一橋論叢』 117(4), 537-556, 1997.
楠木建「大学での知的トレーニング : アタマがナマっている人へのメッセージ」『一橋論叢』 113(4), 399-419, 1995.
大橋和彦「知識の時代に「学ぶ」ということ」『一橋論叢』 119(4), 402-413, 1998.
加藤俊彦「私にとっての「大学で学ぶ意義」 : 営業戦略の視点を交えて」『一橋論叢』 129(4), 329-344, 2003.
田中一弘「「活きた学問」について」『一橋論叢』 131(4), 215-232, 2004.
学生たちは本当に自由に発言をします。
たとえば、「この田中先生って人文章下手ですね」「加藤先生ってタイトルつけるの下手な人ですか?」などとドキッとするようなことを。
大学で学ぶ意義を考えてもらうのですが、個人的には大事な作業だと思ってます。
いまの大学生たちは大変だなあと思うのです。
彼らの親世代や兄弟世代とは異なることが増えていて、親世代が過ごしてきたような大学生活を踏襲すると、大変なことになる可能性もある。
大学に入ったらあとは遊びまくって許させる時代ではないという。
たとえば、経団連が履修履歴面談を重視するようになったことから、今後はさらに変わるだろうと。
また、文部科学省が発信した文系学部の意義を疑うというメッセージは、学生たちに私たちがこれから学ぶことは意味がないのかなというメッセージになるわけです。なので、よりしっかり考えていただこうということです。
社会科学で学ぶということの意味を踏まえたうえで、
明確な答えはでなくても大学で何をしようか再び考えていただければ、意味のあるものになるのではないかと。
ということだけではなく、もちろん大学で学ぶことは大切ですが、それだけではなくて。
個人的にはやはり、手順にコミュニケーションが取れるということの素晴らしさを強調したいです。
この手順に沿ってという、流れでコミュニケーションをとれるということは本当に素晴らしいわけです。
たとえば、僕らがこのようなコミュニケーション機会を作ろうとすれば、また大変。たとえば、エウレカのバイアウトなどを見たらわかるように、出会い系サービスは成長しているし、この機会のために数千円が支払われるわけです。
そして機会を得たとしても手順にコミュニケーションをとることはやはり難しくて。
教員が学生にグループワークを求めるという形から、仕方ないという入り口であったとしてもこの機会は本当に大切にして欲しいものです。
大学時代の友人は本当に貴重だし重要。大切にしてほしいです。改めて。
講義内では、マシュマロ・チャレンジを通してチーム作りを行いました。
これが盛り上がったのでなにより。マシュマロ・チャレンジが功を奏したのか、新入生の集いでは、中園のクラスが優勝しました。
ありがたいことです。
2年目の講義でしたが、よい講義になったのではないかと思っています。講義評価も1年目と比較してだいぶ良くなりました。ありがたいことです。
学生さんの今後が楽しみです!
いただいた気持ちの良かったコメントの一部
中園先生の授業はただ作業をするだけではなくて、グループの子たちとの交流の時間があったりして、毎回楽しかったです。
プレゼンも、最初は緊張ばっかりしてただ大変なだけでしたが、何回も繰り返していくうちに人前でプレゼンをすることに抵抗がなくなり、楽しみにさえなりました。
もう中園先生の授業を受けられないのはすごく残念ですが、またもし機会があればその時はよろしくお願いします。
本当にありがとうございました!
春学期はお世話になりました。短い間でしたが、先生の講義のおかげで私の大学生活への価値観が良い方向へ変わりました。
本当にありがとうございました。
半期でしたが楽しかったです。
ということで、6クラス合計での評定は下記のとおりです。
お疲れ様でした!