この講義では、高校と大学の違いを認識してもらうことと、大学で「学ぶ」ことの意味を考えるきっかけを提供します。
具体的には、下記のTweetから講義を始めました。
第一志望で入学した学生と、そうではない学生とでは、入学時のモチベーションが当然異なるはずなので、気持ちを切り替えて頑張ろうという趣旨ですね。自分も第一志望の大学にはしっかりと落ちているので。
大学受験をがんばっても、大企業で安月給で何十年も働く権利を得るためのエントリになるだけで、じつは日本は大学に入ったあとの勉強の方が圧倒的にリターンが高いと思う。
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) April 10, 2015
この講義にはもう一つのテーマがあって、それは下記のTweetに示されるようなことです。
大学を卒業して就職をして、そんな友達の話を聞いていても思うことだし、自分としても当然実感することです。
人見知りとかしている場合ではないのです。婚活パーティーだとか、後に追加的な投資をするくらいなら、入学後のタイミングでしっかり友達を作ることが重要。
中学で化粧してる女子はほとんどいない。クラスの中でまあまあ美人だな、と思う子はスッピンでも美人なのだから相当な美人だ。俺が中学生男子に言いたいのは今のうちにその子と全力で仲良くしておけ、ということだ。大人になってからそのレベルの美人と接触する機会はかなり少ない。
— コンバットREC (@combat_rec) March 7, 2015
講義の具体的な中身は、プレゼンテーションを複数回やったりレポートを書いたり。
また気が向いたタイミングで丁寧に書くかもです。
到達目標としては、下記のTweetなどについて考えられるようになればよいかなと。
刈谷先生の『知的複眼思考法』を読むことができればよかったのだけれど、さすがに重たいのと時間が足りなくて。
実際には、エッセイを読んでレジュメを作成してもらうことにしました。
複眼的に考えることと、当事者意識とが重要でした。
会社のためにプライベートもすべての時間を捧げるのは当たり前とはいわないのに、教師だったら生徒に模範を示すのになんでもやるのはあたりまえ。これがモンスターペアレンツの生まれる理由だな。
— kadongo38 (@kadongo38) March 24, 2015
読んだエッセイは下記のとおりです。
青島矢一「「社会科学を学ぶことがどうして将来役立つのか」について考えたこと」『一橋論叢』 117(4), 537-556, 1997.
楠木建「大学での知的トレーニング : アタマがナマっている人へのメッセージ」『一橋論叢』 113(4), 399-419, 1995.
大橋和彦「知識の時代に「学ぶ」ということ」『一橋論叢』 119(4), 402-413, 1998.
加藤俊彦「私にとっての「大学で学ぶ意義」 : 営業戦略の視点を交えて」『一橋論叢』 129(4), 329-344, 2003.
伊藤秀史「商学部生への経済学のススメ」『一橋論叢』 131(4), 195-214, 2004.
田中一弘「「活きた学問」について」『一橋論叢』 131(4), 215-232, 2004.
講義の最後では、「ブレックファスト・クラブ」を視聴して青春っていいねということでまとめました。
ブレックファストクラブは下品でひどい映画なのですが、それがまた青春らしくて。高校生だからこそ言葉に出しちゃう下品さがあって。よい。
大学生になっても当然若いきもちはあるわけで、でも大学生にもなると言葉にはなかなかださなくなっちゃう。
下品なこととまとめて表現したんですけど、それは実は「本音」の比喩で。
だんだん本音をだすことは怖くなるし、それによってどうなるのだろうと考えながら話すことも増えると思います。当然、それは知性的でよいこと、と思われるだろうし、まあおそらくその通りなのかなと。
それでも、大学生のうちに何でも話せる友人をみつけて欲しいのです。大学を卒業すると本当にそんなことできなくなるから。
加えて「月曜どうするの?」という。特別な機会で強制的に集まって、あれこれあって友達になって。そしてまた別れて、自分たちのいつものコミュニティに戻る。
先生は教室に残る。先生は残っているのです。
ぼくがやったことをざっくりとまとめると以上のような感じです。まとまっていないんですけどね。
自分が大学1年のときを思い出してみると、「基礎セミ」的な講義があって。覚えていることといえば、先生が新聞の切り抜きを読んでいたような気がするだけ。25人前後いたはずだけど、友達になったのは2人だけ。
いったいなんだったのか。
ということからすれば、いまの学生さんは恵まれていると思うわけなのです。機会に恵まれている。
そして、多くの学生さんはその機会を活かそうと頑張ってくれました。素晴らしいですね。
学生さんが頑張ってぶつかってきてくれるならば、こちらも全力で相手をしなければならないし、それが楽しくて。
良い講義、ゼミになったのではないかと勝手に思っています。あとは、学生さんの今後から評価していただければ。
今後読んだら良い本をあげておきます。気が向いたらぜひ夏休みに。また感想をお聞かせくださいな。
苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社, 2002.
戸田山和久『新版 論文の教室』NHK出版, 2012.
川上量生『鈴木さんにも分かるネットの未来』岩波書店, 2015.
内田良『教育という病』光文社, 2015.
半期でしたが楽しかったです。
ということで、6クラス合計での評定は下記のとおりです。
お疲れ様でした!