この講義では、ノーベル経済学賞受賞者であるハーバート・サイモン先生の議論を起点として、人工知能について学習します。
5クラス編成ですが、曜日ごとに内容とテキストを少し変えて実施しました。
Wiki大先生によると、サイモン先生は「研究の機軸は組織論の分野であり、組織における人間の限定合理性と意思決定過程の研究を行なっていた。その一方で人工知能のパイオニアでもあり、アレン・ニューウェルと幾つもの意思決定支援システムの構築に携わった。」ということです。
したがって、この講義では、組織論と意思決定と人工知能について議論をするのです。
当然テキストとしては、『経営行動』や『オーガニゼーションズ』を用いるべきですが、それは重たすぎる。胃もたれしちゃう。ぼくのほうから、講義中に中身を簡単に紹介する予定です。詳しくは2年生からの講義で取り扱われるはずです。
結果としてテキストは、木曜日は『人工知能は人間を超えるか』、金曜日は『AIの衝撃』を設定しました。
あくまでサイモン先生の議論は起点であり、具体的に学ぶことは人工知能についてなのです。
講義の具体的な進め方は、受講生に毎週登場する最新の人工知能関連ニュースを紹介してもらい、その後テキストの輪読を行うという形でした。
毎週のように新しく興味深いニュースが出てくる2015年度だからこそ成り立った方式かもしれません。
そしてその毎週のニュースをひとつひとつみることによって、商学部生が人工知能技術について学ぶ意味が少しずつわかってきたはずです。
次年度も人工知能について学ぶクラスを開講するので、具体的なまとめはなかぞのまで問い合わせてくださいませ。
ここでは、いただいたクラスの感想をいくつか紹介します。
最新の技術にふれる機会を与えてもらえた。少人数で、毎回のレポート・レジュメ作成では「やらなければ」という気持ちになった。おもしろかった。
人工知能という商学部と関係なさそうなテーマだと思いましたが、色々と考えさせられました。
AIについて理解が深まったことで、産業の分野にまで強くAIが関連していることを知ることができました。
はじめは何で人工知能をやっていて、商学部の私達と何の関係があるのかと思っていたのですが、結論的にこれから進化していく社会でどうしてもロボット・人工知能と付き合っていかなければならないこと、そのなかで経営・商業とどう向き合っていけばいいのかも考えなければいけないことなど、今までやってきたことが納得できたので良かったです。
人工知能といった最先端技術のことがとても良かった。
内容がむずかしくて、最初はついていけるかとても不安だったけど、最後までやって、達成感を得られたし、本当に受講して良かったです。
良い評価をいただけたのも、良い学生と良い協力者の応援があってこそでした。
ご協力いただいたみなさまありがとうございました。記して感謝を申し上げます(順不同)
株式会社はたけのみかた代表取締役武村幸奈様
株式会社Libarts代表取締役下島健太様
株式会社ベストティーチャー代表取締役宮地俊充様
株式会社縁取締役藤巻賢人様
Draper Nexus Ventures Managing Director 倉林陽様
株式会社サイバーエージェント木村祥子様
2016年度のビジネス・トピックスは、「人工知能技術クラス」「人工知能技術と産業社会クラス」「マネジャーのお仕事クラス」「サービス開発の考え方と方法クラス」を開講する予定です。
全クラス同じ内容でやれば、教員としては楽になるのですが、すこしでもおもしろいことをやりたいなということで自分の首を締めながら頑張ろうという所存でございやす。
ということで、4クラス合計での評定は下記のとおりです。
これほどAが多くなることは想定していなかったのですが、みなさんが頑張ってくれたという証拠なのかなと。
「ガンバる人に点がつく理想のカタチ」です。
お疲れ様でした!
クラス成果物の主なものは下記のとおりです。
AIにコンテンツはつくれるのか(プレゼン)
人工知能の可能性~ディープラーニングから見えてきたもの~(プレゼン)
人工知能のこれまでとこれから(プレゼン)
初心者のための人工知能(プレゼン)
組織内でのフリーライダーの解決策について(レポート)
アニメ映画にみる情報量(レポート)
ディープラーニングの発展と人工知能の展望(レポート)
人工知能と人間のアイデンティティ(レポート)
人工知能と人間が手を取り合う時代(レポート)
人工知能の到達点と人間の限界から考える両者の未来(レポート)
今回の講義をつくるうえでの参考資料は、上記テキストや資料に加えて以下のものを使用しました。
沼上幹(2003)『組織戦略の考え方』ちくま新書
ベイザーマン・ムーア(2011)『行動意思決定論』白桃書房
カーネマン(2014)『ファスト&スロー』ハヤカワ文庫
亀田達也・村田光二(2010)『複雑さに挑む社会心理学』有斐閣アルマ
川上量生(2015)『コンテンツの秘密』NHK出版新書
大崎善生(2003)『将棋の子』講談社文庫
将棋世界編集部(2014)『第3回将棋電王戦公式ガイドブック』マイナビ
松本博文(2014)『ルポ電王戦』NHK出版新書
松本博文(2015)『ドキュメントコンピュータ将棋』角川新書
ブリニョルフソン・マカフィー(2013)『機械との競争』日経BP
ブリニョルフソン(2015)『ザ・セカンド・マシン・エイジ』日経BP
スタイナー(2013)『アルゴリズムが世界を支配する』角川EPUB選書
林雅之(2015)『スマートマシン』洋泉社
フォード(2015)『テクノロジーが雇用の75%を奪う』朝日新聞出版
フォード(2015)『ロボットの脅威』日本経済新聞出版社
ドゥアンヌ(2015)『意識と脳』紀伊國屋書店
マンクテロウ(2015)『思考と推論』北大路書房
谷口忠大(2014)『イラストで学ぶ人工知能概論』講談社
小高知宏(2015)『人工知能入門』共立出版
日経コンピュータ(2015)『The Next Technology 脳に迫る人工知能』日経BP
日経ビッグデータ(2015)『この1冊でまるごとわかる人工知能ビジネス』日経BP
DHBR編集部(2015)『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー11月号』ダイヤモンド社
人工知能学会誌の諸々
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