因果推論のための
計量経済学
因果関係を明らかにするデータ分析を行う際に、参考になる書籍やWebサイトをまとめてみました。
注意点
ここで取り上げた書籍やWebサイト以外も、参考になる書籍等、多々ありますので、あくまでも一例として捉えてもらえれば幸いです。
時系列、機械学習などについては、詳しく紹介することができていません(詳しい方がおられましたら、ご紹介いただけますと幸いです)
※ 作成に当たり、佐々木周作氏、原泰史氏、秦正樹氏、大久保将貴氏、尾崎大輔氏、西田貴紀氏、大竹文雄氏から書籍等を紹介いただきました。記して感謝いたします。
最終更新日:2024年4月22日
1. 因果推論・計量経済学をつかむ
中室牧子・津川友介(2017)原因と結果の経済学: データから真実を見抜く思考法
伊藤公一朗(2017)データ分析の力: 因果関係に迫る思考法
林岳彦(2024)はじめての統計的因果推論
応用例
山口慎太郎(2019)「家族の幸せ」の経済学: データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実
アンドリュー・リー(2020)RCT大全:ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか
2. 因果推論・計量経済学を学ぶ
畑農 鋭矢・水落 正明(2022)データ分析をマスターする12のレッスン〔新版〕
サポートサイトでは、練習問題の解説や、データ、StataやEviewsによる分析コードが提供されています。
原著:Kousuke Imai (2017) Quantitative Social Science: An Introduction
サポートサイトでは、Rのコード等が提供されています。Rで実践しながら学ぶにも最適な書籍です。
Jeffrey B. Arnold: Quantatitive Social Science: The R Tidyverse Codeのサイトでは、 モダンなRパッケージTidyverseを使って、同書のコードを提供しています。
公式のTidyverse版もでました→ Kosuke Imai, Nora Webb Williams (2022) Quantitative Social Science: An Introduction in tidyvers
やさしい版も出ます→ Elena Llaudet, Kosuke Imai (2022) Data Analysis for Social Science: A Friendly and Practical Introduction
田中隆一(2015)計量経済学の第一歩:実証分析のススメ
サポートサイトでは、解説・例題と練習問題で利用したデータ、分析コード(R, Stata, gretel)などが提供されています。
Joshua D. Angrist & Jorn-steffen Pischke (2014) Mastering 'Metrics: The Path from Cause to Effect
著者のAngrist教授による動画解説もあります。
R Code for Mastering 'Metricsでは、Rコードが提供されて教科書の内容を再現できます。
安井翔太(2020)効果検証入門〜正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎
サポートサイトでは、本文で紹介されているRコードが掲載されていて、実践的に因果推論を学べます。
nekoumeiさんによるPythonコードでの再現
星野 匡郎, 田中 久稔, 北川 梨津(2023)Rによる実証分析 (第2版): 回帰分析から因果分析へ
サポートサイトでは、Rプログラムやシミュレーション用のデータなどが提供されています。
Nick Huntington-Klein: The Effect: An Introduction to Research Design and Causality
基礎から応用の入り口まで学べます。R, Stata, Pythonのコードがついています。
スコット・カンニグハム(2023)因果推論入門〜ミックステープ:基礎から現代的アプローチまで
原著のオンライン版でも、StataやRのコードもついていて、実践的に学べます。
高橋将宜(2022)統計的因果推論の理論と実装 (Wonderful R)
理論と実装とタイトルにあるように、Rを動かしながら理論も学べます。
岩波データサイエンス刊行委員会(2016)岩波データサイエンス Vol.3
森田果(2014)実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法
山本勲(2015)実証分析のための計量経済学: 正しい手法と結果の読み方
ジューディア・パール 、 ダナ・マッケンジー(2022)因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか
Judea Pearl & Dana Mackenzie (2019) The Book of Why: The New Science of Cause and Effectの翻訳
S. L. モーガン & C. ウィンシップ(2023)反事実と因果推論
大久保将貴(2019)「因果推論の道具箱」『理論と方法』Vo.34, p.20-34.
実験や準実験など定番の話題に加えて、媒介分析や機械学習といった最近の流れについても網羅的に解説
Gedevan-Aleksizde 「計量経済学と機械学習の関係‒AI はさだめ, さだめは反事実‒」ではより詳しく、広範囲に説明されていて参考になります。
ハーバード大学Population Health Sciencesの博士課程で学ばれているKRSKさんが、因果推論についてわかりやすく解説されているブログ。
2.5. 講義資料で学ぶ因果推論・計量経済学
浅野正彦:2022年度 早稲田大学「計量分析(政治)」補助教材
【浅野正彦・矢内勇生 (2018)Rによる計量政治学】や、【浅野正彦・中村公亮(2018)はじめてのRStudio: エラーメッセージなんかこわくない】でおなじみの浅野先生による講義資料。Rの使い方から、統計、予測、因果推論まで学べます
矢内 勇生:KUT 計量経済学応用 統計的因果推論入門
【浅野正彦・矢内勇生 (2018)Rによる計量政治学】や、【Song Jaehyun・矢内勇生『私たちのR: ベストプラクティスの探究』(E-book)】でおなじみの矢内先生。こちらも、Rの使い方から因果推論まで学べます。『Rによる統計的因果推論:効果検証のための実践的データ分析(仮)』を執筆中とのこと。
安藤道人・三田匡能:Rで学ぶ計量経済学と機械学習
こちらは機械学習まで学べる講義資料
Kousuke Imai: STAT 286/GOV 2003: Causal Inference with Applications
【今井耕介(2018)社会科学のためのデータ分析入門 上・下】や、【 Elena Llaudet, Kosuke Imai(2022) Data Analysis for Social Science: A Friendly and Practical Introduction 】でおなじみの今井先生の講義資料。講義動画まであります。
川田恵介 :Rによる比較・予測・因果推論入門 ver0.2
古川知志雄:統計推論再考 – 概念と技法 –
板書スタイルの動画で、統計の初歩から因果推論まで学べます。さらに、プログラミングの実践のコツまでも学べます。
Paul Goldsmith-Pinkham: Applied Empirical Methods
Yale大学のPh.Dコースの応用実証手法の講義スライドと動画。
Golub Capital Social Impact Lab: Machine Learning-based Causal Inference Tutorial
3. 因果推論・計量経済学をしっかり学ぶ
西山慶彦・新谷元嗣・川口大司・奥井亮(2019)計量経済学(New Liberal Arts Selection)
サポートサイトでは、実証例や練習問題で用いるデータセット、分析コード例などが提供されています。
北川梨津さんによる「西山 他『計量経済学』のためのR」では、Rによる分析コードが紹介されています。
ジェームス・ストック & マーク・ワトソン(2016)入門 計量経済学
原著:James H. Stock & Mark W. Watson (2019) Introduction to Econometrics, Global Edition
サポートサイトでは、Stataのコード等が提供されています。
Rを使いながら2015年版のStock & Watsonを解説したオンラインブック:Christoph Hanck, Martin Arnold, Alexander Gerber and Martin Schmelzer (2019) Introduction to Econometrics with R
Jeffrey M. Wooldridge (2019) Introductory Econometrics: A Modern Approach
Rを使いながら2015年版のWooldridgeを解説:Florian Heiss (2020) Using R for Introductory Econometrics
サポートサイトでは、オンラインで読めますし、Rのコードも提供されています。
Pythonを使いながら2015年版のWooldridgeを解説:Florian Heiss and Daniel Brunner (2020) Using Python for Introductory Econometrics
サポートサイトでは、オンラインで読めますし、Pythonのコードも提供されています。
ヨシュア・アングリスト & ヨーン・シュテファン・ピスケ(2013)ほとんど無害な計量経済学
原著:Joshua D. Angrist & Jorn-steffen Pischke (2008) Mostly harmless econometrics
StataやRのコードはこちらのサイトで再現されています。
Hernán MA & Robins JM (2020). Causal Inference: What If.
翻訳が進んでいるとの情報あり。
ジュディア・パール, マデリン・グリマー & ニコラス・P・ジュエル(2019)入門 統計的因果推論
原著:Judea Pearl, Madelyn Glymour & Nicholas P. Jewell (2016) Causal Inference in Statistics - A Primer
田中久稔(2019)計量経済学のための数学
計量経済学を学んでいく際に出てくるトピックに特化して解説。
Chernozhukov, V. & Hansen, C. & Kallus, N. & Spindler, M. & Syrgkanis, V. (2024) Applied Causal Inference Powered by ML and AI
4. 計量経済学をもっと学ぶ
鹿野繁樹(2015)新しい計量経済学:データで因果関係に迫る
サポートサイトでは、講義スライド、データが提供されています。
難波明生(2015)計量経済学講義
黒住英司(2016)計量経済学 (サピエンティア)
末石直也(2015)計量経済学 ミクロデータ分析へのいざない
Fumio Hayashi (2010) Econometrics
Jeffrey M. Wooldridge (2010) Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data
A. Colin Cameron & Pravin K. Trivedi (2005) Microeconometrics: Methods and Applications
サポートサイトでは、データやStataコードが提供されています。
同著者によるStataの使い方を学べる計量経済学:A. Colin Cameron & Pravin K. Trivedi (2010) Microeconometrics Using Stata, Revised Edition
Bruce E. Hansen (2019) Econometrics
随時アップデートされているテキスト(最新版には機械学習の章もあり)。データセットも提供されています。
William H. Greene (2018) Econometric Analysis
5. 分析ソフトの使い方
R
浅野正彦・中村公亮(2018)はじめてのRStudio: エラーメッセージなんかこわくない
サポートサイトでは、サンプルデータが提供されています。R, R studioの導入に欠かせない1冊。また、グラフを書くためのggplot2やRでレポートを書くためのR Markdownの使い方も参考になります。
浅野正彦・矢内勇生 (2018)Rによる計量政治学
データ処理から回帰分析まで学べる1冊となっています。サポートサイトでは、コードや練習問題の解答例が提供されています。
石田基広・高橋康介(2018)再現可能性のすゝめ (Wonderful R 3)
R Markdownの使い方が詳しく説明されています。
Stata同様、困ったときに役立つコード一覧表。
松村優哉・ 湯谷啓明・紀ノ定保礼・前田和寛(2018)RユーザのためのRStudio[実践]入門:tidyverseによるモダンな分析フローの世界
dplyr, tidyrといったデータを整理する上で便利なパケージの使い方や、Webスクレイピングの仕方を詳しく説明。サポートサイトでは、サンプルコードが提供されています。
ギャレット・グロールマンド、ハドリー・ウィッカム (2017)Rではじめるデータサイエンス(原著はこちらで公開)も参考になります。
ウィンストン・チャン(2019)Rグラフィックスクックブック 第2版 ――ggplot2によるグラフ作成のレシピ集
ggplot2を使ったグラフを書くときに、手元に置いておきたい1冊。原著はこちらで公開されています。
a ggplot2 grammar guideでは、ggplot2の文法をビジュアルで学べます。
データの整理、グラフ、回帰分析など、StataのコードとRのコードを比較してくれています。
Windows, Mac, Linuxそれぞれについて、詳しくインストール方法が解説されています。
Song Jaehyun・矢内勇生『私たちのR: ベストプラクティスの探究』(E-book)に向けての一部原稿
佐藤俊太朗さんの下記Web記事も参考になります
どんなグラフを書きたいか決まっても、コードの書き方がわからないときに、逆引きで参考になります。
Python
原泰史(2021)Pythonによる経済・経営分析のためのデータサイエンス~分析の基礎から因果推論まで~
Pythonの基本的な使い方から、因果推論、機械学習、テキスト分析まで網羅されています。
PyEcon - Python for Econometrics in Economics
データの前処理、グラフやOLSの仕方が学べます。
三浦貴弘:Python による Web スクレイピングにようこそ!
データの前処理、Webスクレイピングの仕方が学べます。
データ処理にはこちらの書籍も参考になります:ウェス・マッキニー(2018)Pythonによるデータ分析入門 第2版 ―NumPy、pandasを使ったデータ処理
Andrius Buteikis: Practical Econometrics and Data Science
RとPythonのコードを比較しながら、回帰分析が学べます。
QuantEcon DataScience: Introduction to Economic Modeling and Data Science
回帰分析から機械学習まで学べます。QuantEcon Lecturesでは、Quantitative Economics with Python/Juliaも提供されています。
Stata
筒井淳也・水落正明・秋吉美都・坂本和靖・平井裕久・福田亘孝(2011)Stataで計量経済学入門 第2版
松浦寿幸(2015)Stataによるデータ分析入門 第2版 経済分析の基礎からパネル・データ分析まで
サポートサイトでは、データと分析コードが提供されています。
石黒格(2014)改訂 Stataによる社会調査データの分析: 入門から応用まで
分位点回帰、マルチレベル分析なども詳しく説明されています。
基本的な使い方から、「これってどう書くのかな?」というときに、参考になるコード一覧表です。
Michael N. Mitchell (2012) A Visual Guide to Stata Graphics
6. 各トピックについて詳しく学ぶ
Field Experiment・Random Control Trial
Rachel Glennerster & Kudzai Takavarasha (2013) Running Randomized Evaluations: A Practical Guide(Web page)
青柳恵太郎・小林庸平(2019-)EBPMの思考法 やってみようランダム化比較試験!
経済セミナー2019年4・5月号から始まった新連載。ウェブ付録で練習をしながら力を身に着けることができます。
エステル・デュフロ & レイチェル・グレナスター & マイケル・クレーマー(2019)政策評価のための因果関係の見つけ方 ランダム化比較試験入門
原著: Duflo, E., Glennerster, R., & Kremer, M. (2007). Using randomization in development economics research: A toolkit. Handbook of development economics, 4, 3895-3962.
Alan S. Gerber & Donald P. Green (2012) Field Experiments: Design, Analysis, and Interpretation
サポートサイトでは、データやR, Stataのコードが提供されています。
Donald P. Green (2022) Social Science Experiments: A Hands-on Introduction
学部レベルの社会科学実験(ラボ実験、サーベイ実験、フィールド実験、自然実験)についての教科書。
依田高典・田中誠・伊藤公一朗(2017)スマートグリッド・エコノミクス -- フィールド実験・行動経済学・ビッグデータが拓くエビデンス政策
J-PAL: Introduction to randomized evaluations
フィールド実験を行うための手順を実験計画前、実験計画、実験後の分析と手順を追って説明されています。
Natural Experiment
Propensity Score Matching (PSM)
Haiyan Bai, M. H. Clark (著), 大久保 将貴, 黒川 博文 (翻訳) (2023) 傾向スコア (計量分析One Point)
Regression Discontinuity (RD)
Instrumental Variable (IV)
Difference-in-Differences (DID)
直感的な図もあり、丁寧でわかりやすく、差分の差を学べます。
発展し続けているDIDについての解説講義やスライドなどが見れます。
Difference-in-Difference (DiD)
近年発展しているDIDのStataやRのパッケージ等はこちらで集約されている様子。
小西祥文: Staggered DIDの近年の動向~ 問題と対策 ~
小西先生によるDIDの近年の動向のチュートリアル資料。
2023年度日本経済学会春季大会のバージョン。Stata/Rの演習コード付き。
Roth, J., Sant’Anna, P. H., Bilinski, A., & Poe, J. (2023). What’s trending in difference-in-differences? A synthesis of the recent econometrics literature. Journal of Econometrics.
DIDのチェックリストが参考になります。
Synthetic Control Methods (SC)
Abadie, A., Diamond, A., & Hainmueller, J. (2010). Synthetic control methods for comparative case studies: Estimating the effect of California’s tobacco control program. Journal of the American statistical Association, 105(490), 493-505.
Jens Hainmueller氏のホームページに、Stata, Matlab, Rのパッケージのダウンロード方法や使用法あり。
応用と解説について参考になります:前田豊, & 鎌田拓馬. (2019). Synthetic Control Method を用いた個別事例の因果効果の識別. 理論と方法, 34(1), 78-96.
Arkhangelsky, D., Athey, S., Hirshberg, D. A., Imbens, G. W., & Wager, S. (2021). Synthetic difference in differences. American Economic Review, , 111(12), 4088-4118.
SCとDIDをうまく組み合わせたSDD。dropout009さんによる解説記事が参考になります。
Ben-Michael, E., Feller, A., & Rothstein, J. (2021). The augmented synthetic control method. Journal of the American Statistical Association, 116(536), 1789-1803.
SDDと同様に二重に頑健なRASCM。
[番外編]
Meta-analysis
応用例