2022年度微分幾何セミナー
2022 年 6 月 30日 (木) 15:30 -- 17:00
講演者: 宮澤 仁 氏 (東京大学)
タイトル: インスタントンモジュライの向き付けとWitten localization
2022 年 7 月 7 日 (木) 15:30 -- 17:00
講演者: 齋藤 耕太 氏 (筑波大学)
タイトル: 素数表現定数の集合のフラクタル次元および位相的性質
アブストラクト: 任意の自然数を代入したとき,素数を常に返すような二重指数型の関数がMillsによって構成された.その指数関数の底を素数表現定数と呼ぶ.本講演は素数表現定数を集めた集合を考え,その幾何学的性質について議論する.結果として,ある条件下において素数表現定数の集合がLebesgue測度0でHausdorff次元は1となり,さらに,完全不連結で孤立点を持たない閉集合となることを明らかにした.特に,局所的にはCantor集合と同相となる.時間が許せば,素数表現定数の代数的な超越性についても紹介する.一部本研究は東京理科大学の武田渉氏との共同研究である.
2022 年 7 月 21 日 (木) 15:30 -- 17:00
講演者: 児玉 悠弥 氏 (東京都立大学)
タイトル: Braided-Thompson群のdivergence functionについて
アブストラクト: Gerstenにより定義された距離空間のdivergence functionとは、無限遠における「繋がりの強さ」を表す擬等長不変量である。有限生成群を距離空間とみなすことで、群のdivergence functionが定義される。Golan-Sapirは2019年、Thompson群と呼ばれる有限生成無限群が、無限遠において繋がりが強いことを示した。本講演では、その亜種の一つであるbraided Thompson群も同様の性質を持つことを紹介する。時間が許せば、関連する話題や最近の進展についても紹介したい。
2022年10月6日(木) 15:30-- online
Speaker : Haizhong Li 氏 (Tsinghua University)
Title : Curvature flows for hypersurfaces in hyperbolic space and their geometric applications
Abstract: In this talk, I discuss the various curvature flows for hypersurfaces in hyperbolic space and their applications to prove geometric inequalities for hypersurfaces in hyperbolic space.
2022年10月20日(木) 15:30--17:00 ※対面
講演者: 辻 寛 氏 (大阪大学)
タイトル: 対数ソボレフ不等式,Hypercontractivity, 及びTalagrand不等式の改良について
アブストラクト: 本講演では,ユークリッド空間上の正規分布に基づく対数ソボレフ不等式,Hypercontractivity, 及びTalagrand不等式を考える.これらの不等式は,より一般には,重みつき測度を備えたリーマン多様体などの空間において適切な曲率次元条件下での成立が知られている.この講演では特にインプットに対応する確率測度の分散がある意味で大きい場合におけるこれらの不等式の改良について言及する.これらの結果は,分散が小さい場合における改良として知られている Eldan—Lehec—Shenfeld (2020), Mikulincer (2021) らの結果に対応するものとして理解される.また時間が許せば,適切な曲率次元条件を満たすような一般の測度に基づく対数ソボレフ不等式の改良についても言及する.この講演はNeal Bez 氏(埼玉大)と中村昌平氏(大阪大)との共同研究に基づく.
2022年12月15日(木) 15:30-- 16:30 (60分)
online で行います. リンクなどはメーリスで送っています.
講演者: 秋山 梨佳 (東京都立大学)
タイトル:写像の第二基本形式から定まる2次の積分不変量の第一変分公式
アブストラクト:微分幾何の分野での研究対象の一つに, 調和/二重調和写像の理論がある. 調和写像はエネルギー汎関数の, 二重調和写像は二重エネルギー汎関数の臨界点としてそれぞれ定義される. 一方, Howard氏により, 部分多様体の第二基本形式から定まる積分不変量が定式化され, 積分幾何の分野で盛んに研究され, 興味深い結果が数多く得られてきた. これらの背景を踏まえ, 本講演では, 写像の第二基本形式から定まる積分不変量の定義に基づき, 二重エネルギー汎関数を含むような積分不変量の族を構成し, この族に対し変分問題を考えた結果, 得られた内容について報告をする. 重要な点は, 構成したエネルギー汎関数の族に属するエネルギーのEuler-Lagrange方程式は, 一般には4階の偏微分方程式になるところ, 積分幾何に由来するChern-Federerエネルギーだけが, 2階の偏微分方程式に下がることが確認できた点である. また本講演の内容は, 酒井高司氏(東京都立大学)と佐藤雄一郎氏(工学院大学)との共同研究に基づく.
2022年12月22日(木) 15:30--17:00
講演者: 藤谷恭明 氏 (大阪大学)
タイトル: Some functional inequalities under lower Bakry-Émery-Ricci curvature bounds with ε-range
2023年1月12日(木) 15:30 -- 17:00
講演者:稲山貴大 氏 (東京理科大学)
タイトル:A complex analytic approach to Prekopa's theorem
アブストラクト:Brunn--Minkowskiの定理は凸幾何学における最も主要な結果の1つであり, 様々な分野に応用されている. 本講演ではその汎関数版であるPrekopaの定理に対し, 複素解析的な証明を与えることを目標とする. 具体的には, 大沢--竹腰の最良$L^2$拡張定理を有界凸領域に付随する管状領域上で示すことで, そこから自然にPrekopaの定理が従うことを説明する.